ノウハウ 電子契約システムのワークフロー機能とは?役割と機能を解説
投稿日:2023年08月30日
電子契約システムのワークフロー機能とは?役割と機能を解説
現代のビジネス環境では、業務の高速化と効率化が求められるため、契約業務の効率化にお悩みの方も多いと思います。
特にリモートワークの増加により、物理的な契約書の管理はさらに困難になりました。このような課題を解決するためのソリューションが、電子契約システムのワークフロー機能です。
この記事では、ワークフロー機能の基本的知識や導入メリットについて、基礎から詳しく解説します。また、電子契約サービスを導入する際に注意すべきポイントや、実際の導入事例も紹介しています。
電子契約システムのワークフロー機能とは?
電子契約システムのワークフロー機能は、契約書の作成から締結までの一連のプロセスを自動化し、管理する機能のことを指します。
ワークフロー機能を用いることで、各ステップが透明化され、効率的な契約運用が可能になります。
具体的には、まず契約書の作成フェーズにおいて、テンプレートを元にした契約書の生成、編集、保存が可能となります。必要な条項や条件を入力すれば、システムにより自動的に契約書が作成されるため、手間や時間を削減しつつ、契約書の一貫性と品質を維持できます。
次に、レビュー・承認フェーズでは、契約書が各関係者に自動的に送られ、確認や修正、承認が行われます。それぞれのステップでの進捗状況をリアルタイムで把握できるため、迅速かつ正確なコミュニケーションが可能です。
最終的な契約締結フェーズでは、デジタル署名機能を活用してオンラインで署名を行います。物理的な場所に依存することなく契約締結が可能になり、遠隔地にいる相手との契約もスムーズに進行します。
さらに、これらの一連のフローは、データ化されることで検索や分析が可能となり、契約運用の最適化に繋がります。また、ワークフロー機能は、適切な設定により、法規制の変更に対する対応や、特定の業務ルールに準じた契約運用も可能です。
以上のように、電子契約システムのワークフロー機能は、契約運用の透明性、効率性、柔軟性を大幅に向上させる強力なツールといえます。これにより、組織は時間とリソースを節約し、より重要なビジネス活動に集中することができます。
ワークフロー機能がついているシステムを利用するメリット5つ
ワークフロー機能がついている契約書管理システムを利用することには、主に以下の5つのメリットがあります。
これらの利点を活かすことで、効率的かつ信頼性の高い契約業務を実現しましょう。
メリット1.業務を効率化できる
ワークフロー機能をもつシステムでは、全ての契約業務がオンラインで完結します。
紙媒体を使った従来の方法では、物理的な書類の作成、提出、保管、送付などが必要であり、相応の時間と手間が必要でした。また、各過程で遅滞や紛失のリスクもありました。
しかし、電子契約システムによりこれらのプロセスを全てデジタル化することで、大幅な業務効率化とリスクの解消を実現できます。
メリット2.承認ルートを設定できる
電子契約システムでは、固有の承認ルートを設定することができます。これにより、各契約書が適切な担当者により確認され、誤りのない契約締結が可能となります。
企業内部の異なる部門や役職の間で適切な承認プロセスを維持することが容易になり、契約の質と効率を高めます。
また後述するように、特定の契約にアクセス制限を設けることにより、担当者以外が契約書にアクセスすることを防げるため、情報流出リスクを軽減することも可能です。
メリット3.未承認の契約書を送付するリスクを減らせる
ワークフロー機能では、契約が適切に承認されるまで次のステップに進まないよう設定できるため、誤って未承認の契約書が送付されるリスクを大幅に減らすことができます。
この機能は、誤った情報が第三者に送られることを防ぎ、その結果生じる可能性のあるリーガルリスクも低減させる点にもメリットがあります。
メリット4.コーポレートガバナンスを強化できる
ワークフロー機能がついた契約書管理システムの利用には、コーポレートガバナンスを強化する大きなメリットがあります。
例えば、契約プロセスの進捗や関与者の情報がリアルタイムで可視化されるため、透明性の向上と責任の明確化を実現でき、情報の改ざん等の不正行為を防止できます。
仮に不正行為やミスが発生した場合も、詳細なログにより迅速かつ正確に対応することが可能となります。
このように、ワークフロー機能を使用することで、企業の信頼性やイメージを保ちつつ、組織内の適切な意思決定とリスク管理を支えることができます。
コーポレートガバナンスの基本原則や重要性については、こちらの記事でも解説しています。
【参照:コーポレートガバナンスとは?基本原則や効果を分かりやすく解説】
メリット5.リモートワークに対応できる
ワークフロー機能がついた契約書管理システムの利点のひとつとして、リモートワークに対応する能力が挙げられます。
リモートワークでは従業員が地理的に分散して働くため、紙媒体での契約書の作成や承認などのプロセスに遅延が生じる可能性がありました。
電子契約とワークフロー機能を組み合わせることで、場所を問わずにスムーズな契約作業が可能となり、従来のオフィス環境に依存することなく契約プロセスをオンライン上で完結させることができます。
電子契約サービスを導入する際に注目すべきポイント3つ
ここまでは、電子契約システムのワークフロー機能の概要や導入メリットを解説しました。
実際にワークフロー機能を導入するにあたっては、以下の3つのポイントに注意しながらサービスを比較するようにしましょう。
ポイント1.承認ルートを設定できるものを選ぶ
最初のポイントは、承認ルートを設定できるかどうかです。承認ルートとは、契約書が最終的な承認を得るまでに経由するべき人々や部署のことを指します。
承認ルートの明確化は、契約書が最終的にどのように進行し、誰が最終的な確認と承認を行うのかを明らかにし、契約作成から締結までのプロセスを確実に管理するために重要です。
承認ルートを設定できるシステムを選ぶことで、いつ・誰が・何をすべきかが明確となり、契約の各ステップでの役割と責任を管理できます。その結果、全体のワークフローを見直す契機ができ、業務の効率化と適正化につながります。
また承認ルートが設定されている場合、承認ルートを全て完遂した契約書のみを相手方に送付できるため、誤って未完成の契約書を送付するというミスを防ぐことができます。
ポイント2.電子締結できるものを選ぶ
次に、時間と場所に縛られずに契約を締結できる、電子締結機能を備えたシステムを選ぶことが重要です。
伝統的な紙の契約では、契約書の送付や受け取り、署名のために時間と場所の制約がありました。契約書の記載にミスがあったような場合には、返送や追送でさらなる時間的・金銭的コストが生じてしまいます。
一方、電子締結機能を持つシステムでは、契約書はオンライン上で作成・送付・締結されるため、場所や時間に関係なく即座に完了します。
この結果、契約のサイクル時間が大幅に短縮され、ビジネスの効率性が飛躍的に向上するでしょう。
ポイント3.アクセス制限機能があるものを選ぶ
最後に、情報のセキュリティを確保し、リスクを最小限に抑えるために、アクセス制限機能をもつ電子契約システムを選ぶようにしましょう。
アクセス制限機能を持つシステムを選ぶことで、特定のユーザーだけが重要な契約情報にアクセスできるようになり、情報の誤用や不正利用を防止し、契約の安全性と機密性を保つことができます。
また、アクセス制限機能は、企業のコンプライアンス遵守にも貢献します。規制や業界の標準に従って適切にアクセス制御を行うことで、企業は法的な問題や罰則を避けることができます。
おすすめのワークフロー機能つき電子契約システム
近年はワークフロー管理の専用システムも提供されていますが、より契約業務に特化したワークフロー管理を行うためには、ワークフロー機能のついた電子契約システムの導入がおすすめです。
『ContractS CLM』は、クラウド上で契約管理を行うためのワンプラットフォームであり、契約書の「作成・交渉・レビュー・承認・締結・更新(変更)・管理」という全ての工程をこのツールひとつで管理できます。
以下からは『ContractS CLM』の主な機能と導入事例を紹介します。
①契約書作成・交渉・レビュー
Microsoft Wordを用いて作成した契約書をテンプレート化できるため、次回以降の契約書作成をスピーディかつ正確に行うことができます。
ダッシュボードからは自分のタスクと期限を一覧でき、チームメンバーのタスク状況も把握可能です。さらに、契約書同士の関連付けや添付ファイルの管理、スレッド形式のコメント機能など、契約管理の効率化を支援する機能が豊富にあります。
外部共有ルームでは、URLを利用して契約書ファイルの共有やコメントのやり取りが可能で、社外とのやり取りも一元管理できます。また、AIレビューツールとの連携も可能で、契約書の条文一覧や解説などを閲覧・活用することができます。
②承認・締結
承認フロー設定では、企業や部署、契約書に応じて押印申請・承認をクラウド上で完結でき、ガバナンス強化とトラブル回避を実現します。
また、一括作成・一斉締結機能や、Slack連携を通じた承認依頼通知機能、そして電子締結機能(DocuSign/クラウドサインとの連携も含む)などもあります。
③更新・変更・管理
契約書の管理面では、全文検索機能、他社サービスで締結された契約書の一元管理、締結済み契約書の取込み、契約項目一括取込み、契約項目の設定などが可能です。
これらの機能により、より詳細な検索や企業ごとのカスタマイズ、最適な契約管理台帳の作成が可能となります。
さらに、契約書の絞り込み検索、自動採番機能、関連書類や過去のやり取りの参照、契約書のリマインダー設定、アクセス制限なども行えます。
④導入事例
企業内の契約管理が各部署に分散され、過去の契約や相談内容の共有が困難であったため、契約業務の効率化と一元化が求められていた企業の事例です。
ペーパーレス化推進の流れを受け、紙ベースの契約を含む一元管理システムとして『ContractS CLM』を導入したところ、導入後は契約全体を把握しやすくなり、全契約業務の進捗管理が容易になったほか、検索性の高さにより業務効率も向上しました。
導入から半年後の試算では、月間約50万円の削減効果が確認されています。今後は電子契約の割合が増え、更なるコスト削減と業務効率化が期待されています。
【参照:各部署で行っていた契約書管理を一元管理化。 「ContractS CLM」で管理体制の強化とコスト削減を実現!】
まとめ
電子契約システムのワークフロー機能は、契約書の作成から締結までのプロセスを自動化・管理する機能であり、効率的な契約運用を可能にします。
ワークフロー機能を含むシステムを利用するメリットとしては、業務の効率化、承認ルートの設定、未承認の契約書送付リスクの減少、コーポレートガバナンスの強化、そしてリモートワーク対応があります。
電子契約サービスを導入する際には、承認ルートを設定できるシステム、電子締結が可能なシステム、そしてアクセス制限機能を持つシステムを選ぶことが重要です。これらは、契約プロセスの確実な管理、業務の効率性とフレキシビリティの向上、そして情報のセキュリティ確保に寄与します。
結論として、電子契約システムのワークフロー機能は、契約管理の効率化、リスク管理の強化、そして業務の柔軟性向上に寄与します。
電子帳簿保存法の改正やペーパーレス化に伴い、今後ますます電子化が進むと予想される契約業務。まだ電子契約システムを導入していない方は、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。