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ノウハウ 【令和3年改正まで】産業競争力強化法とは?改正のポイントを紹介

更新日:2023年10月10日

投稿日:2021年11月22日

【令和3年改正まで】産業競争力強化法とは?改正のポイントを紹介

【令和3年改正まで】産業競争力強化法とは?改正のポイントを紹介

かつては国内総生産第2位の地位を築いていた日本。平成22年に中国にその座を明け渡して以降、第3位の地位となっています。

政府は日本の産業競争力を高めるため平成25年に産業競争力強化法を制定し、以降この法律は2度の改正を行っています。

 

この記事では制定当初の背景・内容から令和3年の最新の改正の内容までまとめて解説します。

 

 

産業競争力強化法とは

産業競争力強化法は、安倍総理の政策である「成長戦略」の推進をするために2013年(平成25年)に成立、2014年(平成26年)に施行された法律で、企業の創業期から成長期、成熟期、そして停滞期まで、あらゆる事業の発展段階に合わせた支援策が用意されています。

 

産業競争力強化法が制定された平成25年(2013年)は国内総生産(GDP)において、世界第2位の座を中国に奪われるなど、世界経済における日本のプレゼンスが低下していることが問題となっており、要因は「過小投資」、「過剰規制」、「過当競争」の3つの「過」にあるとされていました。

この問題を解決し、日本の経済成長を回復する目的で産業競争力強化法が制定されました。

出典:産業競争力強化法ポスター-経済産業省-

産業競争力強化法で解決を目指す日本経済の3つの「過」の問題

日本経済発展を阻害する3つの「過」の当時の状況と、その課題を解決すべく制定された産業競争力強化法の解決策について、以下に詳しく解説します。

過小投資

90年代後半以降のデフレ深刻化・平成20年9月のリーマンショックを契機とした 世界的な金融経済危機・ 平成23年3月に発生した東日本大震災などの影響を受け、当時の日本の民間企業は設備投資に消極的な姿勢をとっていました。

 

これを受け、産業競争力強化法で「ベンチャー企業の成長支援」「先端設備投資の促進 」などを制定、税制措置を講じ、民間に留まる資金(巨額の内部留保)を動かすことによる投資の活性化を目指しました。

 

過剰規制

安倍総理は過剰な規制こそ、日本の成長を疎外している要因であるとし、「規制改革実施計画」を立てて、様々な分野での規制撤廃に尽力しました。

 

産業競争力強化法においても、企業実証特例制度(新規事業チャレンジする事業者に対して、規制の特例措置を事業者単位で認める制度)やグレーゾーン解消制度(現行の規制の適用範囲が不明確な分野において、 具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認することができる制度)を制定し、積極的な規制改革の推進を可能にする環境を整備しました。

 

過当競争

平成26年当時、グローバル競争が本格化する中、欧米やアジア諸国では事業再編が積極的に進められる一方、日本の企業は同等の規模の企業による市場占有率の奪い合いが起きている現象が問題視されていました。

平成25年に閣議決定された「日本再興戦略」でも、「国内の過当競争を解消し、思い切った投資によりイノベー ションを起こし、収益力を飛躍的に高めることなどを通じて、例えば技術でもビジネスでも世界で勝ち抜く製造業の復活を目指す。このため、事業再編 や事業組替を促進し、経営資源や労働移動の円滑化を支援する。」と明記されています。

産業競争力強化法においては、事業再編等に取り組む事業者に対し、税制優遇措置や会社法の特例措置等が講じられました。

出典:産業競争力強化法の概要と国会論議の整理 ~期待される産業競争力強化法の効果的な運用~ 

平成30年の改正!産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の制度概要

 

このような背景で制定された産業競争力強化法ですが、平成30年に改正が行われています。

平成30年は、日本国内において​情報通信技術(ICT)を活用し、新しい価値や仕組みを創造するX-Techが進展。フィンテック、リーガルテックなど様々な分野で新たなソリューションが登場していました。

 

平成30年の情報通信白書によると、世界でもAI、IoT等の新たな情報技術の普及が進み、IoTデバイス数は2017年には約270億、2020年には約400億の予測されていました。

 

このような背景から、平成30年に生産性向上特別措置法を制定・産業競争力強化法等の一部改正が行われ、政府は事業再編の推進のための措置や、革新的な技術やビジネスモデルの実証を可能とするための措置(規制のサンドボックス制度)、中小企業の生産性向上のための先端設備等の設備投資の促進を支援する措置等を講じました。

出典:生産性向上特別措置法【生産性革命法】及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律の概要

令和3年の改正!産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の制度概要

 

また、新型コロナウイルスの拡大により、令和2年度以降日本経済が大きな打撃を受けことから、この状況を受け入れながら長期視点に立った企業の変革を後押しすべく、政府は、令和3年に産業競争力強化法を改正しました。

 

具体的には①「グリーン社会」への転換、②「デジタル化」への対応、③「新たな日常」に向けた事業再構築、④中小企業の足腰強化等を促進するための措置、⑤「新たな日常」に向けた事業環境の整備を講じると公表しています。

 

①「グリーン社会」への転換

 

令和2年(2020年)10月菅内閣は2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。

 

カーボンニュートラルとは、環境省の脱炭素ポータルによると「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」を意味すると解説されています。

 

つまり、カーボンニュートラルが達成されている状態とは、CO2、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」を排出した分、植林や、CO2を回収して貯留する「CCS」技術、大気中に存在する二酸化炭素を回収して貯留する「ネガティブエミッション技術」などを活用し、吸収をすすめ、「全体としてゼロとする」すなわち差し引きゼロとなっている状態を指しています。

 

このカーボンニュートラル実現には、民間企業が協力し、排出分の削減も大切であるため、令和3年の改正では民間企業の脱炭素化効果が高い設備や生産工程の脱炭素化が可能な設備の導入に対して税額控除や、金融支援の実施が追加されました。


出典:「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?(経済産業省 資源エネルギー庁)

 

②「デジタル化」への対応

2020年12月に経済産業省のデジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会から発表されたDXレポート2では、「9割以上の企業がDXにまったく取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっている状況」であり、日本のデジタルトランスフォーメーションが進んでいない現状が浮き彫りになりました。

 

令和3年の産業競争力強化法の改正ではDX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制が発表され、部門、拠点レベルではなく全社レベルのDXに向けた計画のうち、主務大臣が認定したものについては、デジタル関連投資について5%または3%の税制控除または特別償却30%の措置が講じられることになりました。

 

出典:「デジタル化」への対応(経済産業省ウェブマガジン)

 

③「新たな日常」に向けた事業再構築

コロナウイルスの影響で、日本経済は大きな打撃を受けました。この影響化でも、カーボンニュートラル やDXに取り組むのは企業にとって大きな決断となります。

 

令和3年の産業競争力強化法の改正では、カーボンニュートラル、DX、事業再構築等に取り組む企業に対して、すでに中小企業では最大100%となっている繰越欠損金の控除上限の引き上げを中堅・大企業も対象としました。

 

④中小企業の足腰強化等を促進するための措置

現在、国内の99.7%の企業は中小企業であり、政府は日本経済の発展の鍵となる中小企業の成長をサポートする様々な支援策を提供しています。

 

産業競争力強化法でも、中小企業が労働生産性を高め規模を拡大するために必要な制度について様々な措置を講じています。

 

具体的には、M&Aを通じた規模の拡大を促進するような税制を措置、 下請振興法の対象類型の拡大など大企業との取引適正化を目指しています。

出典:中小企業支援策施策って何? 中小企業庁ミラサポplus

 

⑤「新たな日常」に向けた事業環境の整備

事業再構築を円滑に進めるための環境整備についても、政府は規制について改革を行いました。

その一部を紹介します。

 

(1) バーチャルオンリー株主総会の開催を可能とする特例の創設

これまで、株主総会は会社法第298条1項1号によって、「株主総会を招集する場合には、株主総会の「場所」を定めなければならない」と規定されていました。

 

この「場所」については株主が説明を聞いたり、質問をする機会を設けるために、物理的に入場できる会場を確保する必要があると解釈されてきました。

 

令和3年の改正で会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」に関する制度を創設。経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合に限り、上場会社において、バーチャルオンリー株主総会の開催が可能となりました。

 

出典:産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会 制度説明資料

(2) 規制のサンドボックス制度の移管・恒久化

 

規制のサンドボックス制度とは、AI・IoT・ビッグデータ・ブロックチェーンをはじめとする革新的な技術やビジネスモデルを活用した新たな事業の事業活動を促進するために制定された制度です。

 

具体的には得られた データを用いて規制の見直しにつなげるために、期間や参加者を限定し、実証を行うことのできる制度です。

生産性向上特別措置法が2021年6月に廃止されることを受け、産業競争力強化法に移管・恒久化されました。

 

出典:新技術等実証制度(プロジェクト型規 制のサンドボックス制度)について



まとめ

企業が円滑に事業を推進するために様々な優遇措置や規制改革を目指せる産業競争力強化法。ここで紹介している項目以外にも様々な支援策が存在します。

 

ぜひ、経済産業省のホームページ一覧から検索し、自社で活用可能な支援策がないか探していただき、該当する場合は積極的に活用を検討しましょう。公的機関等の支援を受ける場合、様々な書類の提出が求められることが多く、契約書やその関連文書の提出が必要になることもあります。契約書及び関連文書の管理にはContractS CLMがおすすめです。一度、検討されてみてはいかがでしょうか。

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