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ノウハウ 株主総会の決議事項とは?3種類の決議事項の違いは?

投稿日:2024年01月26日

株主総会の決議事項とは?3種類の決議事項の違いは?

株主総会の決議事項とは?3種類の決議事項の違いは?

株主総会とは会社の今後を左右する決定を下す機関ですが、会社の全てのことを決定できるとは限りません。
株主総会の決議事項とは何なのか、どのように決議し、決議が無効とならないために気をつけることを解説します。

 

電子提供制度の開始などで、総会議事録の電子化に関心のある方も少なくないと思います。本記事では、議事録の電子化方法についても紹介しています。

 

 

株主総会とは

株主による決議を通じて、会社についての意思決定を行うための機関です。

定時株主総会と臨時株主総会があり、臨時株主総会は必要な時に開催できるのに対し、定時株主総会は毎事業年度終了から一定期間に開催されます。

いつ・どこで開催しなければならないのか法的に定められているわけではありませんが、原則として、総会2週間前までに発しなければならない招集通知への記載は必要です。

 

取締役会設置会社か否かで、何を決議できるかは変わってきます。

株主総会決議の種類

決議する内容の重要性によって株主総会決議の要件が異なり、3種類に分けられます。

普通決議

株式総会で会社法または定款で特別な定めがない場合の事項についてはこの普通決議により決議します。役員の選任・解任、自己株式の取得などを決議します。

特別決議

定款変更や会社の解散など、会社と株主にとって重要度の高い事項についてはこの特別決議により決議します。

特殊決議

特別決議以上の重要度の高い事項を決議する際にはこの特別決議で決議します。例えば、公開会社から非公開会社になるための定款変更などは、特殊決議となります。

株主総会の決議事項 一覧

株主総会で決定する事項を、株主総会の決議事項と言います。

 

決議の種類に応じて決議事項は変わってきます。また、取締役設置会社の場合は、以下の一覧の中には取締役会決議で決議できるものもあります。

 

普通決議特別決議特殊決議
  • 資本金・準備金額の減少
  • 計算書類の承認
  • 剰余金の配当
  • 代表取締役の選定
  • 取締役・監査役・会計参与・会計監査人の選任と解任
  • 取締役・監査役・会計参与の報酬など
  • 取締役の競業取引・利益相反取引の承認
  • 定款の変更
  • 事業譲渡などの契約の承認
  • 吸収合併、会社移転など組織再編の承認
  • 解散
  • 譲渡制限株式の譲渡承認の決定
  • 自己株式の取得に関する事項
  • 相続人などへの株式の売渡請求の決定
  • 株式の併合
  • 募集株式の発行などにおける募集事項の決定
  • 新株予約権の募集事項の決定
  • 取締役・監査役などの責任の一部免除
  • 全ての株式に譲渡制限をかける定款変更
  • 公開会社で譲渡制限株式を発行する場合の吸収合併・新設合併

など

 

 

決議事項は大きく5つに分類されます。

  • 会社の基礎に関する事項
  • 会社の計算に関する事項
  • 株主の利害に関する事項
  • 役員の選任・解任に関する事項
  • 取締役などの利益相反に関する事項

 

例えば資本金・準備金額の減少や低下は会社の基礎に関する事項、剰余金の配当や自己株式の取得に関する事項は株主の利害に関する事項です。

 

ただし、全てを株主総会だけで決定できるとは限りません。

例えば代表取締役の選定。取締役会を設置していない会社であれば、株主総会で決議できます。しかし、取締役会設置会社では原則として、取締役会の決議事項となります。

取締役会設置会社 株主総会 決議事項

会社法第295条第2項より、取締役会設置会社では株主総会の決議事項は会社法で定められたものか定款で定められたものに限られます。

例えば事業譲渡や定款変更、株主の利害に関する事項、役員の選任・解任や報酬などが株主総会の決議事項です。

事業譲渡は会社法第467条第1項、定款変更なら会社法第466条に記載があります。

 

法令で定められていないことを決議すると、定款で決議事項としている場合を除いて無効になります。

 

そもそも、会社法と定款で株主総会の決議事項と定められた事項以外を決議する取締役会とはどのような組織なのでしょう。

取締役会とは、業務執行に関する決定など、株主総会での決議が認められていない会社についての幅広い事項を決議する機関です。3人以上の取締役で構成されます。

取締役会非設置会社 株主総会 決議事項

取締役会非設置会社であれば、会社法第295条第1項より、株主総会により、法令で定められた事項に加えて、株式会社の組織・運営・管理など、株式会社に関する事項を幅広く決議できます。

株主総会の決議方法

出席した株主の議決権の一定数以上の賛成を得られた時に成立します。

どれくらいの賛成が必要になるかは、株主総会決議の種類で異なります。出席株主数(定足数のこと)にも定めがある

 

 表決数(決議要件)定足数
普通決議議決権を持つ出席者の議決権の半数以上

議決権を行使できる株主の過半数

※定款で緩和可

特別決議議決権を持つ出席者の議決権の3分の2以上

議決権を行使できる株主の過半数

※定款で3分の1まで緩和可

特殊決議
  1. 議決権を持つ出席者の議決権の3分の2以上
  2. 総株主の議決権の4分の3以上
  1. 議決権を行使できる株主の半数以上
  2. 総株主の半数以上

特殊決議について補足します。

Aが要件となるのは、全ての株式に譲渡制限をかける定款変更、公開会社で譲渡制限株式を発行する場合の吸収合併・新設合併などを決議するケースです。

Bが要件となるのは、株主総会での議決権や剰余金の配当を受ける権利などを、株主ごとに異なる取り扱いを認めるために定款変更を決議するケースです。

 

どちらも表決数・定足数共に要件を緩和することは認められていませんが、下限を引き上げることはできます。

 

メールなど電磁的記録も含め書面で同意があった場合、決議があったと看做されます。会社法第319条第1項「書面決議(みなし決議)」というものです。

株主総会の決議事項であれば、会社の解散など会社にとって特に重要な事項であっても、株主全員の書面による同意で、株主総会を開催しなくても決議できます。

株主総会の開催には、手間も費用もかかります。非上場企業のように株主の少ない会社は、みなし決議とすることが多いです。

決議事項と報告事項の違い

報告事項は、株主に報告する事柄です。

会社法で以下を報告が必要な事項と定めています。

  • 事業報告
  • 計算書類

 

報告事項は報告することまでは求められていますが、承認の決議は不要です。

ただし、計算書類については、会社法第439条により、以下を全て満たさないと報告事項となりません。

 

  • 取締役会設置会社である
  • 会計監査人設置会社である
  • 以下を満たす適正な計算書類
    • 会計監査報告と監査役の監査報告の内容に問題がない
    • 監査報告の通知報告期限を過ぎて監査を受けたものではない

 

満たさない場合、会社法第438条第2項に則り、承認の決議が必要となります。

株主総会決議での注意事項、ポイント

決議の内容や方法が法令や定款に反する、株主総会が開催されていないにもかかわらず議事録を作成して適切に実施したように繕っているなどの場合、決議が無効となるリスクがあります。

 

ただし、全ての不備が無効となるわけではありません。軽微なものまで決議を無効にされると、企業活動への支障が大きくなるためです。

そこで、会社法は不備が疑われる決議について、取り消しや無効などを訴えられると定めています。

 

  • 決議取り消しの訴え(会社法第831条)
  • 決議無効確認の訴え(会社法第830条第2項)
  • 決議不存在の訴え(会社法第830条第1項)

 

決議に取り消し事由がある場合、株主や取締役や監査役などは、決議取り消しの訴えを起こせます。訴えることができる期間は、決議のあった日から3ヶ月以内です。

 

取り消し事由として以下が挙げられます。

  • 招集手続き、または、決議方法が法令・定款に違反しているか、極めて不公正な時

例えば、株主の一部に招集通知が発送されない、定足数に足りないなど

  • 決議の内容が定款に違反している
  • 特別利害関係者が議決権を行使したことで極めて不当な決議となった

例えば、取締役の報酬が理由も分からず高額など

 

決議の内容が法令に反する場合、例えば剰余金の違法配当などは、訴訟を起こさなくても決議は無効となります。訴訟によって、決議が無効であることを確認できます。

 

議事録は存在していても株主総会が開かれていない、手続きの不備が大きくて総会を開催したとは言えないなどの場合、決議はなかったものと見なされます。決議の不存在を確かめることを目的に、訴訟を起こします。

 

決議が無効となる、訴えられるとなったら、会社の経営を左右しかねません。

開催前の手続きを含め、株主総会を適切に開催することは、会社の信頼獲得につながります。長期にわたる安定経営に欠かせないため、法に則った方法・手順で総会を開きましょう。

株主総会議事録の電子化が可能に

会社法第318条より、株主総会議事録は電子化できると分かります。

株主総会議事録とは、株主総会の決議事項についてまとめた書類です。会社法第318条で作成が義務づけられています。

本店には議事録の原本を株主総会の日から10年間、支店には写しを株主総会の日から5年間保管が必要です。

 

電磁的方法で作成し、法務省令で定める方法で表示したものの閲覧・謄写の請求に応じることができれば、写しを5年間保管しなくても良くなります。

では、株主総会議事録はどのように電子化するのでしょう。

株主総会議事録の電子化方法

株主総会議事録をパソコンで作成しただけでは、電磁的方法で作成した議事録とは認められません。電磁的方法による作成は、電子署名が必要となるケースがあるためです。電子署名とは、オンライン上で契約者本人であることを証明するためのもので、紙面上の署名にあたります。

 

電子署名もまた、オンライン上で署名を入力しただけでは認められません。法務局に認定された信頼できる機関が、本人によって電子署名されたことを証明する仕組みの整った電子署名サービスの利用が必要です。

要件を満たす電子署名を用いることで、電磁的方法で作成したことになります。

 

株主総会議事録は原則、押印は不要です。電子化した場合も同様です。

ただし、定款で押印を定める場合と代表取締役を選定する場合は、押印が必要です。

まとめ

株主総会とは、株主の決議によって会社の意思決定を行う機関です。

決議は重要度に応じて、普通決議、特別決議、特殊決議に分類されます。重要度の高い事項ほど、決議要件は厳しいです。

 

取締役会設置会社の場合、取締役会での決議事項となるものもあるのでご注意ください。

法令や定款に反するなど、決議方法によっては決議が無効になる可能性があります。法令や定款を確認し、定められた方法で決議できるようにしましょう。

 

株主総会議事録は、電磁的方法での作成が認められています。

取締役会議事録の電子署名は必須で、株主総会議事録も電子署名が必要となるケースがあります。

両者の電子化にあたって電子署名にも対応している電子文書作成サービスを利用することで、すぐに電子化を導入できて、業務効率化にも取り組みやすいでしょう。

 

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