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ノウハウ 進む?株主総会の電子化 株主総会資料電子提供制度が2022年施行予定

投稿日:2021年11月25日

進む?株主総会の電子化 株主総会資料電子提供制度が2022年施行予定

進む?株主総会の電子化 株主総会資料電子提供制度が2022年施行予定

株主総会は全面電子化に変化していくのでしょうか?2022年に施行予定の株主総会資料の電子提供制度は、これまでとどのような違いがあるのか、株主総会を開催するために必要な文書やその作り方、注意点について解説します。

▶︎【こちらの記事もおすすめ】バーチャル株主総会とは?形式や開催方法を解説。

 

 

株主総会とは?種類2つ

株主総会とは、株式会社の出資者「株主」を招集し、会社の重要な事柄を決める場のことです。株主総会は開催目的、時期などの違いから主に後述する2種類に分かれます。

株主総会とは


株主総会とは、株式会社の経営に関係する事項を決めるために開かれる会議です。株主総会では株式会社に対して利害関係のある株主が集まり、経営に重大な影響を及ぼす事項をについて決定する「議決権の行使」を行います。


株式会社の株主は会社の株を持っている出資者のことです。会社の経営に関して「自益権」と「共益権」を持っています。「自益権」は株式会社から配当金などの経済的な利益を受け取る権利、「共益権」は株主総会の議決権など株主全体の利益に影響する行動を起こす権利です。株主総会は、こういった株主の権利を行使できる重要な場です。


基本的に株式会社は、毎年事業年度の終了後に株主総会を開催する義務があります。この株主総会で決めることは経営に関係する重要な事項で、社内の会議や取締役会などで決められないことばかりです。
会社法に法って、株主総会では主に「定款の変更、新株発行、会社の解散・合併など会社の組織・事業に関係する事項」や「取締役・監査役などの選任と解任など役員に関係する事項」「剰余金の配当、株式譲渡制限会社の新株発行、役員報酬の決定など株主の利害に関係する事項」を議題にし、決議を行います。

株主総会では基本的に「資本多数決」の形式が取られ、1株に対して付与される議決権は1つです。したがって、決議には所有株数の多い株主の意向が大きく影響することになります。

議決権は、基本的に株主が株主総会に出席した際に行使されます。ただし株主の人数が多い会社では株主が休まず全員出席することは難しく、代理人による議決権の行使も可能とされています。

書面投票、電子投票制度も利用可能なので、適切な方法を選び開催することが大切です。株主総会の議案を株主全員が同意している場合など、一定の要件を満たしているケースでは、株主総会の開催を省略できる「書面決議」の実施が可能です。

株主総会には2種類ある

株主総会には、「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種あります。両者は、開催時期や議案の内容で異なっており、また、「開催義務が法的にあるかないか」も異なります。


【定時株主総会】
定時株主総会は、事業年度の終了後3ヶ月以内に開催しなければならない株主総会です。会社法296条1項によって毎年の開催が義務づけられています。日本には事業年度の終了日を3月末日に設定している会社が多いため、多くの会社が定時株主総会を3月末から3ヶ月以内の6月末までに行います。
同様に、事業年度の終了日を5月に設定している会社の場合、5月末を過ぎてから8月末までに開催しなければなりません。定時株主総会では、当事業年度の決算報告や承認、事業内容の報告、剰余金の配当などを決めます。

【臨時株主総会】
会社法296条2項によって、定時株主総会以外で総会が必要なときに、随時開催すると定められているのが臨時株主総会です。臨時株主総会は「緊急の定款変更」「役員欠員時の選任」「非公開会社が第三者割当増資、新株予約券発行」などの決議を行う際に開催します。
毎事業年度に必ず開催するといった株主総会ではないためまったく開催しない場合もあり、必要があるときには何度でも開催できるといった特長があります。

株主総会を開催するために必要なもの

¥株主総会の開催に関係して、株主総会開催前には「招集通知」や「添付書類」などをそろえる必要があります。株主総会の「開催時」や「開催後」に必要なものもあるので、開催前からいろいろと作成して準備しておかなければなりません。株主総会前から、準備スケジュールを設定して確実に準備を行うことが大切です。


【株主総会準備スケジュール】

  1. 事業年度末
    事業年度末(3月31日に定めている会社が多いため)3月31日を「基準日」として株主を特定します。
  2. 事業報告・決算書類などを作成、監査役による監査完了
    当事業年度の決算書類や事業報告書などを作成します。完成した書類は監査役による監査を受けます。監査役が監査を行ったのちに監査報告書を作成、取締役に提出します。
  3. 取締役会の開催
    取締役会を開催し、決算書類や事業報告書の承認決議を行います。さらに株主総会の開催日時、場所、議題を決めます。
  4. 株主へ招集通知を送付
    株主に総会の開催・招集について知らせる「招集通知」を送付します。
  5. 株主総会の開催準備
    株主総会の運営に必要な「想定問答集」など開催に必要な書類を作成、開催準備を行います。
  6. 議事録の作成と管理
    株主総会は、議事録の作成が義務づけられている会議です。議事録を作成して保管しておく必要があります。

株主総会の開催前に必要なもの


事業年度ごとに開催する義務がある定時株主総会において、開催前までに準備しておく必要があるものは「株主総会招集通知」「事業報告書」「決算書類」です。総会の開催前には、株主に対して「招集通知」に関係資料を添付して送付しなければなりません。


【招集通知】
株主に対して総会の開催や、出席と議決権を使用する機会について知らせるため送付するものが招集通知です。定時株主総会では、開催の日時や場所、議題、議案内容などを通知に記載します。株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法で議決権を行使できる場合には、そのことを「株主総会参考書類」で通知します。
招集通知は、定款で定めている「基準日」に株主名簿に記載されている株主に送付します。また会社法299条によって、発送しなければならない日も定められています。そのため招集通知は「公開会社および書面投票・電子投票を行う会社」が開催日の2週間前まで、「全株式譲渡制限会社」は開催日の1週間前までに作成して送付しなければなりません。


招集通知の添付書類(会社法437条)】

  • 事業報告
  • 監査役の監査報告
  • 計算書類
  • 連結計算書類(必要な場合)
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表

株主総会の開催時と開催後に必要なもの


株主総会を開くには、開催前までに必要な書類だけでなく開催時と開催後に必要な書類もあります。まず株主総会当日には、会を進行するときに使用する「株主総会議事進行シナリオ」が必要です。「株主総会議事進行シナリオ」には、株主総会を進行する際の台本としての役割があります。

また、議題の内容に関する説明・プレゼンテーション内容が記載されている「株主総会議事進行シナリオ」もあります。どちらの書類も会議の進行・議題のプレゼンテーションなどに必要な書類を準備しておくと、当日の総会をスムーズに進めることが可能です。

株主から質問された場合にもスムーズに応えられるように、資料として「想定問題集」も必要です。当日わからない点や質問されたときに、とっさに「想定問題集」を見直すことは難しい場合が多いですが、事前によく目を通して回答を覚えておくと安心です。


株主総会の開催後に必要なものには、「議事録」と「決議通知書」があります。「決議通知書」は、株主総会の決議内容を株主に通知する書類です。「決議通知書」には、開催中に審議された内容と決議について記載してあります。法律で作成が定められている書類ではありませんが、株主に対して誠意ある対応を見せるために、作っている会社は少なくありません。近年では、会社のサイトに内容を開示するパターンも増加しています。

株主総会の決議のなかで「議事録」は「会社法施行規則第72条」により定められているものです。会社は必ずこれを作成し、その後長期間保管する必要があります。株主総会の進行や審議、決議の内容などを記録して保管し、株主や債権者に閲覧を求められた場合にいつでも提供しなければなりません。議事録の記載事項は以下です。


【議事録の記載事項】

  • 開催日時と場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人、また株主出席時の出席方法)
  • 議事の審議におけるプロセス、決議
  • 出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名・名称
  • 議長の氏名
  • 議事録を作成した取締役の氏名

紙から電子媒体へ 進む株主総会資料の電子化

近年では新型コロナウイルス感染症への対策として事業報告、計算書類の「特例ウェブ開示」も行われ、株主総会資料の電子化が進んでいます。株主総会で必要な文書は、これまでは郵送など紙ベースの文書で提供しなければならないと定められていました。そのため招集通知には、「事業報告、計算書類、監査報告、代理による議決権行使が可能なケースでは委任状」も作成してプリントアウトし、合わせて郵送していました。

こうした招集通知作成には手間や時間がかかり、ミスの発生に注意する必要もあります。例えば招集通知を一部の株主にしか通知を発送しなかった場合や、内容が間違っていたときには、「招集手続きに瑕疵があった」とみなされて決議が取り消されるケースもあります。
決議の取消にならない程度だとしても、総会に関係する文書にミスがあると会社の信用に悪影響を与えることも考えられます。


株主総会資料を電子媒体で作成するといくつかのメリットがあります。会社が数多くの書類を紙媒体でプリントして書類をまとめ、株主や取締役などの関係者に送付するなど株主総会の準備にかかる業務負担やコストの削減が可能です。準備に必要な業務の軽減により、資料の内容に注力する余裕が生まれるなどのメリットも期待されています。

株主総会資料の電子提供制度が2022年施行予定


2019年12月に改正会社法が公布され、「株主総会資料の電子提供制度」が新しく創設されました。2022年中に施行されれば、2023年に開催される総会から、実際に電子提供が開始されると期待されています。


「株主総会資料の電子提供制度」は、資料を紙で作った文書ではなく電子文書で作り、関係者に提供できる制度です。株主総会で使用する文書の作成、提供にかかる業務負担の軽減を目的に作られました。
会社が電子提供措置を取ると定款に定めた際には、株主総会資料をプリントアウトして作ることや郵送などの手間を省略できます。資料は送付せず開催日の3週間前までに、自社サイトに情報を掲載します。株主には招集通知で掲載サイトURLを知らせます。これによって、「株主に対して、法的に適切な文章提供を行った」と判断されるのです。


「電子提供の書類が確認できない・紙の文書にしてほしい」という株主は、「書面交付請求」によって会社に紙の文書を配布依頼することが可能です。会社側は株主の要望に応えて資料を紙の文書で送付し手元に届ける必要があります。


なお、「書面交付請求」から1年経過した際には、書面交付の終了を通知で知らせます。さらに通知から1ヶ月以上異議がなかった場合、書面交付請求の効力が失われて対応が不要になり、ほかの株主と同様に電子文書の提供に切り替えます。


会社法の改正前にもオンラインで資料を提供する方法はありましたが、このやり方を取り入れるためには株主一人ひとりに連絡して同意を得なければなりません。そのため手間がかかりすぎてしまい、株主の多い会社では活用できませんでした。対して2021年の改正では株主に個別で同意を得る必要がなくなったため、これまでよりも多くの会社で利用が可能です。
上場企業では、定款を変更していないときでもこの制度の利用は強制されます。ただし電子提供措置による電子書面の記載事項を定款で定める際に、電子提供措置への切り替えを明記する会社が多いと考えられています。

株主総会資料の電子提供制度で株主総会はどう変わる?


株主総会資料の電子提供制度により電子文書で対応が可能になる書類は、「株主総会参考資料」「議決権行使書面」「計算書類および事業報告」「連結計算書類」です。紙の文書のときには、これらの書類を株主総会前に一式そろえて株主へ送付していましたが、電子提供制度では文書を送付する必要がありません。


電子提供制度を取り入れると、自社サイトに書類を掲示するだけで送付した場合と同様の処理と認められます。大量の紙文書を作成していた手間がなくなり封筒に書類を入れ込む必要もないため、業務負担の軽減が見込めます。
株主総会参考資料や議決権行使書面などの文書をいつから掲示しなければならないか、その日付にも注意が必要です。株主総会参考資料など電子提供措置を行っている文書は、「開催日の3週間前の日付」もしくは「招集通知を発送した日」のうち、どちらか早い日に掲示を始める必要があります。その後開催日から3ヶ月後までは、継続してサイトに掲示しておかなければなりません。

株主総会の電子化における注意点


株主総会資料の電子提供制度には、注意が必要な点もあります。それは、「招集通知」だけはオンラインで株主に送ることができない点です。


招集通知は株主総会の資料とは異なります。電子提供制度を適用する前よりも招集通知に記載する内容を省略できるため、作成は簡単になります。招集通知には、株主総会の開催日時、場所、議題などを記載して、開催日の2週間前までに紙文書で作成・発送します。
招集通知の発送と一緒に、総会資料を掲示している自社サイトのURLが記載された文書を紙で作成し、株主へ郵送しなければならない点にも注意が必要です。何枚もの資料を送付する手間やコストは削減できますが、紙媒体による送付が必要になります。


電子提供措置も重要なポイントです。株主総会資料そのものを株主へ送付する必要はありません。しかしインターネット上で、株主がいつでもチェックできるように状態にしておかなければなりません。

ただし電子提供措置期間中にも、サーバーのダウンやサイバー攻撃などにより、オンラインで資料を開示できないといった障害が生じるケースはあるでしょう。もし措置期間中に措置が中断されて、株主が資料を確認不可能な状態になれば、瑕疵つまり「株主総会の準備に不備がある」とみなされ、過料が課されます。さらに、株主総会開催前に措置が中断された場合、株主総会の決議が取り消される恐れもあるため注意しなくてはなりません。
こうした事態を回避できるのは、「中断理由が避けようのない、下記のような正当な理由に該当し、それを証明する証拠がある」という場合です。そのため、ウェブサイトに何か問題が起きていないか、常にログを保存して残しておくなどの対策を万全に取っておくことが大切です。


電子提供措置の中断にならない事由(すべてに該当)

  • 株式会社が善意で重大な過失がない、又、株式会社に正当な事由がある
  • 中断された時間を合計した際に、電子提供措置期間の10分の1に満たない
  • 電子提供措置の始まった日から株主総会当日までに中断が生じた際には、その期間に中断された合計が当該期間の10分の1に満たない
  • 株式会社が電子提供措置の中断発生に気づき、速やかに中断が発生した時間及び中断の様子に関して当該措置の電子提供措置を行った


中断が発生するリスクを軽減するには、対策をしっかりと取る必要があります。例えば複数のサーバーを利用していれば、万が一、サーバーがダウンした場合やハッキングなどの被害にあった場合にも、すぐにデータを復旧できるでしょう。また高いセキュリティのクラウドを利用するなど、セキュリティ面の強化も重要です。これらを徹底することで、決議の取り消しなど、重大な問題を避けられます。

まとめ

株主総会とは、出資者の株主が集まり会社の組織や人事、経営などに関係する重要な事項を決定するものです。株主全員に準備しなければならない株主総会関連の資料は、準備だけでも多くの時間とコストがかかります。
自社にとってより良い形を検討しながら、2022年の改正から電子文書で提供するフローを準備し、総会資料の準備コストの削減につなげていきましょう。

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