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ノウハウ AIレビュー導入で失敗しないために ― 契約業務の本質を見極める

投稿日:2025年10月2日

AIレビュー導入で失敗しないために ― 契約業務の本質を見極める

AIレビュー導入で失敗しないために ― 契約業務の本質を見極める

近年、法務部門を中心に「AIレビュー」ツールの導入が広がっています。契約書の条文を解析し、リスクや修正案を提示する仕組みは非常に有用であり、多くの企業が期待を寄せています。しかし実際には、「導入したものの活用が進まない」「思っていたほど効率化できない」といった声も少なくありません。
なぜこのようなギャップが生まれるのでしょうか。その答えは、契約業務における“レビュー”というプロセスの本質を正しく理解していないことにあります。

AIレビューの本質と限界

AIレビューが得意とするのは、契約書テキストの解析です。
具体的には以下のような領域です。
・条文の抜け漏れ確認
・リスクのある表現の指摘
・代替案の提示
これらは「修正方針の確定」や「理解の促進」に大きな力を発揮します。
一方で、AIレビューはあくまで文書そのものの分析に特化しており、契約レビュープロセス全体を効率化するものではないという限界も存在します。

契約レビュープロセスを支える7つのタスク


契約書レビューは、単なる条文チェックにとどまりません。実際には7つのタスクで成り立っています。

1.レビュー要否の判断に必要な情報の提出・回収
2.レビューの必要性を判断
3.判断材料となる追加情報の収集
4.契約書の解釈やレビュー方針の決定
5.レビュー結果の言語化・修正・記録・伝達
6.方針や進め方についてのステークホルダー承認
7.レビュー結果を踏まえた相手との交渉・調整

AIレビューが支援できるのは、主に④や⑤の一部に過ぎません。つまり、残る多くのタスクは依然として人の手による調整や判断に依存しており、ここに工数やボトルネックが潜んでいるのです

なぜ失敗するのか ― プロセス課題の見落とし

AIレビューを導入した企業が「期待外れ」と感じるのは、ツールがプロセス全体を自動化してくれる“魔法の杖”だと誤解しているからです。
しかし、契約業務の停滞要因はむしろプロセス側にあることが多いのです。例えば

・レビュー要否をすべて法務が判断している
・基本契約や原契約を探す作業に時間がかかっている
・ステークホルダー承認のためのやり取りが多すぎる

こうした課題を解決せずにAIレビューだけを導入しても、全体の効率化は実現できません。

重要なのは「どこに負荷がかかっているか」を特定すること

契約レビューを効率化する第一歩は、自社の業務を7つのタスクに分解し、どこで工数が集中しているかを明確にすることです。
例えば、レビュー要否の判断や契約内容の整理といった前段階での作業に時間を取られている場合、それを自動化する仕組みを整えるだけで法務部門の負担は大きく軽減できます。

まとめ

AIレビューは確かに優れた技術ですが、それ単体では契約業務全体の効率化は実現できません。
契約レビュープロセスを構成する7つのタスクを理解し、自社におけるボトルネックがどこにあるのかを正しく見極めることこそ、導入成功の鍵となります。

「文書の修正」だけではなく「プロセス全体」をどう設計するか
その視点を持つことで、AIレビューを最大限に活かし、真の契約DXを実現できるのです。

著者名

ContractS編集部

ContractSは、契約プロセスの構築や契約管理・案件管理を通じて、契約業務を最適化するシステム「ContractS CLM」を開発・販売しています。大企業から中小企業、スタートアップまで、幅広い企業の契約業務改善を支援してきた実績があり、そのコンサルティング経験を活かして、契約業務に関わる読者が参考にできる情報を発信しています。