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ノウハウ コンプライアンスの違反事例と、強化のためにできる対策とは

更新日:2023年11月24日

投稿日:2021年10月4日

コンプライアンスの違反事例と、強化のためにできる対策とは

コンプライアンスの違反事例と、強化のためにできる対策とは

事業規模が拡大すると、企業が負う社会的責任はより重くなります。そこで問われるのがコンプライアンスの強化です。IPOにおいてもコンプライアンスは審査項目となっており、企業倫理の徹底を求める声は社会的に高まっています。そこで、本記事ではコンプライアンスの定義から、違反事例、違反による影響、強化対策のポイントまで総合的に解説します。

 

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コンプライアンスとは?


そもそもコンプライアンスとはどのような概念なのでしょうか。まずはコンプライアンスの意味と、それがいま注目を集めている背景について解説します。

「コンプライアンス」の意味とその範囲

コンプライアンス(compliance)とは、日本語で通常「法令遵守」と訳されます。しかし、コンプライアンスという言葉が内包している意味は、単に「法律を守る」だけに留まりません。むしろ、「モラルやルールを守る」という企業倫理の根本となる考え方を指すためにしばしば使われます。

そのため、「コンプライアンスを守る」あるいは「コンプライアンスを強化する」と言う場合、法令の遵守に加え、企業がそれぞれに設置した社内規則や、基本方針、社会通念上の倫理観など、あらゆるルール・マナー・モラルを守った組織運営への取り組みを意味するのです。また、今日では、株主、従業員、顧客、取引先など会社の利害関係者(ステークホルダー)の利益や権利を守る意味合いで使われることもあります。

なお、コンプライアンスに従った経営を「コンプライアンス経営」、従業員のコンプライアンス強化を図る計画を「コンプライアンス・プログラム」と呼びます。

今、企業コンプライアンスが注目される背景

近年、コンプライアンスが注目を集めるようになった背景には、1980年代以降に行われた大規模な規制緩和によって企業の経営活動が活発になった一方で、様々な企業の不祥事が相次いだことが挙げられます。

鉄道や郵便のように昔は国営だった事業もいまや民営化が進んでおり、国民生活を支える重要なインフラを民間企業が担うようになりました。このように社会的責任(CSR)が増す中で、企業には単に利益を追求するだけでなく、適切な倫理観と自制心をもって事業運営することが求められます。こうした流れを受けて日本政府も、内部告発者を保護する公益通報者保護法の成立を始め、独占禁止法や会社法、金融商品取引法などの改正を行ったため、コンプライアンスの必要性が高まりました。

また、政府だけでなく、世間一般の目も企業のコンプライアンス違反に厳しくなっていることを忘れてはいけません。とりわけSNSの普及以降、情報は瞬く間に拡散され、広く共有されるようになりました。このような情報社会の中で、悪質なコンプライアンス違反を犯した企業はすぐさまネットに晒され、ブランドイメージを失墜させてしまいます。そうなれば消費者や株主の離脱を招き、従業員エンゲージメントの低下も余儀なくされるでしょう。

つまり、コンプライアンスが現在注目されている背景には、単純な法的拘束力のほかに、情報社会の中でも企業価値を維持向上し、経営の安定化を図るためという側面もあるのです。

コンプライアンスとガバナンスの違い

コンプライアンスとよく似た概念として「ガバナンス」という言葉がありますが、両者の関係や違いはどういうものでしょうか。

ガバナンスとはコーポレートガバナンス(Corporate governance)の略で、「企業の管理・統治」を意味する言葉です。先述のように、コンプライアンスとは、「ルールやモラルを守ること」を意味しますが、これは一種の理念的な目標と言えます。こうした目標を達成するには具体的な手段、つまり適切な管理体制の整備が欠かせません。ガバナンスとはこの管理体制のことを指し、企業が自身をしっかりと統治することを意味するのです。

企業がコンプライアンスを重視すべき理由

コンプライアンスリスクに対処することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。あるいは、どのようなリスクを回避できるのでしょうか。続いては、企業がコンプライアンスを重視すべき理由を解説します。

企業価値の向上やリスク回避につながるコンプライアンス

企業がコンプライアンスを重視すべき第一の理由は、それが企業価値の向上やリスク回避につながるからです。コンプライアンスが「ルールやモラルを守ること」だとすれば、守られていない状態とは必然、一種の無法状態ということになります。コンプライアンスを軽視する企業においては、サービス残業や休日出勤の強要、ハラスメントの横行など劣悪な労働環境が生じやすく、ずさんな管理体制によって商品の品質低下や作業時の事故なども起きやすくなります。また、会社の資産である売上金の私的流用や、個人情報などの情報漏洩も起こるかもしれません。こうした問題はいずれも企業価値を損ね、法的問題にも発展しかねないものです。すなわち、コンプライアンスの重視は、企業の不祥事を未然に防ぎ、企業価値を守るための予防的措置であると言えます。

コンプライアンス違反が企業へ及ぼす影響

逆に、もし企業が上記のような無法状態を放置してしまったら、具体的にどのような影響が出るでしょうか。コンプライアンス違反を犯した企業には、主に民事上、刑事上、行政上、社会上の責任が問われます。

(1) 民事責任
まず、民事上の責任としては、損害賠償請求が主な例として挙げられます。また、謝罪広告の掲載なども代表例のひとつです。コンプライアンス違反が悪質かつ被害が大きい場合は、企業が破綻するほど賠償額が大きくなる場合もあります。

(2) 刑事責任
コンプライアンス違反によって企業が問われる主な刑事責任は、詐欺罪、労働基準法違反、金融取引法違反、独占禁止法違反などです。また、商品の欠陥により人命に被害を出した場合は、業務上過失致死傷罪が適用されるおそれもあります。たとえコンプライアンス違反の主体が従業員であり、組織的に関与していなかったとしても、適切な予防措置を怠っていたとみなされれば、企業として刑事責任を問われる場合があります。

(3) 行政責任
企業はその業種ごとに、行政が敷いた様々な規制に従う必要があります。もしこれらの規制に違反した場合、是正勧告や業務停止処分などの措置を受けるおそれがあります。

(4) 社会的責任
悪質な違反とみなされた場合、規制当局が企業名を公表することがあります。それによってマスコミから大々的に報道されたり、SNSで情報が拡散されたりすれば、企業の社会的信用は著しく低下するでしょう。企業イメージの低下は消費者や株主、取引先の離脱を招き、ビジネスを困難にする場合もあります。

IPO対策としても、コンプライアンスの強化は必須

株式上場(IPO)に際してもコンプライアンス対策は重要です。株式上場審査においては過去の記録にまで遡って審査企業の調査を行い、法令違反の有無、事業に必要な資格の有無、コンプライアンスの確保のために必要なチェック体制や研修・啓蒙体制が敷かれているかなどの確認がされます。

もしここで悪質なコンプライアンス違反が発覚した場合、あるいはそれに対する改善がなされていないことが発覚した場合は審査落ちする可能性もあるでしょう。また、労働基準法や税法などの一般的法令の順守についても当然確認を受けます。

そのため、IPOを目指す企業は、各種法令とそれに対する対応状況を確認し、自社のコンプライアンス対策を強化しなければなりません。このようにIPOにおける法務対応の一部としてもコンプライアンス対策は重要です。スタートアップ企業や中小企業は自社内に法務部門を置かず総務部門などが対応する場合もありますが、その際は外部の専門家にサポートを求めましょう。

主なコンプライアンス違反の種類と、注意すべきポイント

コンプライアンスを重視すべき理由を確認したところで、続いては主なコンプライアンス違反の種類とその注意点を見ていきます。

契約業務に関するコンプライアンス違反

契約業務におけるコンプライアンスリスクとしては、契約や営業の内容が景品表示法や下請法、独占禁止法などに違反していないか、過大な損害賠償義務を負っていないかなどが挙げられます。したがって契約時には、契約内容が法令違反を犯していないか、あるいは自社の不利益となる条文が含まれていないかなどのリスクチェックをしなければなりません。取引相手の反社チェックなども重要なポイントです。

人事労務に関するコンプライアンス違反

パワハラやセクハラを始めとするハラスメントや過度の長時間労働など、人事労務に関するコンプライアンス違反も注意事項です。これらの問題が深刻化すれば社員の心身の健康を損ねたり、民事訴訟などに発展したりするおそれもあります。劣悪な労働環境は生産性の低下や離職率の悪化も招くでしょう。人材確保や職場秩序の維持のためにもこれらの対策は必須です。

会計・納税に関するコンプライアンス違反

コンプライアンス違反の中でも特に深刻な問題に発展しやすいのが会計・納税に関するものです。この分野のコンプライアンス違反の代表例としては、会計書類の文書偽装が挙げられます。特に、粉飾決算は違反件数としても多く、帝国データバンクによる「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2020年度)」でも倒産理由の1位に挙げられています。さらに、2位も「資金使途不正」となっており、同じく会計に関する違反です。会計や納税に関するコンプライアンス違反は刑法に触れるものも多く、たとえ悪意がなくても知識不足が原因で重大な違反をしてしまうおそれもあるので、十分な対策が欠かせません。
(参照元:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210403.pdf

情報に関するコンプライアンス違反

製品の開発技術やノウハウなどの企業秘密や、顧客名簿を始めとする個人情報の漏洩など、情報管理の不祥事も重大なコンプライアンス違反です。警戒すべき事項としては、社内外からの不正アクセスや、従業員による持ち出し、SNSによる情報漏洩などが挙げられます。これらの問題を防ぐには、システム的なセキュリティ強化だけでなく、従業員に対する啓蒙活動なども大切です。

その他、企業が注意すべきコンプライアンス違反の例

その他の代表的なコンプライアンス違反としては、著作権・特許権・商標権などの知的財産権に対する侵害や、欠陥のある製品の提供、内部事情を知る者によるインサイダー取引などが挙げられます。また、軽視しがちなところとしては、受動喫煙対策の放置や、道路交通法の違反、廃棄物の不法投棄などもあります。日常風景に紛れてコンプライアンス違反を犯している場合もあるのでご注意ください。

実際どうなる?その後がわかる4つのコンプライアンス違反事例

続いては、上記のようなコンプライアンス違反を実際にしてしまったらどうなるか、現実に企業が犯してしまった4つのコンプライアンス違反事例をご紹介します。

契約書に反社規定がなく、裁判に発展した事例

最初にご紹介するのは、契約書へ反社会勢力に対する規定がなかったためにトラブルとなった信用保証会社の事例です。本件では、反社に属している主債務者から信用保証の委託を受けた信用保証会社に対して、その信用保証を元に主債務者へ融資を行った金融機関が、保証債務の履行を求める裁判を起こしました。信用保証会社は「主債務者が反社に属していたとは知らなかったためそもそも信用保証の契約が無効である」と主張しましたが、最高裁判決によって棄却されました。

この判決におけるポイントは、信用保証に関する約定書の中に、主債務者が反社であることが契約締結後に判明した場合の取り扱いについて規定が書かれていなかったことです。「反社だとあらかじめ知っていたら契約しなかった」という主張はもっともだとしても、それが事後的に判明した場合はどうするかというリスク管理をしていなかったことが裁判においてマイナスになったのです。この判決では結局、金融機関側にも調査義務違反が認められるとして、保証は免責されましたが、反社チェック体制の構築と反社規定の契約書への明記が重要であることがわかる事例となっています。

違法残業によって従業員が過労自殺した事例

次にご紹介するのは、女性新入社員を過労自殺に追い込んでしまった広告会社の事例です。件の女性新入社員は入社しましたが、配属された部署が人員削減されたことにより激務に晒されました。これによって女性社員はうつ病を発症したと推測されています。その後、上司に労働量を減らすことを願い出たものの、結局改善はされず、投身自殺しました。

事件を受けて労働局は会社への立ち入り捜査し、当時の上司を労基法違反の疑いで書類送検(後に不起訴)、会社側に罰金刑の有罪判決を下しました。会社は遺族に対しては解決金を支払い、再発防止策を取ることで合意しました。最終的には社長が責任を取って辞任したほか、副社長以下役員 5 人の減俸処分に至ります。女性新入社員を死に追いやってしまったこの会社は、世間から厳しい批判の声に晒されました。

粉飾決算で罰金刑を課された事例


次にご紹介するのは、粉飾決算によって有罪判決を受けた建築資材・不動産販売会社の事例です。証券取引等監視委員会によると、同社は、実態のない不動産取引による架空売り上げを計上するなどして、純利益を過大計上した有価証券報告書を提出しました。

事件を受けて地裁は企業に対し1,000万円の罰金を判決し、前会長らには執行猶予付きの懲役刑を下しました。さらに事件発覚前後で同社の株価は、半額に急落をしてしまいました。

情報漏洩により顧客情報が流出した事例

最後にご紹介するのは、情報漏洩によって大きなダメージを受けた通信教育サービス会社の事例です。この情報漏洩事件では、グループ会社に属するSEの内部犯行により、子どもと保護者を中心とした個人情報が漏洩しました。犯人は自身のスマホにデータを不正コピーし、顧客名簿業者にそれを転売していたそうです。


逮捕された犯人は東京高裁から罰金と実刑判決を、企業は経済産業省から個人情報保護法の違反による是正勧告を受けました。

事件後は赤字に転落、その後は黒字回復するも低迷が続いています。

企業が実施するべき、コンプライアンス強化のための対策

前項でご紹介したように、コンプライアンス違反はときに甚大な損害を企業にもたらします。以下では、こうした事態を避けるために実施すべきコンプライアンス強化対策について解説します。

社内に潜むコンプライアンスリスクを洗い出す


コンプライアンス対策を実施する上では、まず、社内にどのようなコンプライアンスリスクが潜んでいるのかを可視化することが欠かせません。そのためには、社員への聞き取り調査なども行いながら、問題を具体的にリストアップしていくことが必要です。その後の対策は、このリストに基づき、特にリスクの高いものから改善に着手していくことになります。

コンプライアンス規定や方針の策定


コンプライアンスを強化するには、法令を遵守し、倫理に則った企業活動をするための仕組みづくりが必要です。その具体的な方策としては、就業規則や社内規定にコンプライアンスに関する規定を策定したり、監査体制を構築したりすることが挙げられます。その際に大事なことは、各社員の責任範囲を明確化した上で罰則規定を盛り込み、違反した従業員に対する処分を明確にしておくことです。規則の策定後は、必ずその内容を社員へ周知徹底することも欠かせません。

定期的な社員研修の実施


前項とも関連しますが、コンプライアンスの強化は単に規則を策定するだけでは果たせません。それを実現するには、社員のコンプライアンス意識を高めることが必要なのです。社員の意識改革のためには、定期的な社員研修の実施が有効な対策です。役職ごとに必要になる知識は異なるため、研修に際しては各役職に対応した内容を提供するのが望ましいでしょう。もし自社だけで行うのが難しい場合、外部の専門サービスを活用するのがおすすめです。

契約マネジメントシステムの導入


コンプライアンスリスクの中には契約業務に関するものもありますが、これに備えるためには契約内容のチェック体制や契約書の管理体制が必要です。例えば、「ContractS CLM」のような契約マネジメントシステムを活用して契約書の電子化を進めれば、管理を効率化したり、チェック体制を強化したりすることが可能です。

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