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ノウハウ 【2021年施行までフォロー】特許法の改正!改正ポイントについて解説。

更新日:2021年11月17日

投稿日:2021年11月16日

【2021年施行までフォロー】特許法の改正!改正ポイントについて解説。

【2021年施行までフォロー】特許法の改正!改正ポイントについて解説。

2021年5月、第204回通常国会で成立した「特許法の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)」の施行期日を定める政令が2021年9月14日に閣議決定されました。附則第1条本文において定める施行期日は2022年4月1日となり、同条第3号に掲げる規定の施行期日は2021年10月1日と決定され、施行されました。

 

特許法は、2019年5月にも改正され、2020年にも4月と10月の2回に分けて、施行されています。なぜ、このような段階的な特許法の改正が行われているのでしょうか。

 

本記事では、特許法の概要と直近の特許法の改正ポイントについてご紹介します。

 

 

 

特許法とはどんな法律?

特許法の改正について知る前に、まずは特許法とはどのような目的のために制定された法律で、どのようなことについて規定しているものなのか、特許法の概要からご紹介します。

 

特許法の概要

特許法(昭和34年法律第121号)とは、1959年に公布された法律です。「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、産業の発達に寄与することを目的」(特許法第1条)とした法律です。

 

特許法では、発明者に対して特許権という独占権を一定期間与えることで発明を保護すること、発明技術を一般に公開することで新たな技術の利用を図り、さらなる技術の進歩を促して産業の発達に寄与することを目指しています。

 

特許を受けるためには特許庁に特許の出願を行い、特許審査を受け、その審査に合格することが必要です。特許法では、特許出願や審査、特許権、審判、罰則などについての細かな規定が定められています。

 

特許法の保護対象と特許を受ける要件

特許法第2条では「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と示しています。

 

特許を受ける要件としては、主に以下のようなことが示されています。

 

・自然法則を利用した技術的思想の創作であること

したがって、万有引力の法則など自然法則そのものや単なる発見であって創作ではないものは特許法の対象とはなりません。また、金融保険制度や課税方法などの人為的な取り決めや経済学上の法則なども対象となりません。

 

・産業上利用できる発明であること

製造業はもちろん、農業や漁業、通信業、運輸業なども産業に含まれるものの、手術や治療に関わる発明など、医療行為に該当するものは産業とはみなされません(但し、医療器具や医薬品は特許権の対象となります)。

 

・新規性を有すること

既に世の中に知られている発明は、特許の対象とはなりません。

 

・進歩性を有すること

特許出願時に既に世の中に良く知られている技術の水準を基に容易に考えつくような程度の発明は進歩性がないために、特許の対象とはなりません。




・先願の発明であること

発明の順番に関わらず、特許庁に先に特許の出願をした人に特許権を与える先願主義を採用しています。そのため、先に特許の出願がされている発明と同一の発明を出願しても特許を受けることはできません。

 

・公序良俗を害するおそれのない発明であること

法律で製造・販売・使用等を禁止されているものの発明は、特許の対象とはなりません。

 

特許権の存続期間

特許権は、特許出願の日から20年間存続します。医薬品等に限っては、延長登録の出願を行うことで5年を限度として存続期間を延長することができます。

存続期間が終了すると特許権も消滅するため、特許権消滅後は誰でもその特許発明を自由に実施することができるようになります。



【2020年4月施行】特許法の改正ポイントは?

2019年5月17日に公布された「特許法等の一部を改正する法律」で改正された既定のうち、特許侵害があった場合の「損害賠償額の算定の見直し」については2020年4月に施行されました。この改正では、損害額の推定等に関する特許法102条の1項が改正され、4項が新設されました。

 

特許法102条1項の改正について

 

・2019年改正前の特許法102条1項の問題点 

特許権が侵害されたことによって生じる損害額は、立証することが難しいという面があります。そのため、改正前の特許法では特許権者の損害額は、特許の侵害がなければ得られることができたと考えられる利益の額とみなすことが示されていました。

 

一方で請求できる額は特許権者の生産能力を超えない限度とすることと規定されていました。また、特許権者が販売できなかった事情があった場合には、請求された損害額から販売できなかった事情に応じた額を控除することができること旨も定められていました。

 

現実的に、特許権者と特許の侵害者の間には、生産能力や販売能力に差がある場合もあります。侵害者の方がより多くの製品を生み出す生産能力を有していた場合や侵害者の方がより強力な販売チャネルを持っていた場合などは、侵害者の努力によってより大きな利益を生み出すことができていたとも考えることができます。

そのため、改正前の特許法では特許権者の生産能力や販売能力を超えた部分については、請求できる損害額としては認められていませんでした。

 

・改正された特許法102条1項の内容

2019年改正前の特許法では、特許権者は生産能力や販売能力を超えた部分の額に関しては、損害を請求することができませんでした。しかしながら、侵害者が得た利益は特許権者の権利を侵して得た利益となります。

 

また、侵害者によって無断で特許発明を利用されたことにより特許権者はライセンス設定の機会を逸したともいえます。そのため、特許権者にとっては裁判によって決定された損害賠償額について納得できないケースも多くありました。

 

この問題を解消するために、特許権者は自らの生産能力や販売能力を超えた額に関しても、ライセンス料相当額の逸失利益として損害賠償を求めることを認める規定に改正が行われました。

 

特許法102条4項の新設について

・特許法102条3項の問題点

特許法102条3項では「特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。」とし、特許権侵害による賠償金の請求を行う際には、ライセンス料相当額の損害額を請求できることを謳っています。

 

これまでの裁判例では過去の実施許諾例や業界相場、特許発明の貢献度、市場における特許権利者などの地位、特許権の侵害を受けた品の販売価格や販売数量などさまざまな要素を考慮したうえでライセンス料相当額が算出されてきました。

 

一方で従来の裁判例では特許権者のライセンス付与の機会を損失したことや有効な特許権が侵害されたことなど、特許権の侵害があったことを前提とした特許権者と侵害者間の具体的な事情が考慮されてきたかどうかは、はっきりとはしていない状態でした。

 

・新設された特許法102条4項の内容

そこで、侵害があったことを前提とした当事者間の具体的な事情を考慮し、適切な損害額を算定することができるように102条4項が新設されました。

この改正によって、ライセンス料相当額に該当する損害賠償請求を行う場合、特許権侵害の事実やライセンス付与機会の喪失、侵害者が契約上の制約がない状態で特許発明を実施したことなどを勘案したうえで、適切なライセンス料相当額を算定することができるようになりました。

 

【2020年10月施行】特許法の改正ポイントは?

2020年10月に施行されたのは2019年5月17日に公布された「特許法等の一部を改正する法律」で改正された既定のうち「査証制度の創設」の部分です。特許法105条の2~105条の2の10の新設によりこの制度は誕生しました。

 

新たに導入された査証制度とは

特許権を侵害された場合は、侵害者に対して損害賠償の請求や特許の無断使用を差し止める請求をするために訴訟を起こします。査証制度とは、この訴訟において情報や証拠を収集するための手続きのことです。

 

査証制度では裁判所などの命令により中立の立場の専門家が侵害者の工場などにおいて必要な書類を収集し、裁判所へ報告書を提出することとなり、申立人の証拠として利用することが可能になります。

 

査証制度を利用するための要件(特許法105条の2第1項)

査証制度を利用するためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

・侵害行為を証明するために査証が必要であること

・相手方が特許を侵害したと疑うに足りる理由があること

・侵害を証明するための十分な証拠が、他の手段では収集できないこと

・査証の実施により証拠の収集に要する時間や相手方にかかる負担が不相当にならないこと

 

【2021年10月施行】特許法の改正ポイントは?

2021年5月に公布された「特許法等の一部を改正する法律」のうち、一部が2021年10月から施行されました。新型コロナウィルスの感染拡大に対応し、対面を控えたウェブ会議システムの利用やデジタル化などによる手続きの整備が主な改正点となります。2021年10月施行の内容を以下にまとめました。

 

・審判等の口頭審理期日における当事者の出頭のオンライン化

審判長の判断により、当事者及び参加人が実際に法廷に出廷することなく、ウェブ会議システムを利用して口頭審理、証拠調べ、証拠保全の期日における手続きを行うことができるようになりました。

 

・特許料の予納における支払い方法の見直し

特許印紙による特許料の予納を廃止し、銀行振り込みや口座振替による受付が開始されました。窓口におけるクレジットカード支払いについては2022年4月から受付可能となります。

 

・国際意匠登録出願等における手続きの簡素化

新型コロナウィルスの世界的な流行に伴い、一部の国においては国際郵便の引き受けが停止される事態となり、国際意匠登録出願の登録査定に必要となる謄本を発送できないケースが見受けられました。そのため、郵送に代えてWIPO国際事務局を経由した電子送付による提出を可能としました。

 

・追納時の割増料金等の納付免除

新型コロナウィルス感染拡大に伴い特許料を納付期間内に支払うことができない場合を考慮し、感染拡大や災害の発生などの理由によって特許料の納付期間を経過した場合に、相応の期間において追納の際の割増特許料が免除されることとなりました。

 

・手続き書面における旧氏併記を認める

これまで特許出願等の手続きに必要となる書面には、戸籍上の氏名を記載することが求められていました。しかし、昨今の社会情勢の変化を踏まえ、氏名に続き旧氏も括弧書きで併せて記載することが可能になりました。

 

特許法の改正の背景は?

2019年改正特許法は2020年4月、10月、2021年改正特許法の一部は2021年10月と特許法は段階的に改正、施行されており、2022年4月にも2021年改正特許法が施行される予定となっています。

なぜ、このような特許法の改正が続いているのでしょうか。特許法改正の背景について解説します。

 

デジタル化に伴う権利保護の強化の必要性

昨今では、デジタル革命と呼ばれるほどコンピューターや情報技術を活用した産業が発達し、業種による垣根もなりつつあります。

 

規模の大きな企業だけでなくスタートアップ企業や中小企業も新たな技術を活かし、大きく成長できる可能性が広がっている中、特許権によって大切な技術をしっかりと保護するために、訴訟時に特許権利者の利権を守ることができるよう、損害賠償額の算定方法の見直しが行われました。

 

また、特許の対象となる発明には「物の発明」と「方法の発明」があり、近年では方法の発明の出願数が増加しています。物の発明においてもソフトウェア特許の登録件数が増加しており、このような方法の発明やソフトウェアの発明の場合、特許侵害の疑いがあった場合に侵害者が提出する書類や製品を検証するだけでその証拠を見つけ出すことは困難です。

 

そのため、査証制度を新設し、中立公正な立場の専門家が侵害者の工場等を訪れ、証拠の収集を行うことができるように法律を改正したのです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による影響

新型コロナウイルスが、世界的に大流行し、感染拡大を抑制するためにさまざまな措置が取られました。

 

特許法においても、人と人との接触機会を減らすことを目的に口頭審理等におけるウェブ会議システムの利用の認可や、国際郵便の引き受け停止時に備えて国際意匠登録出願等における電子送付方式による提出を認可するなどの改正が行われました。



また、感染症の拡大や災害発生などの理由によって特許料の納付が遅れた場合には、割増料金の納付を不要とする規定も盛り込まれています。

 

まとめ

特許法とは、発明の保護と利用を図ることによって産業の発展に寄与することを目的に制定された法律です。特許法は、昨今の産業構造の変化や社会状況の変化に合わせて特許権者の権利を守るため、度々の法改正が行われています。

 

2020年4月、10月、2021年10月に施行された改正法では、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響に対応するためのデジタル化の推進や特許権者の権利を守るための改正が行われています。



今回の法改正では、契約書に関してチェックや見直しが必要となる点も多岐にわたるため、あらゆる契約業務の承認や管理、更新手続きの体制も見直しが必要です。

 

こうした契約業務をワンプラットフォームで最適化するサービスの導入を検討するなどして、各企業で「契約DX」を推進していきましょう。

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