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ノウハウ 強行法規とは?代表的な条項とともにまとめて解説。

更新日:2023年11月22日

投稿日:2021年12月15日

強行法規とは?代表的な条項とともにまとめて解説。

強行法規とは?代表的な条項とともにまとめて解説。

法律の条文には強行法規があります。

今回は強行法規の効果、代表的な法律の条文、実務での対処法についてご説明します。

契約書の作成に携わる方、強行法規について知りたい方は、是非ご覧ください。

 

 

 

強行法規とは

法律の条文には、強行法規、任意法規、取締法規の3つがあります。

ここでは、その3つの違いについて説明しながら、強行法規の概要を見ていきます。

強行法規とは

まずは、強行法規について簡単に説明します。

 

強行法規とは、当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定です。

 

強行法規の例として、労働基準法第13条を見ていきましょう。

第13条では「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。」と規定しています。

 

そのため、労働基準法に定められているより低い賃金で労働契約を締結しても、その契約は法律上無効という扱いになり、労働基準法が定める基準が適用されます。

 

これは労働基準法第13条が「強行法規」であるため、「最低賃金より低い賃金で労働契約を行う」ということが「強行規定に反する」ことから、契約が無効になります。



出典:リーガルチェックのポイント解説!契約書のレビューは正しくできていますか?

強行法規と任意法規

次に、強行法規と任意法規を比較していきましょう。

任意法規とは、法律について一定の定めはあるものの、その法律と異なる合意や定めをした場合、その合意や定めが優先される規定が、任意法規です。

 

前提として、現在の民法では「契約自由の原則」がとられています。

 

「契約自由の原則」とは「契約を結ぶかどうか」、結ぶとしても「誰と結ぶか」、「どのような契約内容にするか」について、 当事者は自由に決めることができるということです。

 

そのため、任意法規は「契約自由の原則」に即した法規ということができます。

 

例えば、売買契約においては物の引渡しと現金の引渡しは同時に行うのが原則(民法第533条)です。しかし、当事者が法律とは異なり、物の引渡し時ではなく月末に代金を支払うことに合意しているのであれば、月末に支払ってもよいということになります。

この理由は、民法533条が任意法規だからです。

 

これに対して、強行法規は当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定でした。

従って、契約自由の原則が排除されていると考えることができます。

 

出典:法務省説明資料

強行法規と取締法規

次に、強行法規と取締法規について説明します。

 

取締法規とは行政上の目的から、一定の行為を禁止し、または制限する規定のことです。

 

つまり、取締規定は本来、行政上の目的にもとづくものであるので、取締規定に違反したとしても、行政上の罰則の対象とはなるが、契約の効力までが否定されるものではありません。

 

例えば、売主が食肉販売業の許可を受けずに、売買契約を結んだとします。

この時、食品衛生法に違反していますが、同法は取締法規です。

従って、行政上の罰則の対象にはなりますが、当該売買契約は無効になりません。

 

これに対して、強行法規に違反した場合は、その部分について、契約の効力が無効となりました。

従って、違反した場合に契約が無効となるかどうかが、強行法規と取締法規の大きな違いになります。

 

出典:取締規定とは|不動産用語集|三井住友トラスト不動産:三井住友信託銀行グループ

   主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理

代表的な強行法規

これまで、強行法規の概要を任意法規と取締法規と比較して説明してきました。

 

次に、強行法規とされる法律について、代表的なものを見ていきましょう。

労働基準法

まずは労働基準法について見ていきましょう。

 

労働基準法13条によると、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。」とされています。

 

つまり、労働基準法の労働基準の最低条件を定めた条文は、強行法規です。

 

例えば、労働基準法32条「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」というものがあります。

これは、労働時間という労働基準に関して、最低条件を定めています。

よって強行法規です。

 

そのため、「一週間に50時間以上働くこと」と定められた労働契約は、結んでも無効となり、労働基準法に基づき、労働者は40時間内で労働することが強制的に定められます。

出典:労働基準法

会社法

次に会社法について見ていきます。

 

会社法の規定は強行法規となっているものがほとんどです。

 

「会社法」は、多くの人の利害を調整している法律であるため、一律の規定を設ける方が合理的ということです。

下請法

下請法も会社法と同じように強行法規となっています。

 

下請法制定の目的は「親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与すること」です。

 

つまり、親事業者という取引上優越した地位をもつものと、下請事業者という比較的弱い地位にいるものとの取引を調整する法律です。

 

この時、下請法を任意法規だとします。

すると、親事業者が優越した地位を利用して、契約の内容を親事業者に有利なものに変えてしまうかもしれません。それでは立場の弱い下請事業者に酷です。

出典:下請取引適正化推進講習会 テ キ ス ト 公正取引委員会・中 小 企 業 庁

   下請代金支払遅延等防止法

 

公序良俗に反する法律行為は無効

当事者の意思にかかわらず無効になるのは強行法規に反した場合のみではありません。例えば、民法第90条に基づき、公序良俗に反する契約は無効となります。

 

第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。



具体的には、

①犯罪やこれに類する社会的非難性の高い行為 (密輸・談合・贈収賄・裏口入学斡旋など)

②合理的な理由のない差別的取扱い (男女差別など)

③暴利行為 (高利貸し)

④婚姻秩序や性道徳に反する行為

などが、公序良俗違反として無効になります。

 

出典:第 回 法律行為の自由と制約( )-強行法規違反・公序良俗違反 11 1

   民法

強行法規に抵触した場合の対処方法

それでは、契約書の中で、強行法規違反が見つかった場合にどうすればいいでしょうか。

契約書作成段階で強行法規違反が見つかった場合

まず、契約書を作成している段階で、強行法規違反に気づいた場合についてみていきましょう。

 

これまで見てきた通り、強行法規に違反する契約は無効になります。

従って、強行法規違反の内容をそのまま残しておいても、効力は持ちません。

 

しかし、その内容を契約書に記載したままにしておくと、契約の内容が不明確になります。なぜなら、契約書の中に有効な内容と、無効な内容が混在してしまうからです。

 

また、強行法規の規定によっては、行政処分や罰則があるものもあります。

 

従って、強行法規に違反する内容は、必ず契約書から削除することが必要です。

契約が締結された後に強行法規違反が見つかった場合

契約が締結された後に強行法規違反が見つかった場合でも、強行規定に反する条項は削除あるいは書き換えすべきです。

 

すでに締結した相手方と再度締結をしたい旨を伝える真摯な対応が大切です。

契約書のチェックポイント

では、契約を締結する前に、契約書のチェックポイントを確認しておきましょう。

 

まず、契約当事者は基本的には契約の内容を自由に決められました。(契約自由の原則)

 

一方で契約の内容が強行法規に違反した場合、その契約は無効になりますので、

契約内容が強行法規に違反していないかを確認することが大切です。

 

具体的には、労働基準法、会社法、下請法に関する契約の場合は、強行法規に反していないか、綿密なチェックが必要です。

まとめ

この記事では、強行法規の概要と代表的な法律、契約書作成時の対応について説明しました。

強行法規は契約のトラブルを防ぐためにとても大切な考え方です。

 

強行法規とされている法律については、詳しく調べ、法律に準拠した契約内容の作成を心がけましょう。



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