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ノウハウ 【2021年改訂】CGコード(コーポレートガバナンス・コード)の概要と改訂内容とは

更新日:2021年08月30日

投稿日:2021年08月3日

【2021年改訂】CGコード(コーポレートガバナンス・コード)の概要と改訂内容とは

【2021年改訂】CGコード(コーポレートガバナンス・コード)の概要と改訂内容とは

2021年6月11日に改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGコード)が公表・施行されました。

今回の改訂では、 取締役会の機能発揮や企業の中核人材における多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への取組みを目的とした改訂が盛り込まれています。

 

今回改訂されたCGコードは、具体的にどの部分が改正され、実務上、どのような対応が求められるのでしょうか。

そこで本記事では、2021年の改訂CGコードについてポイントを解説したうえで、企業が実務上求められる対応まで詳しく解説します。

 

 

 

CGコードとは?

そもそもCGコードとはどのようなものでしょうか。聞きなれない人も多いと思いますが改訂CGコードのポイントを確認する前に、CGコードの意味を確認しておきましょう。

CGコードとは上場企業が企業統治する上でのガイドライン

CGコードは、コーポレートガバナンス・コード(Corporate Governance Code)の略称になります。

コーポレートガバナンス・コードは、「会社が、株主をはじめ 顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義されています。

2012年の衆議院選挙で政権を奪還して発足した第2次安倍内閣が、目玉政策として「アベノミクス」を打ち出しました。三本の矢のうちの一本は「民間投資を喚起する成長戦略」で、民間企業の力を最大限引き出す方策として、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を進める事となり、2015年6月1日にCGコードが策定されました。

参照:コーポレートガバナンス・コード原案の公表(2015年3月5日公表)


CGコードは、策定から3年後の2018年6月にも改訂されています。

2018年の改訂は、下記のポイントが改訂されました。

1.ESG情報の開示

2.資本コストを意識した経営

3.CEOの選解任・報酬決定に関する手続の強化と独立した指名・報酬委員会の活用

4.取締役会メンバーの多様性確保等

5.政策保有株式の削減に向けた方針・考え方の開示

6.母体企業による企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮に向けた取組み

参照:金融庁「投資家と企業の対話ガイドライン」


今回のCGコードの改訂は、3年ぶり2回目となります。

なぜ企業統治を強化する事になったのか

CGコードは、コーポレートガバナンス・コードの略称、企業統治をする上でのガイドラインであると述べてきましたが、なぜ企業統治の強化を進める事となったのでしょうか。

そもそもコーポレートガバナンス(企業統治)は、会社は「経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方のもと、企業経営を監視する仕組みのことです。

上場企業では、投資家に向けて有価証券報告書の開示や株主総会などを実施していますが、「株主の権利・平等性の確保」をする観点から、株主総会の決定を尊重し、必要な情報開示を行う必要があります。

社外取締役、監査役、株主や社外の第三者の管理者が監視される事で、企業が不祥事防止を防ぐ目的があります。

CGコード策定は、安倍政権の目玉施策である「アベノミクス」の第三の矢として、「民間投資を喚起する成長戦略」のなかの施策の1つである事は触れてきましたが、コーポレートガバナンス改革を通じて日本の企業の「稼ぐ力」を強化する狙いがありました。

企業が設備投資やM&Aを進めて、事業拡大・成長への原資にすることや従業員の賃金アップ、株主配当等で広く国民に還元して、経済回復を図ることが目的です。

当然、稼ぐ力は内需の需要だけでなく、海外から「稼ぐ力」の強化も目的としており、海外投資家に日本の企業へ関心を持ってもらい投資してもらう環境を整えることも背景にありました。

一方でCGコード策定以前の日本の企業は、オリンパス事件をはじめ、不正会計、経営者不正など、企業の不祥事も発生しており、これでは海外投資家から日本企業が信頼されないのではないかという懸念がありました。

こうした流れを受けて、企業が成長するために「コーポレート・ガバナンス」の強化が求められ、CGコード策定の流れとなりました。

CGコードの基本原則とは

ここまでCGコードの意味や策定の背景について触れてきました。

CGコードは、下記の5つの基本原則で構成されています。

 

■CGコード5つ基本原則

・株主の権利・平等性の確保

・株主以外のステークホルダーとの適切な協働

・適切な情報開示と透明性の確保

・取締役会等の責務

・株主との対話

 

上記の「基本原則」5つに付随して31の「原則」、更に「原則」を補足する47の「補充原則」、合計で計83項目から成り立っています。具体的なコードの内容や詳細は、下記の「コーポレートガバナンス・コード」をご参照してください。

参照:株式会社東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コード

2021年CGコード改訂の背景と変更点について

CGコードの改訂は、前回の2018年以来、3年ぶり2回目となります。今回CGコードが改訂された背景と変更点について解説していきます。

2021年CGコード改訂の背景は

2021年6月11日、株式会社東京証券取引所(以下「東証」)は「改訂コーポレートガバナンス・コード」を公表し、同日より施行となりました。改訂の背景について東京証券取引所から発表された資料を元に紹介します。

コード改訂の背景は、大きく分けて2つです。

・企業を取り巻く社会環境の変化

・東京証券取引所の市場区分の変更

2018年から2021年からの3年間で企業を取り巻く社会環境として、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の感染拡大やデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)の推進の動きなどがあります。今回のコード改訂では、こうした社会環境の変化のなかで、スピード感を持ち持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現をする事が目的となっています。

また、2022年4月より東京証券取引所において、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場という新市場区分の適用開始が予定されています。こうした市場区分の変更も背景にあります。

新市場区分におけるプライム市場は、日本を代表する、投資対象として優良な企業が集まる、国内だけでなく国際的に見ても魅力あふれる市場となることが期待されています。

出典:株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴う実務対応」

 

2021年CGコード改訂の変更点は

2021年のCGコード改訂では、16原則について、変更・新設が行われました。

基本原則に関しては、変更・新設がありません。

3つの原則及び8つの補充原則が変更され、5つの補充原則が新設されます。

 

2021年の改訂は、下記3つのポイントが改訂されました。

1.取締役会の機能発揮

2.企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保

3.サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取り組み

 

改訂される3つのポイントの概要を見てましょう。

■取締役会の機能発揮についての具体的な改訂内容

・プライム市場上場会社は取締役会において独立社外取締役3分の1以上(必要な場合は過半 数)を選任する

・プライム市場上場会社は、指名委員会・報酬委員会について独立社外取締役過半数を基本と し、独立性に関する考え方・権限・役割等を明らかにする

・取締役会は、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成される

・独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含める

 

■企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保についての具体的な改訂内容

・上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示する

・中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示する

 

■サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取り組み

・上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示する

・人的資本や知的財産への投資等についてもわかりやすく具体的に開示する

気候変動に関しTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等の枠組みに基づく開示をする

 

改訂されたコードの内容や詳細は、下記の「コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴う実務対応」をご参照してください。

参照:株式会社東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コードの 改訂に伴う実務対応

2021年CGコード改訂における企業が注意すべきポイントは?

2021年のCGコード改訂において企業が取るべき対応や注意すべきポイントはあるのでしょうか。

結論からいうと、「ESG課題の積極的な取組み」と「CG報告書の更新」の大きく分けて2つの対応が必要となります。

ESG課題の積極的な取組み

ESG課題の積極的な取組みについて解説していきます。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。企業経営や成長において、環境、社会、企業統治といった観点からの配慮が必要という考え方の事を指します。

株主や投資家の立場からもESGの観点を重視する傾向が広まっており、ESG投資という、環境、社会、ガバナンスを重視した投資手法についても聞くようになりました。

似たような言葉で、SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」があります。これは持続可能な社会を実現するために国連で採択された開発目標で、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されました。

参照:外務省 SDGs

EGCとSDGs、ともに似たような言葉ですが、これからは気候変動などの環境への配慮、人権や労働環境への配慮を企業が積極的・能動的に取組む事が求められるようになります。

ContractS株式会社の考えるSDGsについてはこちらの記事でご紹介しています。

CG報告書の更新

CG報告書とは、コーポレートガバナンス報告書と呼ばれるもので、証券取引所が上場会社に提出を義務づけている報告書です。CGコードの5つの基本原則でも触れましたが、企業は、不祥事などを起こさないように、投資家をはじめとする社外の第三者へ企業統治に関わる情報を開示する必要があります。コーポレートガバナンスの状況を社外の第三者に明確に伝える手段として重要な報告書なのです。

CGコードの改訂自体は2021年6月11日に公表されて、同日施行されています。上場会社は、コード改訂後の内容を踏まえた報告書を遅くとも2021年12月30日までには提出する必要があります。

但し、CGコードの各原則に規定された内容のうち、 プライム市場上場会社のみを対象とするものについては、2022年4月4日から適用となります。

まとめ

本記事では、2021年に改訂されたCGコードについて解説してきました。

CGコードは、上場企業が企業統治する上でのガイドラインです。上場企業は、このCGコードのガイドラインに沿って企業統治を実行する必要があります。

2012年に発足した安倍政権の目玉施策である「アベノミクス」の第三の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」のなかの施策として、コーポレートガバナンス(企業統治)を強化して、日本企業の稼ぐ力をつける事を目標に2015年に策定されました。

2018年の改訂を経て2021年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やデジタルトランスフォーメーションの推進の動きなど社会情勢の変化を受けて3年ぶり2度目の改訂が実施されました。

2021年の改訂では、 取締役会の機能発揮や企業の中核人材における多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への取組みを目的とした改訂が盛り込まれています。

これにより、上場企業には「ESG課題の積極的な取組み」の具体的な開示と実践が要請されるようになります。

契約書のやりとりに関しては「紙資料」を郵送で送付するという旧式の形態から、「電子契約サービス」で企業間の契約を結ぶといった、環境資源を配慮した新しい形態へ徐々に移行していくことが望ましいといえます。

弊社の契約管理サービス「ContractS CLM(コントラクツ CLM)」は、契約業務の電子化を進め企業のESG課題の取組みに貢献します。

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