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ノウハウ 反社条項とは?反社会的勢力排除のための契約書について

投稿日:2024年02月21日

反社条項とは?反社会的勢力排除のための契約書について

反社条項とは?反社会的勢力排除のための契約書について

取引関係先に反社会的勢力がいると、自社が不利益を被るリスクを抱えてしまいます。
そこで、信用が損なわれないためには反社会的勢力の排除に関する条項、略して反社条項(暴排条項)を契約書に盛り込み反社会的勢力との取引を避けることをおすすめします。


反社条項が必要な理由、ない場合に想定されることなどの詳しい説明とあわせて、契約書の作成で参考になるひな形や条例について紹介します。

 

 

反社条項(暴排条項)とは

正式名称は「反社会的勢力の排除に関する条項」。「暴力団排除条項(暴排条項)」とも言います。

契約締結時、双方が反社会的勢力とは無関係であること、そして、暴力的な要求をしないことを保証するための条項です。

 

「第○条反社会的勢力の排除」といった書き方で、契約書内に盛り込まれます。

反社会的勢力の種類一覧

反社会的勢力の定義に関する質問主意書で、反社会的勢力の定義について触れられています。

文書内の定義によると、反社会的勢力とは「暴力、威力、詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団・個人」を指します。

暴力団をイメージする方が多いと思いますが、企業が排除しなければならない勢力は、暴力団にとどまりません。

 

  • 暴力団
  • 暴力団準構成員
    構成員ではないものの、暴力団と関係を持ちながら暴力的行為などを行う者。暴力団に資金や武器などを提供して存続と運営に関与・協力する者も含みます。
  • 暴力団関係企業
    「フロント企業」「企業舎弟」とも言われる、反社会的勢力関係者が資金調達のために経営している企業
  • 総会屋
    質問権や議決権を有する株主である一方、株主として権利を濫用し不当な要求を行ったり、株主の権利の行使について企業からコンサルタント料などとして利益を受け取ったり、受け取る恐れのある人・組織
  • 社会運動標ぼうゴロ
    社会運動を掲げたり見せかけたりすることで、不正な利益のために暴力的不正行為などを行う恐れのある者
  • 特殊知能暴力集団
    反社会的勢力との関係をほのめかしたり、資金的なつながりを持つことで、不正の中心的役割を担う集団
  • 半グレ集団
    暴力団に属さない犯罪組織

契約書に反社条項は必要?

万が一、契約を交わした相手が反社会的勢力に該当する場合、自社が不利益が被らないようにするためにも、条項を入れることをおすすめします。

 

そもそも、各都道府県・市区町村で「暴力団排除条例(暴排条例)」を定めています。

暴排条例とは、暴力団を自治体や地域住民や事業者の事業活動・取引から排除するための基本理念や責務や役割などを設定し、暴力団排除の措置などを定めたものです。

 

条例は法律ではありませんが、地域内では法律と同じような効力を持ちます。

暴排条例は反社会的勢力が利益を得られるようにすること、反対に反社会的勢力から利益を得ることのどちらも禁止しています。反社会的勢力と取引をしてしまうと、勧告や公表、罰則を科されてしまうことがあります。

 

条例で、契約書に反社条項を設けることと、反社会的勢力でないことの誓約書を事業者の努力義務としています。罰則はありませんが、条例を守るためにも、反社条項は入れた方が良いです。

 

反社会的勢力と取引していると見なされれば、世間から厳しく見られます。信用問題にも関わります。

 

反社条項を記載しておくことで、相手が反社会的勢力であると判明したら、即座に契約解消できます。損害賠償請求できる点でも安心です。

反社条項の例:ひな形

書き方は契約書の性質や業界などで異なります。ただし、入れるべき内容は大きく変わらないため、下記のポイントは押さえましょう。

 

  • 反社会的勢力の定義と、反社会的勢力に該当しないことの表明・確約
  • 反社会的勢力と関係を持たないことの表明・確約
  • 暴力的な要求行為といった反社会的行為をしないことの確約
  • 違反時の契約解除、損害賠償・違約金
  • 再委託先が反社会的勢力でないことの確認(不当介入があった時についても追加)

 

警視庁の媒介契約書モデル条項例が参考になります。

媒介契約書 モデル条項例 (反社会的勢力の排除) 第○条 甲及び乙は

 

他にも、国や各都道府県で反社条項の記載例を示しています。

国土交通省は売買契約や賃貸借契約の例文を提示しています。

売買契約書

第○条 売主及び買主は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。 

① 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員 (以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと。 

② 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が 反社会的勢力ではないこと。

③ 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。

④ 本物件の引き渡し及び売買代金の全額の支払いのいずれもが終了するまでの間に、自ら又は第三者を利用して、この契約に関して次の行為をしないこと。

 ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為

 イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為 

 

2 売主又は買主の一方について、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの 催告を要せずして、この契約を解除することができる。

 ア 前項①又は②の確約に反する申告をしたことが判明した場合

 イ 前項③の確約に反し契約をしたことが判明した場合

 ウ 前項④の確約に反した行為をした場合

 

3 買主は、売主に対し、自ら又は第三者をして本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動 の拠点に供しないことを確約する。

 

4 売主は、買主が前項に反した行為をした場合には、何らの催告を要せずして、この契約を 解除することができる。 

 

5 第2項又は前項の規定によりこの契約が解除された場合には、解除された者は、その相手 方に対し、違約金(損害賠償額の予定)として金○○○○円(売買代金の 20%相当額)を 支払うものとする。 

 

6 第2項又は第4項の規定によりこの契約が解除された場合には、解除された者は、解除に より生じる損害について、その相手方に対し一切の請求を行わない。 

 

7 買主が第3項の規定に違反し、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供し たと認められる場合において、売主が第4項の規定によりこの契約を解除するときは、買主 は、売主に対し、第5項の違約金に加え、金○○○○円(売買代金の 80%相当額)の違約 罰を制裁金として支払うものとする。ただし、宅地建物取引業者が自ら売主となり、かつ宅地建物取引業者でない者が買主となる場合は、この限りでない。

売買契約書 モデル条項例

賃貸借契約書

第X条 (反社会的勢力の排除) 

借主(乙)は、貸主(甲)に対し、次の各号の事項を確約する。

(1) 自らまたは自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれら に準ずる者をいう。)が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋もしくはこれらに 準ずる者またはその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。 

(2) 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約の締結をするものではないこと。 

(3) 自らまたは第三者を利用して、次の行為をしないこと。 

ア 甲に対する脅迫的な言動または暴力を用いる行為。 

イ 偽計または威力を用いて甲の業務を妨害し、または信用を毀損する行為。 

 

第Y条 (禁止又は制限される行為) 

乙は、本物件の使用に当たり、次の各号に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供すること。 

(2) 本物件または本物件の周辺において、著しく粗野もしくは乱暴な言動を行い、 または威勢を示すことにより、甲、他の賃借人、付近の住民または通行人に不安 を覚えさせること。 

(3) 本物件を反社会的勢力に占有させ、または本物件に反復継続して反社会的勢 力を出入りさせること。 

 

第Z条 (契約の解除) 

乙について、次のいずれかに該当した場合には、甲は何らの催告もせずして、本契約 を解除することができる。 

(1) 第X条の確約に反する事実が判明したとき。 

(2) 契約締結後に自らまたは役員が反社会的勢力に該当したとき。 

2.甲は、乙が第Y条に掲げる行為を行った場合は、何らの催告も要せずして、本契約 を解除することができる。

 

不動産賃貸借契約における反社会的勢力排除のための条項例

東京都

公益財団法人暴力団追放運動推進都民センター(暴追都民センター)による文例が示されています。

 

第○条 反社会的勢力の排除

  1. 甲は乙が以下の各号に該当する者(以下「反社会的勢力」という)であることが判明した場合には、何らの催告をせず、本契約を解除することができる。
    1. 暴力団
    2. 暴力団員
    3. 暴力団でなくなった時から5年を経過していない者
    4. 暴力団準構成員、特殊知能暴力集団などと続く

 

  1. 甲は、乙が反社会的勢力と以下の各号の一にでも該当する関係を有することが判明した場合には、何らの催告を要せず、本契約を解除することができる。
    1. 反社会的勢力が経営を支配していると認められるとき
    2. 反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められるとき
    3. 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図り、又は第三者に損害を加えるなど、反社会的勢力を利用していると認められるとき
    4. 反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められるとき
    5. その他役員等又は経営に実質的に関与している者が、反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているとき

 

  1. 甲は、乙が自ら又は第三者を利用して以下の各号の一にでも該当する行為をした場合には、何らの催告をせず、本契約を解除することができる。
    1. 暴力的な要求行為
    2. 法的な責任を超えた不当な要求行為
    3. 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
    4. 風説を流布し、偽計又は威力を用いて甲の信用を棄損し、又は甲の業務を妨害する行為
    5. その他各号に準ずる行為

 

https://boutsui-tokyo.com/wp-content/uploads/kakuyaku.pdfと続く

 

再委託先について、甲が条項に則って契約解除して乙に損害が生じても賠償や補償しないこと、契約解除で甲に損害が生じた時には乙は賠償責任を負うことの文例です。

反社会的勢力の定義についても詳しく書いてあります。

神奈川

2024年1月時点では反社条項のひな形は提供されていないようです。

県の暴排条例を参照することで、契約書に記載すべき内容が見えてくるかもしれません。

 

事業者に関係する項目をいくつか紹介します。

(事業者の責務) 

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、暴力団の 活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる取引を防止するために必要な措 置を講ずるよう努めなければならない。 

2 事業者は、県が実施する暴力団排除に関する施策に協力するよう努めなければなら ない。 

 

(事業者団体の責務)

第6条 事業者団体は、基本理念にのっとり、事業者自らがその事業活動に関し取り組 むべき暴力団排除のための基準の作成その他の事業者による暴力団排除を促進するた めに必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

(契約の締結における事業者の責務) 

第22条 事業者は、その事業に係る取引が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に 資することとなるおそれがあると思料するときは、当該取引の相手方、当該取引の媒介をする者その他の関係者が暴力団員等又は暴力団経営支配法人等でないことを確認 するよう努めるものとする。 

2 事業者は、その事業に関して書面による契約を締結するときは、その契約書に、当該契約の履行が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが判明したときは当該契約を解除することができる旨を定めるよう努めるものとする。ただし、当 該契約の履行が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるおそれがないことが明らかなときは、この限りでない。 

3 事業者は、前項の規定により契約書においてその契約を解除することができる旨を定めた場合において、当該契約の履行が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することが判明したときは、当該契約の定めに従い、当該契約を解除するよう努めるものとする。 

 

(利益供与等の禁止) 

第23条 事業者は、その事業に関し、暴力団員等、暴力団員等が指定したもの又は暴力 団経営支配法人等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。 

(1) 暴力団の威力を利用する目的で、金銭、物品その他の財産上の利益を供与するこ と。

(2) 暴力団の威力を利用したことに関し、金銭、物品その他の財産上の利益を供与すること。 

2 事業者は、その事業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。 

(1) 暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら、暴力団員等、暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等 に対して出資し、又は融資すること。

(2) 暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら、暴力団員等、暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等 から出資又は融資を受けること。 

(3) 暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら、暴力団員等、暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等 に、その事業の全部又は一部を委託し、又は請け負わせること。 

(4) 暴力団事務所の用に供されることが明らかな建築物の建築を請け負うこと。 

(5) 正当な理由なく現に暴力団事務所の用に供されている建築物(現に暴力団事務所 の用に供されている部分に限る。)の増築、改築又は修繕を請け負うこと。 

(6) 儀式その他の暴力団の威力を示すための行事の用に供され、又は供されるおそれ があることを知りながら当該行事を行う場所を提供すること。 

(7) 前各号に掲げるもののほか、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資する こととなるおそれがあることを知りながら、暴力団員等、暴力団員等が指定したも の又は暴力団経営支配法人等に対して金銭、物品その他の財産上の利益を供与する こと。 

3 何人も、前2項の規定に違反する事実があると思料するときは、その旨を公安委員会に通報するよう努めなければならない。 

 

(利益受供与等の禁止) 

第24条 暴力団員等又は暴力団経営支配法人等は、情を知って、前条第1項若しくは第 2項の規定に違反することとなる行為の相手方となり、又は当該暴力団員等が指定し たものを同条第1項若しくは第2項の規定に違反することとなる行為の相手方とさせ てはならない。 

2 何人も、前項の規定に違反する事実があると思料するときは、その旨を公安委員会 に通報するよう努めなければならない。 

 

(宅地等の譲渡等の制限) 

第25条 県内に所在する宅地(建物の敷地に供せられる土地をいう。)又は建物(建物 の一部を含む。)(以下「宅地等」と総称する。)の譲渡、交換又は貸付け(地上権 の設定その他他人に宅地等を使用させることを含む。以下この条において「譲渡等」 という。)をしようとする者は、その相手方に対し、書面又は口頭で、当該宅地等を 暴力団事務所の用に供しない旨を確認するよう努めるとともに、当該宅地等の譲渡等 に関して書面による契約を締結するときは、その契約書に、当該宅地等を暴力団事務 所の用に供してはならない旨を定めるよう努めなければならない。ただし、暴力団事務所の用に供されるおそれがないことが明らかな宅地等の譲渡等にあっては、これら の措置を講ずることを要しない。 

2 何人も、宅地等が暴力団事務所の用に供されることを知りながら、当該宅地等の譲 渡等をしてはならない。

 

(宅地建物取引業者による助言等) 

第26条 宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に 規定する宅地建物取引業者をいう。)は、宅地等の売買若しくは交換又は宅地等の売 買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をしようとするときは、その取引の関係者 に対し、宅地等の取引における暴力団排除に関し、必要な助言をしなければならない。 

2 何人も、宅地等が暴力団事務所の用に供されることを知りながら、当該宅地等の売 買、交換又は貸借の代理又は媒介をしてはならない。

令和4年改正 R5.4.1 施行 神奈川県暴力団排除条例

福岡

福岡市がダウンロードできるテンプレートを提供しています。

 

(確約事項)

第○条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。

一 自らが、暴力団関係者(暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者をいう。以下同じ。)ではないこと。

二 暴力団関係者に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものではないこと。

 

(不当介入を受けた場合の措置)

第○条 乙は、乙又は乙が本契約に関連して締結する売買、貸借、請負その他の契約(以下この条において「関連契約」という。)及び当該関連契約が下請又は再委託の契約であって、それが数次にわたる場合には、乙が締結したものにかかわらず、その全てを含む契約(以下これらの契約を「関連契約等」という。)の相手方が、暴力団関係者から不当要求又は業務妨害等の不当介入を受けた場合は、これを拒否し、又は関連契約等の相手方をしてこれを拒否させるとともに、不当介入があった時点で、速やかに不当介入の事実を甲に報告し、甲の捜査機関への通報及び甲への報告に必要な協力を行うものとする。

 

(事業契約の解除)

第○条 甲は、乙が前2条の規定に違反することが判明した場合は、何ら催告することなく、本契約を解除することができる。

2 甲は、乙の関連契約等の相手方が暴力団関係者であると判明した場合は、乙に対し、当該関連契約等の解除その他の必要な措置を講ずるよう求めることができる。

3 甲は、乙が前項の規定による求めに対し、正当な理由がなくこれに応じない場合は、本契約を解除することができる。

4 甲は、乙が自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれかに該当する行為をした場合には、何らの催告を要せず、本契約を解除することができる。

一 暴力的な要求行為

二 法的な責任を超えた不当な要求行為

三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為

四 風説を流布し、偽計又は威力を用いて甲の信用を毀損し、又は甲の業務を妨害する行為

五 その他前各号に準ずる行為

5 甲が本条の規定により本契約を解除した場合には、乙に損害が生じても甲は何らこれを賠償ないし補償することは要せず、また、かかる解除により甲に損害が生じた場合は、乙はその損害を賠償するものとする。

 

福岡市 契約書における暴力団排除モデル条項

大阪

大阪府警はいくつかの記載例を提供しています。一例として、一般的な契約で使えるものを紹介します。

 

(暴力団等反社会的勢力の排除) 

第●条 乙は、甲に対し、本件契約時において、乙(乙が法人の場合は、代表者、役員又 は実質的に経営を支配する者。)が暴力団、暴力団員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治運動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団、その他反社会的勢力(以下「暴 力団等反社会的勢力」という。)に該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当 しないことを確約する。 

2 乙は、甲が前項の該当性の判断のために調査を要すると判断した場合、その調査に協 力し、これに必要と判断する資料を提出しなければならない。 

(契約の解除等) 第●条 甲は、乙が暴力団等反社会的勢力に属すると判明した場合、催告をすることなく、 本件契約を解除することができる。 

2 甲が、前項の規定により、個別契約を解除した場合には、甲はこれによる乙の損害を 賠償する責を負わない。 

3 第1項の規定により甲が本契約を解除した場合には、乙は甲に対し違約金として金● ●円を払う。

反社条項が必要な理由

  • 反社条項に違反しないため
  • コンプライアンスを守るため
  • 企業の社会的責任を果たすため
  • 不当な要求を飲まないようにするため

反社条項に違反しないため

自社が反社会的勢力に該当しなくても、反社会的勢力と関係があれば反社条項に違反していると見なされることがあり、他社から条項に違反していることを理由に、契約解除されたり損害賠償を請求される恐れがあります。

契約書に反社条項を含めることで、反社会的勢力との取引を避けやすくなります。締結後に反社会的勢力と判明しても、契約書に基づいて契約解除できる点でも、自社の健全性を保ちやすいです。

コンプライアンスを守るため

コンプライアンスとは、法令や社会規範などを遵守することです。企業の信頼性を担保するためには、コンプライアンスを意識した経営が当然と見なされています。

 

反社会的勢力との取引は信用問題に関わります。反社会的勢力と一切の関わりを持たないと約束することは、一種のコンプライアンスを遵守した経営体制と言えます。結果、信用が損なわれることによる業績への悪影響を避けることにつながります。

企業の社会的責任を果たすため

企業の社会的責任とは、企業活動が影響を及ぼす範囲、例えば消費者や地域社会などに対して負う責任のことで、CSRとも略されます。

 

CSRが広まったきっかけのひとつに、企業の不祥事が相次いだことが挙げられます。不祥事をなくして信頼できる企業であり続けるために取り組むべきことと考えられています。

 

反社会的勢力と取引することで、反社会的勢力が受け取った利益などが活動に使われる恐れがあります。

反社会的勢力と無関係で、犯罪行為に加担しないことを示すことは、クリーンな企業の最低条件と言えるでしょう。

不当な要求を飲まないようにするため

反社会的勢力と取引しないことを宣言しないと、脅迫などで不当に利益を得ようとすることに巻き込まれる恐れがあります。

反社会的勢力から不当な要求を受けないためにも、契約締結時に反社会的勢力と関わらないことを誓約することが大切です。

反社条項が必要な契約書例

  • 売買契約書
  • 賃貸借契約書
  • 請負契約書
  • 委任・準委任契約書
  • 取引に関する契約書(業務委託契約書、共同開発契約書、商品購入契約書など)
  • 雇用契約書
  • 労働者派遣契約書
  • 誓約書や確認書

 

取引や入社時には、双方のトラブルを防ぎ、万が一トラブルが起きても問題を最小限にするためにも、反社会的勢力ではないこと、将来的にも反社会的勢力と関わりを持たないことを約束させることが重要です。

 

売買契約書などの契約書に限らず、誓約書にも含めることが暴排条例の努力義務とされています。

 

確認書は会社と株主との間で交わします。

反社条項がない場合にどうなるか

相手が反社会的勢力と判明しても、すぐに契約破棄できなくなります。裁判を経ることで解除できないことはありませんが、時間がかかることは否めません。

契約書に条項が含まれないことを理由に、契約解除が認められなかった事例もあります。

 

従業員が反社会的勢力の関係者と分かった時にすぐに辞めさせられないという問題も生じます。

企業自体が反社会的勢力と関係があると疑われてしまうと、以下のようなリスクを抱えることになります。

 

  • 刑事罰
  • 損害賠償、民事訴訟
  • 行政処分、行政罰
  • 信用毀損、業績リスク

 

取引先や従業員が反社会的勢力の関係者だと、活動に協力したと見なされて刑事事件に発展する恐れがあります。刑事事件として報道されれば、顧客や反社会的勢力と無関係の取引先からの信用が失われます。契約解除、不買などに至ることが想定されます。

取引先が契約解除を理由に不利益を被ることで、損害賠償請求を起こしてもおかしくありません。

 

反社会的勢力の利益につながる取引をすることは、暴排条例違反です。勧告、公表や命令、刑事罰・行政罰の対象になります。

まとめ

反社会的勢力でないことと、反社会的勢力と関係を持たないことを示した上で契約を結ぶためには、契約書に反社条項を取り入れることがポイントです。

反社条項があれば、取引先が反社と関係があると判明したらすぐに契約解除でき、自社のリスクを最小限に抑えられます。

自社が反社と無関係でクリーンな経営をしていることの証明にもなります。

 

条項が必要な契約を交わす際には、国や都道府県のひな形や暴排条例を参考にしてみてください。

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