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ノウハウ 印影とは?印鑑との違いや法律上の意味、知っておきたいビジネスルール

更新日:2023年03月8日

投稿日:2021年08月20日

印影とは?印鑑との違いや法律上の意味、知っておきたいビジネスルール

印影とは?印鑑との違いや法律上の意味、知っておきたいビジネスルール

日本社会に深く根付いているハンコ文化ですが、ハンコに関する言葉には「印影」や「印鑑」「印章」など様々なものがあります。本記事では、印影の意味や印鑑、印章との違い、法人の印鑑登録の方法などについて解説します。また、印影の代わりに近年普及しつつある電子署名についてもご紹介します。

 

 

印影とは?言葉の意味と、印鑑・印章との違い


そもそも印影とは、正確には何を指す言葉なのでしょうか。いわゆる「ハンコ」に関わる用語としては「印影」「印鑑」「印章」など、一見似通った字面の言葉があり、それらが混同して使われている場合もあるようです。そこで以下では、印影の正確な意味や、印鑑、印章との違いについて解説します。

印影とは、「ハンコを押して残った朱肉の跡」のこと


印影とは「ハンコを押した後に紙に残る朱肉の跡」のことです。たとえば宅配便を受け取るときに「伝票にハンコをお願いします」と頼まれることがあります。これを懇切丁寧に言い換えるならば、「伝票にハンコを押して印影を残してください」という表現になります。

印鑑・印章と印影はどう違う?


それでは、印影と印鑑・印章はどう違うのでしょうか。ハンコ本体のことを印鑑だと思っている人もいるかもしれませんが、厳密にいえばこれは間違いです。ハンコ本体は印鑑ではなく印章といいます。印鑑とは、役所に登録してある「実印」や銀行に届け出る「銀行印」の印影を指す言葉です。したがって、実印や銀行印ではないハンコ(認印)は、正確には印鑑に含まれません。

以上から、印影・印鑑・印章の違いをまとめると次のようになります。

印影:印章を紙に押した後に残った朱肉の跡
印鑑:役所や銀行に届け出て登録された印影
印章:印影を残す道具としてのハンコそのもの

なお、上記はあくまでも専門用語としての違いであり、日常的には印章も印影も区別せず、まとめて印鑑もしくはハンコと呼ばれています。とはいえ、役所や企業との重要な手続きで押印が必要となったときのため、言葉の違いも押さえておくと安心です。

法的効力は?文書へ印影を残す意味と理由


ビジネスに限らず、日常生活でも手続きや契約に際して何かと使う機会の多いハンコですが、その効力は法律でどのように規定されているのでしょうか。以下では、文書に印影を残す意味と理由についてご紹介します。

印影は文書作成者の意思証明になる


印影を文書に残すのは、それが文書作成者の意思証明になるからです。契約相手が後になって契約内容に不満を述べたり、違反したりするようなトラブルが起きた際、「この契約内容に私は確かに同意しました」という事実の物的な証拠として裁判で示すことができます。

印影や署名の法的効力については、民事訴訟法228条第4項で触れられており、同項には「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という条文があります。また、押印の法的効力については「最高裁判所判例集」における昭和39年5月12日の判例(事件番号:昭和39(オ)71)でも示されており、同反例の主文には、「文書中の印影が本人または代理人の印章によつて顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当」とあります。これらを簡単にまとめると、「文書に本人の印章による印影があり、それが本人によって押印されたものであることを特に疑う理由がない場合は、その文書は法的な正当性を持つとみなしてよい」ということです。
(引用元:裁判例結果詳細

一般的に「契約書の内容をしっかり確認しないまま署名や押印をしてはいけない」といわれるのも、それによって契約書に法的拘力が発生し、本人の意思によって作成されたことの証拠として利用できるからに他なりません。ビジネスで印影が求められる書類の例


上記のように印影は、「この文書は確かに私が作成(確認)しました」と本人の意思証明を補強するために使われるものです。それゆえ、ビジネスにおいては、両者の合意が成立した証として契約書などで用いられることが多くあります。その他、請求書や見積書などの経理書類、人事通達のような社内文書などでも、偽造防止や信用性向上などの理由から印影を求められる場合があります。

印影がなくても、契約などの文書は成立する?

たとえ書面に印影がなくても、その契約に効力を持たせることはできます。法律上、契約とは当事者の合意によって成立するものであり、印影はその文書の信頼性を高めるための補助的なものに過ぎないからです。

実際に内閣府および法務省、経済産業省が2020年に発行した「押印についてのQ&A」では、「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」と言及されています。
(引用元:押印に関するQ&A

この資料によれば、そもそも文書の真正性とは相手方とトラブルになって初めて取り上げられるものであり、基本的には問題になりません。また、文書の真正性は、その文書の成立過程全体に照らして判断するものなので、裁判になった場合でも押印の有無のみで判断するわけではないとされています。

たとえばビジネスにおいて取引先と契約を交わす際には、契約にこぎつけるまでに何度か書類やメール、SNSなどでやり取りすることになるでしょう。こうした送受信記録をしっかり保存したり、重要な連絡事項は直接の担当者だけでなく法務担当部長や決裁権を持つ上長など複数の人間に連絡したりすることでも、契約の真正性を高めることができます。

上記のように、書面に印影を残すことは文書の真正性を確保するための一手段に過ぎません。とはいえ、数ある手段の中で、署名や押印が本人の意思を証明するのに最も簡単な手段の一つであることも確かです。印章が他人によって盗用されたり、不正に複製されたりする可能性は否定し切れませんが、印影なしの書類よりも印影ありの書類の方が偽造の難易度が高いのは明らかではないでしょうか。法的にも、刑法159条の規定により、印影のない文書よりも印影のある文書を偽造した方が重い罪に問われます。

(参照元:刑法(明治四十年法律第四十五号)

このように印影は、文書成立の真正性を証明する負担を軽減したり、複製を難しくして書類の信用性を上げたりする効果が見込まれます。印影が未だ日本社会に根強く残っているのも、こうした利便性があってこそと言えるでしょう会社で用いる印章の種類と主な用途

ビジネスにおいては場面に応じていくつかの印章を使い分けるのが一般的です。以下では、会社で用いられる印章と、その主な利用シーンを解説していきます。

代表者印(会社実印)

代表者印(会社実印)は会社の実印となるもので、丸印が使用されます。法務局で会社設立の登記をする際に印鑑登録をすると、印鑑証明書が発行されます。代表者印は、不動産売買や代表取締役の変更、株券の発行、企業の買収など、会社にとって特に重要な事案で使用されるのが一般的です。

銀行印

銀行印(法人銀行印)は、会社が法人用口座を開設する際に銀行へ登録する印章です。口座から資金を引き出したり、手形や小切手を発行したりする際に使用します。

角印(会社印・認印)

角印は会社における認印で、会社名や屋号が彫られた四角形の印章です。見積書や請求書、納品書といった社外宛てのビジネス文書のほか、社内向けの通知文書など、日常業務の様々な場面で使われます。

正しい印影の位置は?印章別の押印方法

ビジネス文書において会社の印章を使う際には、どのように押印すればいいのでしょうか。以下では、正しい押印位置や方法について印章別にご紹介します。

印鑑登録をしている実印や銀行印の場合

印鑑登録をしている会社実印や銀行印を使う場合、押印の方法は主に2パターンあります。まず、印鑑証明の提出が必要な場合は、印影を確認しやすいように、社名や代表者名に被らない位置へ押すことが推奨されます。特に印鑑証明が必要ない場合は、スキャンなどで偽造されにくくするため、社名や代表者名と少し重なるように押しましょう。

角印(社印)など認印の場合

角印は基本的に印鑑証明が必要ない書類に使うため、印影の鮮明さよりも複製や偽造への対策が優先されます。それゆえ、社名や住所の文字に少し重なるようにして押印しましょう。また、領収書に印紙が貼られている場合は、消印として文書と印紙の両方に重なるように押印します。

印章を実印化する、法人の印鑑登録方法

代表者印(会社実印)として印章を実印化するには、どのように手続きをしたらいいのでしょうか。また、代表者印にする印章はどのような規格のものを使えばいいのでしょうか。以下では、法人の印鑑登録方法について解説していきます。

印鑑登録の手続き方法

代表者印の印鑑登録は、自社が本店を置く地域管轄の法務局で行います。法務局で印鑑登録をする際には、以下の物を用意します。

・代表者印(会社実印)にする印章
・届け出をする本人の実印
・本人実印の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内有効)

代表者印にしたい印章以外にも、本人の実印と印鑑証明書が必要なことに注意しましょう。申請方法は法務局の窓口、郵送、オンラインの3種類があり、いずれかの方法で「印鑑届書」という書類を提出します。印鑑登録の届け出は代理人でも行えますが、その場合は印鑑届書の委任状欄に本人が前もって必要事項を記入しておく必要があります。代理人が提出する場合でも、本人の実印や印鑑証明書が必要です。

また、印鑑証明書の発行には「印鑑カード」が必要となるため、印鑑届書と併せて「印鑑カード交付申請書」も提出してください。印鑑カードがあると、あとで印鑑証明書が必要になった際にも法務局の端末でスムーズに取得できて便利です。印鑑届書や印鑑カード交付申請書のフォーマットは、下記の法務局のWebページでも取得できます。記入例も用意されているので確認してみるとよいでしょう。
(参照元:登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式

登録できる印章の要件

代表者印として登録できる印章には商業登記規則第9条において次のような要件が設けられています。

・印影に法人の名称(商号)が入っていること
・印影のサイズは一辺が1cm以上、3cm以内であること
・照合に適したものであること

たとえばインク浸透印やゴム印は、照合への適性に問題があるため実印として利用すべきではありません。ハンコ専門店に会社実印用と伝えて印章の作成を依頼すれば、特に細かく指定しなくても上記の条件を満たしたものを作ってくれるでしょう。

実際に印影を照合するには?

ビジネスにおいて代表社印を押印した書面を交わす際には、その印影が実際に法務局に登録されているものかどうかの確認が必要な場合もあります。そこで以下では、印影を照合する方法について解説していきます。

印鑑証明書を取得する

押印した印影が法務局に登録されたものであるかどうか確認するには、まず印鑑証明書を取得する必要があります。印鑑証明書を取得できるのは、その会社実印を登録した代表者本人あるいはその代表者から委任された代理人のみです。

印鑑証明書の交付を受けるには、「印鑑証明書交付申請書」に会社の商号や印鑑カード番号など必要事項を記載した上で、所定の手数料に相当する収入印紙(登記印紙でも可)を貼り付け、印鑑カードを添えて登記所に提出する必要があります。なお、手数料は以下の通りです。

書面請求:450円
オンライン請求・送付:410円
オンライン請求・窓口交付:390円

(参照元:登記手数料について

代理人が交付を申請する場合、委任状こそ必要ありませんが、印鑑カードは必要です。また、他社の印鑑証明書を勝手に法務局から発行してもらうことはできないので、契約相手の印影を照合したい場合には、契約書の提出と併せて印鑑証明書も添付するように事前に依頼しておきましょう。

印影を見比べて、同一かどうか確認する

印鑑証明書を取得したら、その印影と実際の書面の印影が同一かどうか照合します。照合の方法としては主に以下のような方法があります。

1.平面照合
印鑑証明書と印影を並べて肉眼で見比べる方法です。注意深く照合している限り、裁判所も基本的にこの方法での照合を認めています。ただし、細部の違いなどを見落とす恐れがあります。

2.透かして照合
印影が押された書面と印鑑証明書を重ねて透かし、照合する方法です。

3.拡大鏡による照合
ルーペなどの拡大鏡を使って、肉眼では難しい細部まで確認する方法です。

4.コンピューターによる照合
契約書と印鑑証明書をスキャンしてコンピューターに取り込み、画像データを比較する方法です。

企業によっては上記のうち複数の方法で照合する場合もあります。いずれにせよ、印鑑照合をする際には印鑑証明書が必須になるので、もし相手方が印鑑証明書の提出を拒むようなら、弁護士や自社の法務担当者に相談しましょう。

海外とのやり取りは?ハンコ文化がない国で印影の代わりになるもの

各種の契約や文書作成において本人の意思確認を印影で行うのは、日本特有の風習と過言ではありません。それでは、ハンコ文化がない国では印影の代わりに何を用いているのでしょうか。

海外では印鑑ではなくサイン(署名)が主流

ハンコ文化のない海外では、契約において自筆でサイン(署名)するのが一般的です。すでに述べた通り、日本においても法的には契約の締結に際して印影の有無は必須なものではなく、サイン(署名)だけでも契約に法的効力を持たせることは可能です。それゆえ、海外企業とやり取りする際には、代表者印を押さずにサインだけで済ませる場合が多くなるでしょう。

法人におけるサインとは、代表取締役のサインを意味します。もし代表者が2名以上存在する場合、原則としては1名のサインでよいとされていますが、共同代表として登記されている場合はその全員が署名しなければならないので注意が必要です。

印鑑証明書代わりの「サイン証明書」もある

手書きのサイン(署名)も偽造のリスクがあるため、不安に思う人がいるかもしれません。印鑑証明書のようにそのサインが本物であるかどうか確かめる手段がない場合はなおさらです。しかし、サインにはサインで、印鑑証明書の代わりになるものとして「サイン証明書」というものがあるのはご存知でしょうか。

サイン証明書は、大使館の官憲や公証人がそのサインが本人の物であることを面前で確認し、発行する証明書です。日本企業の場合は公証役場で取得することができます。ただし、サイン証明書は発行のたびに本人が公証人などの面前でサインをしなければいけないなど、手続き的には煩雑なのが問題です。それもあってか、日本企業の多くは海外企業と契約をする際にサイン証明書を要求しない場合が少なくありません。

相手方の代理人(弁護士)を信用してサイン証明書までは求めないというケースも多いかもしれませんが、それではリスクマネジメント面で不安が残ります。印鑑証明書やサイン証明書に代わる、利便性と照合性の高い認証方法はないのでしょうか。

 

まとめ

本記事では印影の概要やその役割などについて解説しました。印影とは、印章(ハンコ)が押印された後に紙に残る朱肉の跡を意味します。そして印影のうち、役所や銀行に届け出て登録された実印や銀行印が印鑑です。印影は、その書類を本人が作成(確認)した事実を証明する上で法的効力を持ちます。契約書類において印影は必ずしも必要ではありませんが、その利便性から長く日本社会に根付いてきました。とはいえ、最近では新型コロナウイルスの流行によるテレワークの普及などによって、ハンコ文化にも変化が起きています。デジタル化に伴って押印の必要性は見直され、電子署名や電子印鑑によって代替されることが増えてくるでしょう。

 

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