企業の成長や昨今の経営環境の多様化などに伴い、契約業務の課題へ多面的にアプローチすることで業務をスリム化し、大幅な業務改善や効率化を実現するサービスとして「契約管理」を実現するソリューションが注目され始め企業への導入も増加しつつあります。

本記事では、契約管理システムについて知りたい方や、導入を検討している方のために、「契約管理システムでできること」「契約管理システムの各社サービス比較」「導入のポイント」をまとめました。

契約管理システムとは

契約管理システムとは、単に契約書を管理するためだけのシステムではありません。

一般的には、契約に関連する業務を含めた契約全体を管理するシステムを契約管理システムと定義しています。

たとえば契約管理を実現するContractS CLM は、適切な契約プロセスの構築により、契約書作成〜締結までの道筋を管理可能。契約書のステータスが把握できるようになり、適切な契約管理の仕組み化を実現することで必要な時に契約関連情報が即時に把握できる状態をクラウド上で実現できるサービスです。

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では具体的に何をどう管理できるのか、登場した背景も含め紹介していきます。

契約管理システムが登場した背景

コンプライアンス管理の徹底は、今や企業に求められる重要な責任の一つとして広く認識されるようになりました。

さらに、著しく進展する経営環境のグローバル化やIT化、レピュテーションリスクの増大などにより、企業が直面するリーガルリスクも多様化・複雑化してきており、リスクマネジメントができているどうかが企業の死活問題にまで関わるようになっています。

こうした中、契約を適切・迅速に、締結・履行・管理することは、リーガルリスクから自社を守り、健全でスムーズなビジネスをサポートするために非常に重要です。

契約業務は企業法務において比較的大きなボリュームを占める業務です。

もしそこにもたつきを抱えているなら、それだけリーガルリスクに晒されている状態ということであり、一刻も早い解消が望まれるでしょう。

ところが、こうした急速な環境変化に対し、社内の体制やフローなどが旧態依然としたまま対応が追いつかず、リスク対策に限界を感じているというケースも多く生じているようです。

「契約業務の課題を包括的に解決する」サービス

企業が契約業務において抱える課題は、

「契約内容精査の経緯ややり取りを残したい」

「契約期限管理の漏れが怖い」

「社内フローが煩雑」

「関連業務の進捗把握が難しい」

「ペーパーレス化したい」

など、契約の準備から交渉、締結、管理までの各フェーズに、さまざま存在します。

またこれらの課題に個別に対応するソリューションも多くあり、例えば「電子契約」もその一つです。

ペーパーレス化だけでなく、印紙や郵送費、押印の手間などのコスト削減も実現できるシステムとして、企業への導入も進んでいます。

契約業務における課題が「部分的」である場合、これらのシステムはソリューションとして重宝します。

しかし、課題が業務を横断するものであったり、フェーズをまたいで複数抱えている場合、一部業務に特化したソリューションでは解決できず、課題ごとにソリューションを導入するのもコストや労力において非現実的であるという難点がありました。

こうした状況のもと、契約業務の課題を「包括的」に解決するサービスとして「契約管理システム」が登場しました。

他の分野に遅れてようやく革新のメスが入り始めたリーガルテックの中でも契約管理システムはまだ新しい領域であり、サービス数も多くはありません。

契約書管理/文書管理システムとの違い

「契約管理システム」とうたっているサービスの中には一部「契約書」の管理に特化したサービスがあります。これは「契約書管理システム」または「文書管理システム」とも呼ばれます。

文書管理システムについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

このサービスは、基本的に電子化された「契約書」の管理に特化しており、dropbox,boxなどに代表されるストレージサービスのように契約書のクラウド管理を柔軟にできるような仕組みが整えられています。

例えば、エクセルで契約書のデータの場所を一覧で管理していても、契約書の中身までを検索することはできません。そのため管理Noや締結した企業名、案件名など、検索できる項目は限られています。

例えば、契約管理システムでもありながら「契約書管理」機能を持つContractS CLM（コントラクツ CLM）は、「カスタム契約項目」をセットできるため、企業の管理したい項目に合わせて、柔軟な検索が可能です。

設定した項目で締結済みの契約書情報をCSV抽出可能なので、自社で管理している基幹システムに情報をアップロードすることも可能です。

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契約管理システム　各社サービス一覧

各社サービスごとにシステムの特徴や機能、導入形態を紹介します。

ContractS CLM

ContractS CLMは、契約書の作成から管理までをスムーズに進行させるための機能を備えています。

契約のプロセスを構築し、適切な契約管理の仕組みかを行うことで、直感的にミスや漏れのない生産性の高い契約業務を実現可能です。

• サービス名：ContractS CLM
• 提供企業：ContractS株式会社
• URL：https://www.contracts.co.jp/

FUJITSU Enterprise Application Contract Eyes

特徴

• 支店も含めた全社の契約情報を一元管理
• 契約書審査機能による審査履歴も情報共有
• 関連書類や関連契約の一括管理により業務効率を大幅に向上

• サービス名：FUJITSU Enterprise Application Contract Eyes
• 提供企業：富士通株式会社
• URL：https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/manufacturing/contracteyes/

RICOH Contract Workflow Service

特徴

• 契約の事前相談や回答を記録し、法務部門のナレッジとして共有することで回答業務を効率化
• 簡易なワークフロー機能で契約を審査・承認。相談履歴との紐づけで審査の簡略化も可能
• 相談や審査情報を紐付けできる契約情報の登録や期限管理など、契約プロセス全体を構築

• サービス名：RICOH Contract Workflow Service
• 提供企業：株式会社リコー
• URL：https://www.ricoh.co.jp/service/cws/
  
  

クラウドサイン

特徴

• たった数分で契約締結
• セキュアな保管機能で、コンプライアンスの強化にも役立つ
• 契約書名や企業名、日付や金額等、様々な条件での検索が可能

• サービス名：クラウドサイン
• 提供企業：弁護士ドットコム株式会社
• URL：https://www.cloudsign.jp/

ドキュサイン

特徴

• 契約・合意にかかわる時間やコストの削減
• 世界標準の厳しいセキュリティをクリア
• 有名エンタープライズソリューションと連携可能

• サービス名：ドキュサイン
• 提供企業：ドキュサイン・ジャパン株式会社
• URL：https://www.docusign.jp/

LIRIS

特徴

・契約書や関連情報を一元的に管理

・契約内容をAIが自動抽出

・契約フローを見える化

freeeサイン

特徴

・弁護士監修の契約管理システム

・ワークフロー機能で確実な履歴管理

・柔軟なワークフローによって企業のガバナンス管理

• サービス名：freeeサイン
• 提供企業：freee株式会社
• URL：https://www.freee.co.jp/sign/

BtoBプラットフォーム 契約書

特徴

• 印紙税や郵送費などのコスト削減
• 契約締結にかかるリードタイムの削減（スピード締結）
• 書類管理の省スペース化
• 契約書紛失や改ざん、情報漏えいなどのリスク管理

• サービス名：BtoBプラットフォーム 契約書
• 提供企業：株式会社インフォマート
• URL：https://www.infomart.co.jp/contract/index.asp

LegalForce

特徴

• ファイルをアップロードし、類型や自社の立場を入力すると、瞬時に不利な条文や欠落条項を指摘
• リスクのある箇所には、指摘ポイントとあわせて弁護士監修の参考条文例を表示
• これまで蓄積してきた自社の契約書をデータベース化

• サービス名：LegalForce
• 提供企業：株式会社LegalOn Technologies
• URL：https://legalforce-cloud.com/

Hubble

特徴

• Micrsoft Word, PDFの一つのファイルをHubble上で管理し、変更されたファイルをバージョン管理
• 修正されたドキュメントの変更箇所を自動で差分表示
• 契約書にまつわる契約書の締結日、更新日などの情報を記入し管理

• サービス名：Hubble
• 提供企業：株式会社Hubble
• URL：https://hubble-docs.com/

LAWGUE

特徴

• 独自のアルゴリズムにより、契約書を自動で条項ごとに分割し取り込み
• 契約書を条項単位で管理することにより、条番号の自動採番が可能
• メールとWordによって重層的に管理していたコメントを一元管理

• サービス名：LAWGUE
• 提供企業：株式会社日本法務システム研究所
• URL：https://lawgue.com/

導入前の確認ポイント・選び方

比較して見るとわかるように、サービスによって機能や料金、サポートなどはさまざまです。

導入前に、自社の課題や導入後の運用フローなどよく検討しておかないと、

• 機能が不十分（または過剰）なものを選んでしまった。
• 運用後の想定が不十分で、効果的な業務改善につなげられなかった。

など、導入しても効果的な利用ができず、混乱を招いてしまうということにもなりかねません。

自社に適したサービスを選択し有意義な導入にするために、導入前にどんな点を検討しておくべきなのか、ポイントをご紹介します。

１、機能

先の表で主要な機能を比較しましたが、検討にあたり、まず自社に必要な機能を明確にしておくことが大切です。

表に挙げた機能の他、システムを利用する各部署の社員にとって使いやすいかどうか「操作性の高さ」もチェックポイントでしょう。

企業により「紙の契約書にも対応している」「国際締結に対応可能」など、必要な機能や優先度は異なります。

どのフェーズでどんな課題や要望を抱えているのか社内議論で徹底的に洗い出し、自社の体制や業務量などと照らし合わせて必要な機能に優先順位をつけていくと整理しやすいでしょう。

２、セキュリティ

クラウドシステムの導入を初めて検討する時、最も懸念されることの一つにセキュリティが挙げられるでしょう。

通信や保存ファイルの暗号化、自動バックアップ機能など、ほとんどのサービスに備わっている機能の他にも、以下の点をチェックしておくと安心でしょう。

• ログ管理
  
  ログイン、ログアウト、ドキュメントの作成・更新・移動・削除など、ユーザーの各種操作のアクティビティを検索・表示することにより、不正アクセスの防止やセキュリティ意識の強化にもつながります。

• アクセス権限管理
  
  システム内の契約書やプロジェクトの閲覧権限の設定や、IPアドレス制限により、社内外のアクセス権限を管理します。権限範囲と操作範囲をそれぞれ設定できる柔軟性の高い機能があると安心です。

• 契約の真正性の確保
  
  電子署名とタイムスタンプ付与により、「誰が」「いつ」「何に」合意したかが証明されます。また、サービスによってはファイルが作成後に改ざんされていないこと、作成された日時が正しいこと、を保証することもできます。
  
  

３、形態

サービス導入の形態には、主に「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。

分かりやすく例えると、各自でソフトウェアを購入し、パソコンにダウンロードして使用していたエクセルやワードといったofficeシリーズが「オンプレミス型」です。

これに対し現在主流となってきているoffice365は「クラウド型」で、ソフトウェアをダウンロードしなくてもインターネット上でログインするだけでエクセルやワードを使用できます。

それぞれ以下の特性やメリット・デメリットがあるため、導入の際にはどちらが自社に適しているか見極めが必要です。

• クラウド型
  
  インターネット経由でサービスを利用します。サーバーやソフトウェアを購入する必要がないため「初期費用が安く」「利用コストはサービスを利用した分のみ」です。契約後は、カスタマイズ設定などをするだけで「素早く導入が可能」です。「移転や拠点新設の対応も簡易」で、提供されるサービスの問題はクラウド事業者が対応するので「障害対応や災害対策コストも軽減」できます。一方、「カスタマイズの柔軟性がオンプレミス型よりも低い」「既存システムとの連携の自由度が低い」というデメリットがあります。

• オンプレミス型
  
  サーバーやソフトウェアを購入し、自社内で設置・運用していきます。クラウド型と違い自社運用が前提なので「カスタマイズや既存システム連携の自由度が高い」「セキュリティ面のリスクが少ない」というメリットがありますが、一方でサーバ等の機器が自社資産となるため「初期費用や資産管理が必要」となり、拠点新設や移転の際には「システム構築にコストと時間がかかり」ます。また、自社運用のため「メンテナンス要員の確保」と「障害への自社対応」が必要というデメリットがあります。

▶関連記事：オンプレミス型とは？セキュリティに特化してクラウド型と比較

４、サポート

サポートの体制も、スムーズな導入と運用には欠かせない要素です。

社員向けの研修といった導入時のサポートや、運用開始後に生じたトラブルへの対応など、どのような体制や料金でサポートしてもらえるのか、明確にしておきましょう。

会社が存続していける体力や、事業の成長性もあわせてチェックしておくとよいでしょう。

導入事例紹介

ここでは、実際に契約管理システムContractS　CLMを導入し、業務改善に成功した事例をご紹介します。

契約管理実現事例集はこちらからダウンロード可能です

「システムパーク」ブランドで全国7000カ所にコインパーキングを展開されている日本システムバンク様。全国の拠点ごとに契約書の管理体制や進め方がバラバラでした。そのため、契約書のステータス管理が難しいことや、ミスが発生しない状況に。本社での一括管理を強化する必要性を感じていらっしゃいました。

契約マネジメントシステム ContractS CLMを導入され、本社で拠点ごとの契約進捗状況を管理できるようになり、契約フローを明確にすることができました。また、以前は原本を回覧して確認していたのですが、ホームズクラウド上で確認＆承認できるのは時間短縮につながり大きなメリット、と回答いただいています。

日本システムバンク様の導入事例はこちらで詳しくご紹介しています。

導入事例②：契約管理の「脱・属人化」に成功！
Jリーグホールディングス様

Jリーグの組織基盤や各種事業のサポートの他、各種スポーツビジネスを展開されているJリーグホールディングス様。

案件管理の属人化で起こりうるリスクの大きさを前職で痛感されていたご担当者様は、同社での法務部の立ち上げ過程で、アナログな契約管理からの脱却の必要性を痛感されました。

実際に、「ContractS CLM」は、To-Do管理はもちろんのこと、人・情報・ファイルの全てが一つのクラウドサービス上で集約されるサービスので、誰でもデータベースを適切に管理する状態を実現。契約業務が抱えがちな「属人化」の課題解決を実現されています。

Jリーグホールディングス様の導入事例はこちらからご覧いいただけます。

導入事例③：各プロセスに必要な契約業務の可視化：ネルケプランニング様

舞台制作、キャスティング、イベント企画等をされているネルケプランニング様。

１つの舞台制作にまつわる契約業務が多岐に渡るため契約状況を可視化しにくい課題をもっていました。

舞台制作の契約にまつわるプロセスをContractS CLMで一括管理。承認フローなどの当事者間のコミュニケーションも円滑になったと嬉しいお声も頂いております。

ネルケプランニング様の導入事例はこちらからご覧いただけます。

まとめ

契約業務の課題を包括的に解決し、業務効率化へと導いてくれる契約管理システムについてご紹介しました。

今後、同様のサービスの提供数が増加した際、自社の課題や要望が明確であれば、選択肢が多くても、サービスの比較や選択に生じる判断のぶれを最小限にすることができるでしょう。

本記事が、自社に最適なサービスを選択し、効果を最大限に発揮させるための導入の手助けになりましたら幸いです。