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ノウハウ 副業禁止は法律的にOK?企業が知るべきポイントを解説!

投稿日:2021年11月29日

副業禁止は法律的にOK?企業が知るべきポイントを解説!

副業禁止は法律的にOK?企業が知るべきポイントを解説!

個人が多様で柔軟な働き方を選ぶことができるような社会を目指す「働き方改革」を実現するために、政府主導で様々な法整備が進められています。

 

それに伴い、2018年1月には、厚生労働省が働き方改革の一環として「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成して、副業解禁の動きも広がっています。

 

一方で、これまでの日本社会においては副業や兼業を禁止する風潮があり、副業禁止という就業規則が存在している企業があることも事実です。

 

企業が従業員の副業を禁止することは、法律的な問題はないのでしょうか。

 

本記事では、企業側が知っておきたい副業についての法律上の解釈や副業によるトラブルを回避するためのポイントについて解説します。

 

 

 

副業禁止は企業でOKなの?

企業が従業員の副業を禁止したり、制限したりすることは、法律上問題ないのかを解説します。

 

企業が従業員の副業を禁止・制限する主な理由

これまで日本企業においては従業員の副業を禁止する風潮がありました。これは従業員が副業をすることによって、企業が損害や損益を被るリスクを回避したいという考えが根底にあったためです。企業が副業を禁じてきた背景には、下記のような理由がありました。

 

・企業が持つ技術や情報が外部に漏洩する可能性が生じる。

・本業の企業で構築した人脈を副業に利用する可能性がある。

・ライバルとなる企業で副業を行うと、企業の利益損失につながる可能性がある。

・副業を持つことで休息の時間が減り、本業に支障をきたす可能性がある。

 

憲法において従業員の副業は認められている

企業側は社内規則などで副業を禁じてきましたが、実は、法律上では副業禁止について明記されている箇所はありません。

 

日本国憲法の第22条1項では、下記のような条文が謳われています。

「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」

 

参照:日本国憲法

 

日本国憲法の解釈では、職業選択の自由が保障されていることとなります。国民はどのような仕事をしても、副業として複数の仕事に就くことは問題はないということになります。

 

企業によっては副業を禁じたり、制限したりする場合もありますが、憲法において職業選択の自由が保障されている以上、企業による従業員の副業の禁止や制限は一概に認められているわけではありません。

 

一方で、公務員においては法律において一定の副業が禁じられています。

 

企業側が意識したい、副業トラブル対策!知るべきポイントは?

副業解禁の流れに伴い、はたらく側も副業を希望する人や実際に副業をする人が増えています。従業員が副業を行うようになると企業側ではどのようなトラブルに巻き込まれる可能性があるのでしょうか。副業を解禁する前に企業として知っておきたい副業トラブルの対策についてご紹介します。

 

副業によって起こり得るトラブルとは

従業員が副業をすると、下記のようなトラブルが発生する可能性があります。

 

長時間労働による生産性の低下や体調不良

従業員が本業と副業を掛け持ちすることで、労働時間が長くなる傾向があります。疲労により本業の業務効率が低下したり心身の体調を崩すリスクも生じてきます。

 

社内の機密情報の漏洩

本業で知り得た情報や機密の情報を従業員が副業先に漏らしてしまうリスクもあります。機密情報の漏洩は、企業にとって多大なる損害となり得るものであり、副業を認可する前に対策をとるべき必要があります。特に、競業する企業で副業をする場合には、本業で培ったノウハウや知識が競合他社に渡り、本業の在籍する企業の利益を害する恐れがあります。

 

副業トラブルが起きる前に企業として準備すべきこと

副業解禁の流れが進むと、今後はどの企業でも副業を認めていく方向になる可能性があります。副業解禁の流れが進みトラブルが生じることもあるでしょう。副業トラブルを未然に防止し、万が一、トラブルに発展した場合でも被害を最小限に抑えるために企業として事前に対策を立てておくことは可能です。副業トラブル対策としてどのような準備をしておけばよいのでしょうか。

 

副業に関するルールの整備

副業について従業員が遵守すべき社内規定を設けることは、トラブルを防止するうえで重要なことです。具体的には、従業員が副業を行う場合には以下の4つの義務を遵守することを求めるルールづくりが必要となります。

 

下記の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、従業員に副業を許可したことにより企業が不利益を被る可能性に備え、副業の禁止・制限をすることが許されると示されています。

 

参照:副業・兼業の促進に関するガイドライン

 

安全配慮義務

副業による肉体的負担、精神的負担により本業に支障をきたすことがないように注意を促す必要があります。万が一、副業による影響が業務に生じるようであれば副業を禁止、または制限できる規定を設けましょう。

 

秘密保持義務

副業先で本業の業務上知り得た機密情報を漏洩することがないよう、予め従業員に注意を促す必要があります。また、どこまでが機密情報となるのか、具体的に秘密にすべき情報の範囲を定めておくことも大切です。

 

競業避止義務

競業する企業において副業を行うことは、本業で得た顧客情報や知識、技術などが競業他社に渡るリスクをはらんでいます。そのため、副業として競業企業において本業の利益を害するような業務を行うことは避けるよう、従業員に注意を促す必要があります。

 

誠実義務

副業先において、従業員が本業の名誉や社会的信用を失墜させるような行為を行うことがないよう、誠実な行動を求める必要があります。また、従業員から副業の届け出を受けた場合には、業務内容や業種などをしっかりと確認することも大切です。

 

副業解禁時に企業が取るべき従業員の管理方法

従業員が副業を行うことで最もトラブルとなりやすいのが、長時間労働による健康への影響です。副業を解禁する場合には、副業での就業時間も含めた労働時間の管理と健康状態の管理が必要となります。

 

労働時間の管理の仕方

労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」ことが示されています。

 

また、労働基準法第32条において労働時間について、下記のような定めが示されています。

 

「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。」

 

加えて、この時間を超えて労働させた場合には割増賃金の支払いが必要となることも労働基準法の第37条において示されています。したがって、副業を行っている場合は本業と副業の労働時間を通算して管理する必要があるのです。

 

また、労働基準法第36条では、1か月の時間外労働時間と休日労働時間の合計は100時間未満とすること、複数月にまたがる場合には月平均80時間未満とすることも定められています。

 

そのため、従業員の労働時間を管理する際には、副業での労働時間も含めて1か月100時間もしくは80時間を超えない範囲となっているかを管理する必要があります。

 

参照:労働基準法

 

健康状態の管理方法

 

企業は従業員の健康状態を管理する必要があります。一方で副業を行っている場合、業務時間が増加することで疲労がたまりやすい状態になります。本業と副業の業務量や労働時間を管理し、ストレスチェック等を行うことによって適切な健康確保措置を取る必要があります。また、従業員がストレスや疲労等による不調を感じた際に、すぐさま相談できるような体制を整えておくことも大切です。

 

副業の禁止・制限に違反したらどうなる?副業をして懲戒になるケースとは!

もし、副業を禁止または制限している企業において従業員が副業に従事した場合、従業員は懲戒処分の対象となるのでしょうか。

 

副業の禁止・制限に違反した場合

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には「副業・兼業に関する裁判例においては、就業規則において労働者が副業・兼業を行う際に許可等の手続を求め、これへの違反を懲戒事由としている場合において、形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障を生ぜしめない程度・態様のものは、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていない」と記されています。

 

したがって、従業員が就業規則に違反して副業を行った場合であっても、職場の秩序に影響せず、労務提供に支障がないものであれば懲戒処分の対象とはならない、ということとなります。

 

副業によって懲戒を受ける可能性があるケース

従業員が就業規則に違反して副業を行うこと自体は懲戒処分の対象とはならないものの、以下のようなケースにおいては過去の判決等から、懲戒を受ける可能性も否定できないものとなっています。

 

労務提供上において問題がある場合

本業の職務時間中に副業を行ったり、副業の影響で本業の生産性が低下したりなど、本業における労務の提供に明らかに支障が出る場合があります。このような状況では本業の企業に損害を与えるとみなされ、懲戒解雇が正当であるという判決が出たケースがあります。

 

競業により企業の利益を害する場合

競業する他社で副業に従事し、本業の顧客に対して同じ商品や同等のサービスを提供するなどの行為があった場合、本業の企業の利益を侵害したとして懲戒処分が妥当だと判断されたケースがあります。

 

企業内の機密情報を外部へ漏洩した場合

副業した際に本業の顧客データや技術情報などを漏洩した場合、本業の企業に損害を与えることとなるため、懲戒処分の対象となる可能性があります。

 

企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

反社会的勢力が関わる企業で副業を行った場合など、本業の企業の名誉や信用に損害を与えるような行為があった場合は、懲戒処分の対象となってもやむを得ないと判断される可能性があります。

 

副業が禁止されている仕事がある!公務員は副業禁止!

前述したとおり、憲法では職業選択の自由が謳われ、誰でも自由に職に就くことができます。一方で公務員は原則として副業が禁止されています。

 

国家公務員の副業を制限する法律

国家公務員法第103条において「職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。」と示されています。また、国家公務員法第104条には「職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。」と示されています。

 

このように、国家公務員の副業は、国家公務員法第103条において営利企業の役員と自営業との兼業を、国家公務員法第104条において報酬を得る事業との兼業を禁止されています。

 

参照:国家公務員法



地方公務員の副業を制限する法律

地方公務員も国家公務員と同様、法律で副業が禁止されています。

地方公務員法第38条では「職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。」と示されています。

 

地方公務員も、営利企業の役員や自営業との兼業、報酬を得る事業に従事することが禁じられています。

参照:地方公務員法



公務員の副業が禁止されている理由は

国家公務員は国家公務員法第96条において、地方公務員は地方公務員法第30条において「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」ことが定められています。

 

公務員は公共の利益のために職務に専念することが求められているため、副業を行って私的な利益を得るための業務に就くことは制限されています。

 

まとめ

 

本記事では副業禁止は法律上は認められるのか、企業が知るべきポイントについて解説していきました。

 

法律上は、副業禁止について明記されている箇所はありません。憲法において職業選択の自由が保障されている以上、企業による従業員の副業の禁止や制限は一概に認められているわけではありません。

 

一方で、厚生労働省が発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、従業員に副業を許可したことにより企業が不利益を被る可能性に備え、副業の禁止・制限をすることが許されると示されています。

 

社会全体として副業を容認する流れが進むなかで、労働時間が増えるなど、従業員の管理が難しくなる可能性もあります。各企業で副業に対するルールづくりが必要になるでしょう。

 

万が一そのルールに違反した場合の処分についても定めておくことが大切です。

 

企業の副業解禁が進むにつれて、従業員の労務管理など契約回りについて更新する機会が増加することが予測されます。「契約DX」を推進してみてはいかがでしょうか。

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