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ノウハウ なぜ電子契約では印紙が不要なのか?理由と根拠を分かりやすく解説

更新日:2024年02月22日

投稿日:2023年08月29日

なぜ電子契約では印紙が不要なのか?理由と根拠を分かりやすく解説

なぜ電子契約では印紙が不要なのか?理由と根拠を分かりやすく解説

通常、一定金額以上の契約書や領収書は課税文書と呼ばれ、収入印紙を貼付して消印を押さなければなりません。

 

ところが電子契約であれば、記載金額にかかわらず印紙の貼付は不要だと聞いたことがある人はいませんか?

 

この記事では、電子契約に印紙が不要となる根拠について、いくつかの観点から詳しく解説します。また、電子契約を印刷した場合の取り扱いや、印紙以外の観点からみた電子契約を導入するメリットについても解説します。

 

 

電子契約で印紙がいらない根拠3つ

まずは、電子契約に印紙が不要とされる根拠について解説します。

 

実は法令上で積極的に根拠が記されているわけではなく、法文の消極的な解釈や、国税庁の通達や総理国会答弁などにより、解釈上不要とされているにすぎません。

 

非常に曖昧な運用ではありますが、多くの企業が実際に実施している運用でもあるため、この機会にしっかりと確認しておきましょう。

根拠1.印紙税法と関係法令

そもそも印紙税とは、契約書や領収書に課される税金であって、一般的には収入印紙を購入・貼付することで税金を納付します。

 

ここで、印紙税の対象となる文書のことを課税文書といい、どんな文書が課税文書であるのかについては、印紙税法2条および別表第一に記されています(参照:e-gov法令検索)。

 

別表をみると「電子契約も課税文書」と書かれているわけではありませんが、「電子契約は課税文書ではない」と積極的に規定されているわけでもありません。

 

そこで、もう少し根拠を深堀りするために、印紙税法2条および3条に関する国税庁の通達をみてみましょう(参照:国税庁)。

 

ここでは、印紙税の納付義務者である「作成者」に関する規定が置かれており、間接的に、国税庁が課税文書をどのように想定しているかを知ることができます。

 

(作成等の意義)

第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。  

2 課税文書の「作成の時」とは、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。(平13課消3-12、平18課消3-36改正)

(1) 相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時

(2) 契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税文書 当該証明の時

(3) 一定事項の付け込み証明をすることを目的として作成される課税文書 当該最初の付け込みの時

(4) 認証を受けることにより効力が生ずることとなる課税文書 当該認証の時

(5) 第5号文書のうち新設分割計画書 本店に備え置く時

 

この通達では、課税文書は「用紙等」に記載され、相手方に「交付」されることが前提となっています。

 

しかし、電子契約で作成された電子データは「用紙等」とは言い難く、またデータの送信行為を「交付」ということも解釈上限界があります。

 

このように、印紙税法および国税庁通達の記載からみて、「そもそも電子契約は課税文書として想定されていない」と解釈できます。

根拠2.国税庁の通達

ここまでは、法令や通達の文言を文理上解釈することにより、国税庁の意図を推認してきました。

 

では次に、国税庁がどのように考えているのか、国税庁による通達からみていきましょう。

 

本注文請書は、申込みに対する応諾文書であり、契約の成立を証するために作成されるものである。しかしながら、注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

ただし、電子メールで送信した後に本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える。

 引用:事前照会者の求める見解となることの理由 -国税庁

 

国税庁によるこの回答では、「電子データにより注文請書を送信しても、やはり現物の”交付”がない以上、その電子データ自体は課税文書にあたらない」としています。

 

また、別の質疑応答では、この点につきより明確に回答しています。

問:借入人から貸付人に文書を交付する代わりに、ファクシミリ通信や電子メールを利用して送信する場合、印紙税の取扱いはどうなりますか。また、ファクシミリや電子メールで送信した後に、持参するなどの方法により改めて正本を交付する場合はどうなりますか。


答:請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません

また、ファクシミリや電子メールを受信した貸付人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われません。

ただし、ファクシミリや電子メールで文例3から文例6までのような文書を送信した後に、改めて、文書を持参するなどの方法により正本となる文書を貸付人に交付する場合には、その正本となる文書は、それぞれ印紙税の課税文書となります。

 引用:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い – 国税庁

二つの回答から、国税庁の見解として以下の二点をまとめることができます。

  1. 用紙等で作成され、交付された場合には課税文書となる文書であっても、電子的に送信された場合には「用紙等で作成され、交付された」とは言えないため、課税対象とはならない。
  2. ただし、電子的に送信されたのとは別に、用紙等の原本や正本を持参した場合「用紙等で作成され、交付された」といえるため、課税対象となる 

根拠3.国会での総理答弁

ここまでは、法令や国税庁通達から非課税の根拠を探ってきました。

 

最後に、行政の長である内閣総理大臣が、参議院で質問に答えた際の回答を抜粋します。

 

事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

 引用:参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書 – 参議院

 

総理大臣は、電子データが非課税である理由として、電子データは文書と比較して改ざんが容易であり法的安定性を欠くからとしています。

 

しかし、電子帳簿保存法やe-文書法などによって、すでに他の法令上は電子データが紙の文書と同等に(あるいはそれ以上に)改ざんが難しく法的安定性をもつとされている以上、今後は印紙税法の改正もありえるかもしれません。

 

続いて、総理大臣は「課税の適正化及び公平化を図る観点等から何らかの対応が必要かどうか、文書課税たる印紙税の性格を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたい」とも発言していますが、現在までに法改正等はありません。

電子契約を印刷した場合の取り扱い

電子契約を印刷した場合、その印刷した文書の利用方法によって取り扱いが変わるため、注意が必要です。

電子契約締結後に印刷した場合

この場合、すでに原本として電子契約が成立しており、その後印刷したものはあくまでコピーという扱いになります。

 

したがって、印刷した文書は非課税となります。

印刷したもので契約した場合

電子契約データを相手方に送信した場合であっても、電子契約が締結される前に、紙に印刷した契約書を締結した場合です。

 

この場合、印刷された紙の契約書が原本ということになるため、課税文書となります。

電子契約を導入する他のメリット3つ

電子契約を導入すれば印紙税を節税できるというメリットがありますが、実は電子契約には他にも多くのメリットがあります。

 

以下からは、電子契約のもつ代表的なメリットを3つ紹介します。

メリット1.業務を効率化できる

電子契約の導入により、業務の大幅な効率化が可能です。

 

紙ベースの契約書では、作成や送付、ファイル管理といった煩瑣な手間がかかりますが、電子契約の場合にはこれらのプロセスを簡略化できるため、大幅な時間節約ができます。

 

また、電子契約導入により人的負担も軽減できます。膨大な書類の管理にはそれだけで人員を必要としますし、誤送信防止等のために注意力もそがれてしまいます。

 

電子契約システムのワークフローシステムを活用することで、誤送信のリスクを簡単に軽減できるため、より重要で生産性の高い業務に集中することができます。

メリット2.リモートワークに対応できる

電子契約の導入は、リモートワークのニーズに対応します。

 

物理的な場所や時間に縛られることなく、どこからでも契約を完結できるため、働き方が多様化している現代のビジネス環境に適合します。

 

関係者の間で簡単に署名・承認できるため、書類の送受信にかかる時間やコストを削減できることから、労働生産性の向上と同時にワークライフバランスの改善にも寄与します。

メリット3.改ざんや紛失リスクを軽減できる

最後に、電子契約は改ざんや紛失のリスクの軽減にもつながります。

 

先ほど紹介した国会答弁のころ(2005年)とは異なり、現在は紙の契約書よりも、むしろ電子契約のほうがセキュリティが強固であるとさえいえます。

 

電子契約はクラウド上で安全に管理され、アクセス制限を設けることもできるため、物理的なダメージや紛失、不正な改ざんのリスクを最小限に抑えることができます。

 

また、バージョン管理により変更履歴をトレースできるため、契約に関する紛争が生じた場合であっても、事実関係の確認を迅速かつ容易に行えます。

 

▶関連記事:電子契約を行うメリット、デメリットは?導入検討のポイントを分かりやすく解説

電子契約を導入する際の注意点3つ

電子契約にはさまざまなメリットがありますが、導入に際して注意すべきポイントもあります。

注意点1.自社のニーズに合ったサービスを選ぶ

電子契約サービスの導入にあたっては、自社のビジネス要件や目的に最適なソリューションを選択することが重要です。

 

例えば大量の契約を処理する必要がある場合には、一括で契約を管理でき、リマインダー機能があるものが必要となるでしょう。一方、高度なカスタマイズや柔軟なテンプレート設定が求められる場合は、そのような機能を備えたサービスが適しています。

 

また、使いやすいインターフェースをもつものや、適切なカスタマーサポートを提供するものを選ぶことも重要です。

注意点2.電子帳簿保存法など法令に対応したものを選ぶ

次に、電子帳簿保存法やその他の関連法令に対応したサービスを選ぶことが必要です。

 

電子契約は、ビジネスの法的側面に密接に関連しているため、適切な法令遵守が必須となります。

 

選択するサービスが、現行法に準拠した形式で契約文書を保存・管理しているかを確認することで、法的トラブルを未然に防げます。また、法改正などに迅速に対応できる更新機能も重要なポイントです。

注意点3.セキュリティの高いものを選ぶ

最後に、セキュリティの高いサービスを選ぶことが非常に重要です。

 

契約文書は企業の重要な情報を含んでおり、これらの情報が第三者に漏洩した場合、企業の信頼やビジネスに大きな打撃を与えます。

 

信頼性の高いセキュリティ対策を施した電子契約サービスを選ぶことで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。データ暗号化、二要素認証、アクセス制限などの機能をもつサービスを選びましょう。

まとめ

電子契約が非課税である根拠は法律上薄いものの、国税庁通達や内閣総理大臣国会答弁などを根拠に運用されています。

 

そして電子契約の導入は、印紙が不要になるだけではなく、企業の生産性向上やセキュリティ強化というメリットももたらします。

 

今後さらに文書の電子化が進んでいくと考えられているので、この機会に電子契約サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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