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ノウハウ 2024年 2025年 法改正される法律をまとめて解説

投稿日:2024年03月4日

2024年 2025年 法改正される法律をまとめて解説

2024年 2025年 法改正される法律をまとめて解説

2024年に改正・新設が予定される法律の中から、総務・法務・労務に関係するものをまとめました。電子帳簿保存法改正、労働契約や民事訴訟法の改正など企業活動に関わる変更がされています。

 

法改正への対応は早めに準備しておくと安心ですので、あわせて2025年に予定されているものについても取り上げています。

 

 

電子帳簿保存法改正

正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。

 

原則、紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、一定の要件を満たせば電子データでの保存を認めるものです。メールなど電子的に受け取った書類については、紙形式で保存するのではなくデータ形式で保存しなければならないことなどを定めます。

電子帳簿等保存に関する改正

「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象となる帳簿の範囲の見直し

申告所得税および法人税について見直されました。※消費税については変更がありません。

 

「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」とは、一定の範囲の帳簿について、以下の3要件を全て備えて保存している場合、あらかじめ届け出をしておくことで後からその電子帳簿に関連する過少申告が判明した場合、過少申告加算税が5%軽減される措置です。

  1. 訂正削除履歴の保存
  2. 帳簿間の相互関連性
  3. 日付・金額・相手方による検索機能

 

見直し前:①仕訳帳、②総勘定元帳、③その他必要な帳簿(全ての⻘⾊関係帳簿)

見直し後:①仕訳帳、②総勘定元帳、③その他必要な帳簿(以下に限定)

 

記載事項

売り上げ(下降その他の役務の給付等売り上げと同様の性質を有するものを含む。)その他収入に関する事項

売上表

仕入れその他経費(法人税は、陳儀hん・給料・法定福利費・厚生費を除く。)に関する事項

仕入帳、経費帳、賃金台帳(所得税のみ)

売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項

売掛帳

買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項

買掛帳

手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項

受取手形記入帳、支払手形記入帳

その他の債権債務に関する事項(当座預金を除く。)

貸付帳、借入帳、未決済項目に関する帳簿

有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項(法人税のみ)

有価証券受け払い簿(法人税のみ)

減価償却資産に関する事項

固定資産台帳

繰延資金に関する事項

繰延資産台帳

 

スキャナ保存に関する改正

  1. 解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要とされました。
    国税関係書類のスキャナ保存において、解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要となりました。これらの情報を保存する必要はなくなりましたが、依然としてスキャナで読み取る際の解像度(200dpi以上)や階調(原則としてカラー画像)などの要件は継続されるため、確認できる準備は必要です。

  2. 入力者等情報の確認要件が不要とされました。
    スキャナ保存時に記録事項の入力を行う者やその監督者に関する情報の確認が不要となりました。

  3. 帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が重要書類に限定されました。
    国税関係書類のスキャナ保存において、帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が「重要書類」に限定されました。これにより、一般書類をスキャナ保存する際には、相互関連性の確保が不要となりました。

    ※重要書類とは、契約書・領収書・送り状・納品書等といった資金や物の流れに直結・連動する書類)のこと
    ※一般書類とは、見積書・注文書等や納品書の写しといった資金や物の流れに直結・連動しない書類のこと
    ※帳簿との相互関連性の確保とは、スキャナ保存の対象となる書類と帳簿の双方に伝票番号や取引案件番号、工事番号などを付与することで、書類又は国税関係帳簿の記録事項がどちらもで確認できるようにすることで、国税関係書類の記録事項と国税関係帳簿の記録事項との関連性を確認できることをいいます。

電子取引データ保存に関する改正

  1. 検索機能の全てを不要とする措置の対象者が見直されました。
    税務調査等で電子取引データのダウンロードを提供する場合、検索機能の全てを不要とする措置の対象が見直されました。
    ・売上高が1,000万円以下の保存義務者から5,000万円以下に拡大
    ・電子取引データをプリントアウトした書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出できる保存義務者が追加

  2. 令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、令和5年12月31日に廃止されます。

  3. 新たな猶予措置が整備されました。
    次の要件を満たす場合、保存する際の要件に準拠した対応の必要はありません。
    ・保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて所轄税務署長が相当の理由があると認める場合
    ・税務調査の際に電子取引データのダウンロードの求めやプリントアウトした書面の提示・提出に応じることができる場合

参照:電子帳簿保存法の内容が改正されました 国税庁

雇用保険法施行規則

2024年2月上旬に公布された法改正により、高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金および高年齢再就職給付金)と教育訓練給付金関連の様式が変更されることが発表されました。これらの変更は2025年4月1日に施行される予定です。

 

高年齢雇用継続基本給付金は、雇用保険法第61条に基づき、60歳以上65歳未満の被保険者で、雇用を継続し、被保険期間が5年以上の場合に支給されます。

具体的な給付額は以下の通りです。

 

  • 賃金が被保険者の60歳の離職日を基準として算出したみなし賃金月額の61%未満の場合、賃金額の15%
  • みなし賃金月額の61~75%未満の場合、厚生労働省令で定めた給付率に応じて、一定の割合で減少する給付額

 

2025年4月1日からは、賃金がみなし賃金の64%未満の場合、給付率が10%に引き下げられます。また、賃金がみなし賃金月額の64~75%未満になった場合は、給付率の変更に応じて、給付額が減少する規定が施行規則に追加されます。

 

教育訓練給付金および教育訓練支給給付金の申請に関しては、疾病や負傷以外の理由でも、郵送や代理人を通じた申請が可能になるため、様式が変更されます。

 

参照:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要

厚生年金保険法

2024年10月から、短時間労働者の厚生年金保険と健康保険(社会保険)の適用範囲が拡大されます。

 

2024年10月以前でも、厚生年金保険の被保険者101人以上の企業で週20時間以上働く労働者は、厚生年金保険と健康保険の対象でした。2024年10月からは、厚生年金保険の被保険者が51人以上の企業(特定適用事業所)で働く短時間労働者まで加入が義務化されます。

 

特定適用事業所とは、1年のうち半年以上、共済組合員を含む厚生年金保険被保険者数(短時間労働者は除く)が51人以上となることが見込まれる企業などのことです。

法人事業者の場合は法人番号が同一の全ての適用事業所の被保険者総数、個人事業者の場合は適用事業所単位の被保険者数で考えます。

 

加入が義務化される短時間労働者の要件は以下の通りです。

  • 所定労働時間20時間以上/週
  • 所定内賃金月額8.8万円以上
  • 2ヶ月以上の雇用見込み
  • 学生ではない

 

参照:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内|日本年金機構

労働基準法改正

2019年4月(中小企業は2020年4月)から、時間外労働に上限が設けられました。ただし、下記の事業・業務については5年間の猶予がありました。

 

  • 工作物の建設事業
  • 自動車運転
  • 医療従事者
  • 鹿児島と沖縄県内の砂糖製造

 

2024年4月(中小企業は2025年4月)からは、上記の事業・業務にも、時間外労働の上限が適用されるようになります。

労働基準法で、法定労働時間は1日8時間、1週間40時間以内とされます。この時間を超えて働く場合の上限が、事業・業務に応じて定められています。

事業、業務別の上限を続けて列挙いたします。

 

工作物の建設事業の場合

  • 災害復旧・復興事業を除き、全ての上限規制が適用される
  • 原則、月45時間以内、年間360時間以内
  • 臨時的に上記を超える場合でも以下を上限とする
    • 1ヶ月45時間を超えられるのは年間6回まで
    • 残業時間は年間720時間まで
    • 時間外労働と休日労働の合計100時間以内、2~6ヶ月平均80時間以内

※災害復旧・復興事業については適用外

 

自動車運転の場合

特別条項付き36協定を締結する場合、年間の時間外労働時間の上限は960時間です。

※時間外労働と休日労働の合計100時間以内、2~6ヶ月平均80時間以内の規制は適用されません。

※時間外労働が45時間/月を超えられるのが年間6回までの規制は適用外です。

 

医療従事者の場合

特別条項付き36協定を締結する場合、年間の時間外・休日労働時間の上限は最大1860時間です。

ただし、以下は適用されません。

  • 1ヶ月45時間を超えられるのは年間6回まで
  • 時間外労働と休日労働の合計100時間以内、2~6ヶ月平均80時間以内

 

鹿児島と沖縄県内の砂糖製造の場合

原則、月45時間以内、年間360時間以内です。

 

臨時的に上記を超える場合の上限は以下になります。

  • 1ヶ月45時間を超えられるのは年間6回まで
  • 残業時間は年間720時間まで
  • 時間外労働と休日労働の合計100時間以内、2~6ヶ月平均80時間以内

 

参照:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務|厚生労働省

 

健康保険法

現役世代の負担上昇を抑えるため高齢者世代の保険料負担割合が2024年度から見直されます。

ただし、支払い能力を考慮した仕組みが考えられています。

年金収入のみの方の負担が大きくならないよう、法改正前は均等割と所得割の比率が同じでしたが、所得割の比率を増やすことで対応します。支払い能力に応じた負担とするため、割賦限度額と所得にかかる保険料率は引き上げられます。

 

参照:全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための 健康保険法等の一部を改正する法律

参照:医療保険制度改革について

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

労働契約の締結と更新時に明示しなければならない労働条件事項が追加されます。2024年4月からの適用が予定されています。

 

就業場所・業務内容の変更に伴い想定される就業場所・業務内容の範囲の提示が求められます。

 

有期雇用契約締結後、使用者は契約の変更・更新の際、通算契約期間、または更新回数に上限を定める場合、事前に労働者に理由を説明する義務が生じます。契約期間を短くしたり、更新回数を減らす場合も同様です。

 

無期転換申込権が発生した場合、権利が発生するタイミングごとに無期転換後の労働条件について書面で通知しなければなりません。

参照:【(修正版)改正労基則】リーフレット 厚生労働省

フリーランス保護新法

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」のことです。2024年秋頃までに施行予定です。

 

取引の適正化とフリーランスの働く環境の整備を目的に、以下を定めます。

 

  • 業務委託者は受注者に対して報酬額などを書面か電磁的方法で通知する
  • 成果物を受け取った日から60日以内に報酬支払期日を設定して支払う
  • 業務委託契約にあたり以下を禁止する
    • 受注者に原因がないにも関わらず成果物の受け取り拒否や返品、報酬額の減額を行う
    • 受注者に原因がないにも関わらず成果物の内容変更ややり直しをさせる
    • 相場より著しく低い報酬額を設定する
    • 正当な理由なく自社が指定するモノ・サービスの購入を強制する
    • 金銭など経済上の利益を提供させる
  • 募集情報を出す時に虚偽記載しない
  • 受注者が育児や介護を行えるよう配慮する
  • ハラスメントの相談や対処
  • 契約を中途解除などする場合、解除日の30日前までに予告する

 

発注者が違反した場合の対応についても定められます。

公正取引委員会、中小企業庁長官、厚生大臣は、発注元の違法行為を確認した場合、助言や指導や報告徴収、立ち入り検査、勧告、公表、命令などを行えます。

命令違反や検査を拒否した場合、50万円以下の罰金が科されます。

 

フリーランス保護新法の対象のフリーランスとは、従業員を雇用していない業務委託契約受注者を指します。従業員を雇っている人は含まれません。

 

参照:フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の概要

金融商品取引法改正

四半期報告書制度が廃止されます。上場会社等は四半期報告書に代わって半期報告書の提出が義務化されます。

2024年4月1日施行予定です。

 

ただし、経過措置が設けられています。施行日以降に四半期報告書を提出する場合は、改正前の法律に従います。

金融商品取引法施行令も一部改正されますが、同様の措置です。

参照:金融商品取引法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(案)の概要

不正競争防止法改正

知的財産のデジタル化や国際化へ対応し、中小企業やスタートアップ企業の知的財産を活用した事業を推進することを目的に、知的財産制度の見直しのために改正されます。

 

改正後には、ブランド・デザインなどの保護の強化と、国際的に事業展開する際に関係する制度が整備されます。

 

特許法、商標法などの改正案も同じく成立しました。

特許法などに関わる項目として、デジタル化に対応した知的財産手続きなどが整備されます。

ブランド・デザインなどの保護強化に関する項目にも、改正事項があります。

 

2023年6月14日に公布され、一部の規定を除いて公布日から1年以内に政令で定めた日とされています。よって、2024年6月14日までには改正事項が適用されると思われます。

参照:不正競争防止法等の一部を改正する法律(令和5年6月14日法律第51号) | 経済産業省 特許庁

民事訴訟法改正

2022年5月18日に民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立し、同年5月25日に公布されていました。法改正に伴い、2023年2月20日からは、DV被害者などの住所や氏名を秘匿したまま民事訴訟手続きを進められる制度が始まりました。

また、同年3月1日からは、当事者双方がウェブ会議や電話会議を利用して弁済準備手続の期日や和解の期日に参加可能になりました。実際に裁判所に出頭する必要がないということです。

 

上記に加え、2024年3月1日からは、民事訴訟で当事者の一方、もしくは双方がウェブ会議を利用して口頭弁論期日に参加できるようになります。

 

当事者の一方、もしくは双方が、人事訴訟・家事調停でウェブ会議を利用して離婚・離縁の和解・調停の成立などができるようにもなります。具体的な施行日は2023年12月時点では未定ですが、公布から3年以内、つまり2025年以内には適用される見込みです。

 

2026年度中には、訴えのオンライン提出、訴訟記録の電子保管、法定審理期間訴訟手続きの新設なども予定されています。

 

参照:法務省:民事訴訟法等の一部を改正する法律について

まとめ

本記事では総務や法務、労務部門との関係が深い法改正について解説しました。

法令は、時代と共に改正されます。自社の体制や契約書が最新の法律に基づいたものか確認することはリスク管理の観点で重要です。

自社に影響するものについては可能な限り対応を進めておくと、適用間際に慌てずに済みます。

 

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