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ノウハウ 【2022年施行予定!】プロバイダ責任制限法の改正!改正ポイントについて解説。

投稿日:2021年11月11日

【2022年施行予定!】プロバイダ責任制限法の改正!改正ポイントについて解説。

【2022年施行予定!】プロバイダ責任制限法の改正!改正ポイントについて解説。

2021年4月に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)の一部を改正する法律(令和3年法律第27号)」が公布されました。

 

施行日は公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日とされているため、2021年10月現在では具体的な施行日は未定ですが、2022年には改正プロバイダ責任制限法が施行される予定です。

 

今回は、プロバイダ責任制限法の概要と今回の改正による変更点、改正により企業が必要となる対応などについて解説します。

 

 

 

プロバイダ責任制限法とはどのような法律?

プロバイダ責任制限法の改正点に触れる前に、まずはプロバイダ責任制限法の概要をご紹介します。

 

プロバイダ責任制限法とは

プロバイダ責任制限法の正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(平成13年法律第137号)」で、2001年11月に成立し、2002年5月から施行開始となった比較的新しい法律です。

 

プロバイダ責任制限法の制定目的

2000年頃からインターネットが急速に普及し、多くの人々が日常的にインターネットから情報を取り入れるようになりました。

 

インターネットは、自分のタイミングで知りたい情報を手早く調べることができる、誰でも自由にウェブサイトを作成して自分の考えや主張を発信することができる、利用者同士の交流によりコミュニケーションの輪を広げることができる、などさまざまなメリットを生み出しました。

 

しかし、誰でも自由に情報を発信することができるというメリットには、誤った情報も多く発信されてしまうというデメリットの側面もあります。

 

また、直接会ったことのない人とも接点を持てるようになりますが、そのことにより特定の人に対しての誹謗・中傷を書き込む事例も多く発生するようになりました。

 

これらのインターネット上の問題に対して、表現の自由という重要な権利・利益のバランスに配慮しつつ被害者の救済につながり、プロバイダにおける円滑な対応を促進するために制定された法律がプロバイダ責任制限法なのです。

 

プロバイダ責任制限法の主な内容

プロバイダ責任制限法では、インターネット上に情報を流すことで個人や団体等に対する権利の侵害があった場合において、特定事業通信役務提供者であるプロバイダ等の損害賠償責任の免責要件を規定するとともに、被害者が権利侵害情報発信者の情報開示を求める権利を規定しています。

 

プロバイダは、他人の権利を侵害する情報を放置した場合には、被害者から損害賠償責任を求められる可能性があります。

 

しかし、実際には権利侵害には当たらない情報を削除した場合には、今度は発信者側から賠償責任を求められる可能性もあります。

 

そのため、プロバイダ責任制限法では、権利が侵害されていることを認識した場合にはその情報を削除することを促すために、プロバイダが情報の削除を行った場合と行わなかった場合の免責要件を規定しています。

 

また、被害者が発信者情報の開示を請求する場合には、一定の要件においてその請求に応じることを認めるものとなっています。

 

現行のプロバイダ責任制限法の詳細については、こちらをご覧ください。

 

参照:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律



プロバイダ責任制限法の改正ポイント

プロバイダ責任制限法が改正された背景には、どのような問題があったのでしょうか。

法改正の裏にある現行のプロバイダ責任制限法の課題とプロバイダ責任制限法の改正ポイントについてご紹介します。

 

プロバイダ責任制限法が改正される背景

プロバイダ責任制限法が成立したのは、2001年のことです。

 

法律の成立から20年ほど経過した現在では、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と呼ばれる人と人とのつながりを促進するサービスが広く普及するようになりました。

 

SNSはメールアドレスなどを登録することで簡単に会員登録を行って発信ができる事になった一方で、匿名の状態で自分の主張を書き込むことができるため、誹謗・中傷を含む投稿が問題となっています。

 

そして、SNSの多くはログインしたときのIPアドレスは保持しているものの、権利侵害に該当する投稿を行ったときのIPアドレスは保有していません。

 

2001年に制定された現在のプロバイダ責任制限法は、SNSのようなログイン型投稿における権利侵害については想定をしていない内容となっていました。

 

そのため、ログイン時のIPアドレスしか保有していないSNSでは、投稿時ではなくログイン時の情報が現行法上の「発信者情報」に該当するか否かについては明確になっていない等の理由で、権利侵害情報の発信者を特定できないケースが見受けられるようになりました。

 

そこで今回、SNSにおける権利侵害の被害に対してもより円滑に被害者を救済することを目的にプロバイダ責任制限法が改正される流れになりました。

 

プロバイダ責任制限法の改正ポイントは

プロバイダ責任制限法の主な改正点は、下記の3つとなります。

 

①新たな裁判手続きの創設

現状、SNSで誹謗・中傷の被害を受けた場合、発信者の情報を特定するためには2度の裁判手続きを行う必要があります。

 

それは、現行のプロバイダ責任制限法では発信者の情報開示請求を行った場合であっても、プロバイダ側が発信者に対して意見聴取を行う必要があり(現行プロバイダ責任制限法4条2項)、発信者が情報開示に同意した場合でなければ、プロバイダが被害者側に発信者の情報を開示することは大きなリスクを伴うためです。

 

そして、発信者が情報の開示に応じることは少ないため、被害者が発信者の情報を得るためにはコンテンツプロバイダへ発信者の通信記録の開示請求を行い、次に、通信記録を基にアクセスプロバイダに発信者の氏名や住所の開示請求を行うという2段階の裁判が必要となります。

 

今回の改正では、この裁判の手続きを迅速、かつ簡易的に行うことができるようにするために、発信者の情報開示請求を1回の手続きで済ませることができる新たな裁判手続き(非訴手続)が創設されました。

 

②ログイン型投稿においても開示請求を行うことを可能とした、開示請求範囲の拡大

SNSに代表されるログイン型の投稿においては、ログイン時のIPアドレスのみが保存され、投稿時のIPアドレスが保存されない場合が多くあり、現行のプロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスが発信者情報に該当するかどうか、ログイン型投稿を情報開示請求の対象に含めるかどうかの2点を明確に示してはいませんでした。

 

また、ログイン型のサービスはスマホやパソコンといった複数の端末から同時にログインすることが可能であるため、権利侵害に該当する投稿を行った際に使用されたアクセスプロバイダがどこなのかを特定することができず、発信者の氏名情報等の開示請求が認められないケースもありました。

 

そこで今回の改正では、ログイン型の投稿も情報開示請求の対象とすることを認め、権利侵害に該当する投稿を行った際に使われたアクセスプロバイダだけでなく、ログイン時に使われたアクセスプロバイダに対しても開示請求の相手方として位置づけられることが規定されました。(改正プロバイダ責任制限法5条1項、2項)

 

③意見聴取時に発信者が開示を拒否または応じない場合にその理由の照会をすることの義務化

現行のプロバイダ責任制限法では、権利侵害に該当する投稿を行った発信者に対し、プロバイダが情報開示の請求に応じるかどうかの意見聴取を行うルールとなっています。

 

改正法においてもこの点の変更はなく、新たな裁判の手続きの際にもプロバイダが発信者へ情報開示の請求に応じるかどうかの意見聴取を行います。

 

ただし、これまでは発信者が情報開示に応じない場合に、プロバイダがその理由を聴取することについては言及されていませんでした。

 

そこで今回の改正では、情報開示に応じない理由を聴取したうえでプロバイダが適切な対応をとることができるよう、情報開示を拒否または、開示に応じない発信者に対してはその理由も聴取しなければならないことが定められました(改正プロバイダ責任制限法6条1項)



プロバイダ責任制限法改正で企業が必要な対応は?

プロバイダ責任制限法の主な改正ポイントをご紹介してきましたが、この改正により企業にはどのような対応が求められるようになるのでしょうか。

 

今回の法改正に伴い新たに必要となる対応について、その内容を業種ごとにご紹介します。

 

①コンテンツプロバイダへの影響と求められる対応

インターネットでユーザー参加型のコンテンツをもつサイトの管理者は、改正法によって大きな影響を受けると考えられます。

 

現行法の下においても、情報開示請求があった場合にはIPアドレスやタイムスタンプを請求者に開示する必要がありました。改正法が施行されるとそれに加え、IPアドレスとタイムスタンプからアクセスプロバイダを特定したうえで、改正法で定められる情報をアクセスプロバイダと情報開示の請求者に提供する必要が出てきます。

 

したがって、今後は以下のような業務が増えると考えられます。

 

・IPアドレスからアクセスプロバイダを特定し、アクセスプロバイダの企業名と本社所在地を調査の上、情報請求者に情報提供する業務

・ログイン時のIPアドレスを取り扱っている場合、権利侵害に該当する投稿を行った場合に使用されたログイン時IPアドレスを特定し、特定したログイン時IPアドレスまたは投稿時IPアドレスなどをアクセスプロバイダに提供する業務

 

②アクセスプロバイダへの影響と求められる対応

発信者の住所や氏名などの情報を保有している末端のアクセスプロバイダについては、現行法においても、改正法においても、権利侵害に該当する投稿を行った発信者に対して情報開示についての意見を聴取する手続きは変わりません。

 

しかし、改正法では発信者が開示を拒否する、もしくは開示に応じない場合、その理由についても聴取をする義務が課せられるようになり、開示命令が発令されたタイミングで遅滞なくその旨を発信者に伝える義務も定められています。

 

また、末端のアクセスプロバイダ以外のアクセスプロバイダについても発信者を特定するための情報提供や利用した下流アクセスプロバイダを特定する業務などが必要となります。

 

そのため、法改正後すぐに発信者の情報開示命令が発令された場合でも慌てることなく対応することができるよう、事前に法令の確認や業務フローの整理をするなど、準備を整える必要があります。

 

③一般企業への影響と求められる対応

コンテンツプロバイダやアクセスプロバイダにも該当しない企業については、業務内容の変更が求められることはありません。

 

法改正後に万が一、権利侵害の被害を受けた場合には、申立人の立場としてコンテンツプロバイダを相手に発信者の情報開示命令を申し立てることができます。



Twitterでの誹謗・中傷は名誉棄損に当たる?

名誉棄損とは、他人の名誉を傷つける行為のことです。公然と事実を摘示して他人の名誉を傷つけた場合に、名誉棄損は成立すると定められています。

 

「公然と」とは、不特定または多数の人が知る可能性がある状態のことを指します。

また「事実を摘示」とは、その有無に関わらず、あることを具体的事実として周囲に伝えることをいいます。

 

したがって名誉棄損とは、不特定または多数の人が知り得る状態において、他人の社会的評価を害する事柄を周囲に伝えることです。

 

SNSの代表格「Twitter」は多くの人が利用しているSNSです。

 

Twitterに他人の誹謗・中傷を書き込んだ場合には、それが特定の人しか閲覧することができない、いわゆる鍵アカウントであっても多数の人が閲覧できる状況にあったと判断されれば、名誉棄損に該当する可能性があります。




なお、Twitterは日本におけるユーザー数も多く、日本の法律に則り、裁判等の必要な手順を踏むことによって名誉棄損に該当するツイートを行った犯人を特定することが可能になっています。

 

まとめ

2022年中に施行が予定されているプロバイダ責任制限法の改正ポイントについてご説明しました。

 

改正法では、新たな裁判手続を取り入れることで権利侵害の被害者がより迅速に簡便に発信者を特定することができるようになり、現行法では想定されていなかったSNSなどのログイン型投稿も開示対象に含められるようになりました。

 

コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダは、法改正によって業務に影響が出る可能性があります。

 

法改正後すぐに情報開示命令を受けた場合でもすぐに対応ができるように、改正内容をしっかりと把握し、業務フローの見直しを行うなど、事前に準備を進めておくことをお勧めします。

 

また法改正では、契約書に関してチェックや見直しが必要となる点も多岐にわたります。あらゆる契約業務の承認や管理、更新手続きの体制も見直しが必要です。

 

契約業務をワンプラットフォームで最適化するサービスの導入を検討するなどして、各企業で「契約DX」を推進していきましょう。

 

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