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ノウハウ 【2021年施行】意匠法の改正!改正ポイントと知的財産について解説。

更新日:2021年10月6日

投稿日:2021年08月26日

【2021年施行】意匠法の改正!改正ポイントと知的財産について解説。

【2021年施行】意匠法の改正!改正ポイントと知的財産について解説。

2021年に意匠法が改正され、施行されることとなりました。2020年にも一部改正された意匠法ですが、改正におけるどのような点がポイントとなるのか、デザインや特許などの知的財産に携わる担当者にとっては気になるところです。


そこで本記事では、2021年に施行された意匠法の改正についてわかりやすく解説しています。そもそも意匠法とはどのような法律なのか、特許と意匠の違いや知的財産に関する基礎知識に加え、2021年に施行された意匠法改正の概要やポイント、意匠法の一部改正によって想定される、企業が取るべき対応についても紹介していますので、意匠法を含む知的財産についての知識を深める際にお役立てください。

 

 

意匠法とはどんな法律?

そもそも意匠法とは、どのような法律なのでしょうか。その概要について解説します。


次章で知的財産権にも触れるので、知財関連の法律であることも触れます。

意匠法における「意匠」とは?

意匠法の概要を理解するうえで、知っておきたいのが「意匠」の定義です。意匠法では、意匠の意味について概ね以下のように記載されています。


“物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、建築物の形状等又は画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの”(意匠法第二条より。一部省略)


難しい表記となっていますが、美術や工芸、産業、建築などにおいて美しさを感じる「デザイン」の部分を表すと捉えられるでしょう。

意匠法はデザインの保護と利用に関する法律

意匠法は、美術や工業、建築などで使われるデザインについて保護し、適切に利用されるためにさだめられた法律です。


意匠法に基づき、一定の基準に該当するデザインは、登録出願によって「意匠権」を得ることができます。


意匠権は、登録したデザインを盗作や無断使用などのリスクから守り、適切な貸出や輸出、流通などを可能にします。デザインした側の権利を保護しつつ、産業全体の発展も促すものとして、意匠法の知識を持つことは重要です。


意匠の定義がデザインであるとするなら、特許などの知的財産に関する他の権利とはどのような違いがあるのでしょうか。以下でさらに詳しく見ていきましょう。

 

「特許権」と「意匠権」の違いがある?知的財産権について

ここでは、特許権と意匠権の違いや、知的財産権の概要について解説します。

知的財産権とは

知的財産とは、人が考えたアイデアや技術、発明、デザイン、著作など、創作活動によって生み出される財産として価値ある無体のものをさします。


知的財産に定義されるものの種類は幅広く、小説などの著作物や商号から、半導体の配置や種苗の育成法まで多岐にわたります。


知的財産権とは、こうした知的財産を生み出した人に与えられる、法律でさだめられた一定の権利のことです。

特許権と意匠権は知的財産権のうち「産業財産権」に含まれる

意匠権とは、いくつかある知的財産権のうちの1つです。知的財産権には、意匠権の他に「商標権」「特許権」「実用新案権」などが挙げられ、この4つは「産業財産権」とも呼ばれます。


産業財産権では、デザインやネーミング、新技術やロゴといった知的財産の権利を取得することでこれらを保護し、コピー商品の横行を防いで一定期間権利を独占することが可能です。

特許と意匠の違いとは?

知的財産権を所管している特許庁によると、産業財産権の4つには以下のような違いがあります。


特許:産業において利用が可能で、自然の法則に基づいて開発された高い技術を持つ発明


(例:書いても消せるボールペンなど)


意匠:色や形状、柄などが独特であり、美しさのあるデザイン


(例:立体マスク、曲線が特徴的なスマートフォンなど)


実用新案:物同士の組み合わせや構造、形などに関する新しい考案


(例:朱肉のいらない印鑑など)


商標:提供するサービスや販売する商品を他社製品と区別するためのマークや文字


(例:商品名やネーミング、ブランドロゴが幾何学的にあしらわれたバッグ
など)


特許は目に見えないものも含む、産業利用できる「発明」であり、意匠は美しさや機能性が独創的な「デザイン」であるといえるでしょう。


4つの産業財産権が持つ違いを知ることで、意匠に関するイメージがより明確になるのではないでしょうか。

意匠法の改正ポイントは?

上記の概要を踏まえたうえで、2021年に施行された意匠法の改正ポイントについて解説します。

2020年にも施行された意匠法改正

2021年の意匠法改正のポイントを知る際に、併せて押さえておきたいのが2020年に施行された意匠法一部改正です。2019年に公布された意匠法改正案のうち、ほとんどは2020年に施行済みとなっており、残りの一部が2021年に施行されました。

制定後130年以上の歴史を持つ意匠制度は、これまでにも時代の変化に合わせる形で、幾度となく改正が施されています。今回施行された意匠法の改正も、インターネットの普及拡大や通信、産業技術の進化などに伴い、時代のニーズに沿う形で改正されたものです。


2020年に改正された意匠法の概要は以下の通りです。

・保護対象、間接侵害規定の拡充

・意匠権の存続期間、関連意匠制度の変更

・損害賠償時の算定方法見直し

・創作の非容易性に関する水準の明確化

・組物の部分意匠導入


これまでの制度の拡充や見直し、期間の延長など、より広く活用できる内容へと改正されています。

2021年の意匠法改正ポイント

2020年に続き、2021年に施行済みとなった意匠法改正点は以下の通りです。

・複数意匠の一括出願導入

・手続きにおける救済規定の拡充

・物品区分における扱いの見直し


上記改正におけるポイントは、それぞれ以下のようになります。


「複数意匠の一括出願導入」では、近年において商品のコンセプトを統一したり、ブランド価値を高めたりする目的で意匠登録の件数が増えてきており、企業が意匠登録にかける手間を省略する目的で改正されています。


これまで、意匠登録は1つずつしか出願が認められていませんでしたが、今回の施行によって複数の意匠を一括登録できるようになりました。


「一意匠につき一つの意匠権」という原則や、従来の出願形式は維持しつつ、出願数の上限を100として、意匠の範囲に制限を設けることなく、一括登録も行えるようになっています。


一括登録には手続き番号や出願番号が発行され、オンラインによる手続きも可能です。新しい様式や手続きに必要な書類については、特許庁のホームページなどで確認することができます。

 

「手続きにおける救済措置の拡充」では、これまでの規定では手続きができなくなっていた意匠登録について、以下のような救済措置を設けています。

・意匠登録の指定期間を経過した後でも、経過後2ヵ月以内であれば、1回のみ更に2ヵ月間の延長が可能。(延長できる条件あり。延長には手数料が必要)

参考:https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/isho_kaisei_shiryo_2020/resume.pdf
・指定期間内に延長申請することも可能。延長できる期間は2ヵ月で、国内居住者も延長手続きが可能。(延長請求は1回のみ。延長には手数料が必要)


・優先期間経過後の意匠登録において、正当とみなされる理由がある場合には優先権の主張ができる。


・優先権を証明する書類の提出期間を経過した後でも、注意喚起の通知を受け取った日から2ヵ月以内であれば提出が可能。

 

「物品の区分における扱い見直し」では、どの区分にもあてはまらない意匠登録をなくすため、従来の区分表を廃止して新たに基準が制定されました。

新しい基準では、一部の物品の用途について明確に記載できなかったとしても、図面などを添付することによって用途や機能を認定できるようになっています。「一意匠の粒度」という表現が使用されていますが、これまでの区分に該当しなかったり、用途の説明に時間を要したりする意匠について、添付資料と併せて総合的に審査されると理解すればよいでしょう。


こうした改正ポイントに応じて、企業によっては、これまでとはことなる対応が必要となるケースも考えられます。次章では、意匠法の改正によって求められると予想される企業の対応について見ていきましょう。

 

意匠法改正で企業が必要な対応は?

今回の意匠法改正により、企業としてはどのような対応が必要となるのでしょうか。

保護対象の拡充による意匠のチェック

2020年に施行済みとなる改正のうち、大きな変更点として、保護対象に「画像」「内装」「建築物」の追加が挙げられます。

 

画像については、ECサイト上に構築したショッピングなどの操作で表示する画像や、起動時にクリックするアイコンなども、保護対象とできるようになっています。スマートスピーカーや各種測定機器などで表示する画像や数値結果のデザインなども同様です。


保護対象となった意匠の関連意匠にあたるものや、関連意匠にのみ類似する意匠で登録が可能なものなどもチェックする必要があるでしょう。


また、建築物や内装についても、ショップや飲食店などで、一定のコンセプトの元にデザインされたものであれば、保護対象として認められる場合があります。


間接侵害規定についても拡充されているため、画像と建築物、内装を扱う企業では、相応の対応が必要となるでしょう。

意匠登録の可否について見直しを行う

改正前の意匠法では登録出願が難しかったり、出願しても期間に間に合わず、認められなかったりした意匠について、登録可能となっていないか今一度チェックしてみましょう。


また、関連意匠にのみ類似する意匠についても、当該関連意匠を本意匠とみなして登録できるようになったため、関連意匠についても見直しましょう。


なお、画像については「機器の付加価値を高めると認められるもの」に限られます。映画やゲーム内の画像や壁紙などは対象外となっているため注意しましょう。

意匠の一括登録・区分表廃止に伴う業務の変更

今回の改正により、1つひとつ出願が必要だった意匠登録が、一括登録できるようになっています。一括登録にあたっては、使用する様式や記入方法に変更点があるため、チェック業務の見直しやマニュアルの改訂なども必要となるケースがあるでしょう。


また、区分表の廃止に伴い、図面の添付といった新しい業務が発生する場合もあるでしょう。いずれの場合も登録にかかる手間や時間を削減・短縮できるため、担当業務や兼務体制の変更なども必要に応じて検討しましょう。

意匠権存続期間・ライセンス契約の確認

意匠権の存続期間については、「設定登録より20年」から「出願より25年」へと延長されています。既に取得している意匠権や関連意匠の存続期間についても、改めてチェックしてみましょう。


また、今回の改正では、全体的に拡充や追加、延長といった変更がなされています。意匠権の拡充に伴うライセンス契約についても、新たに契約を取り交わす必要が出てくるケースも増えると予想されます。


扱うサービスや商品、企業規模や組織の体制にもよりますが、この他にもさまざまな対応が必要となるでしょう。模倣品や無断の商用利用など、これまで対策を採りたくてもできなかった不正に対しても、適正な対処ができるようになる可能性もあります。


意匠法改正によって保護や登録できる意匠が増えることに比例して、企業としての利益となる機会も増える一方で、反対に自社が意匠権を侵害してしまう事例も増えると予想されます。部署間での調整や業務の見直しに加え、リスクヘッジについても考慮することをおすすめします。


必要に応じて専門家のアドバイスを受けつつ、法改正に伴う変更点のリストアップや参考となる資料の入手、業務フローの改善などを検討するとよいでしょう。

まとめ

2021年に施行された意匠法では、複数意匠の一括出願や救済措置の拡充、物品区分の取扱見直しといった点が改正のポイントです。インターネットの普及と関連する知的財産の急増に伴い、登録するべき意匠についても増えてきています。


従来の区分では分類できない意匠について登録しやすくなり、増える意匠登録の手間を簡易にできる一括登録の導入、手続きにおける期間の延長などで、改正前よりも登録できる意匠は飛躍的に増えることでしょう。


一方で、法改正に伴う業務の変更や見直して、新たな契約の確認や意匠権侵害のリスクなどに対する対応も必要となります。専門家のサポートを受けつつ、新旧対応表や契約書のチェック体制の整備、新たなサービスの導入なども検討しつつ、意匠法改正に対応してビジネスの機会を広げていきましょう。

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