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ノウハウ 電子化できない書類とは?法律の要件や改正ポイントを解説!

更新日:2024年04月16日

投稿日:2023年08月15日

電子化できない書類とは?法律の要件や改正ポイントを解説!

電子化できない書類とは?法律の要件や改正ポイントを解説!

「ペーパーレス化を推進したいんだけど、電子化できない書類ってあるの?」

「紙の元本を保管しておく必要のある書類が知りたい」

書類の電子化を検討している方で、このようにお悩みの方はいませんか?

 

2022年の電子帳簿保存法の改正に伴い、契約書などの電子化を進めている方も多いと思います。

しかし実は、一部の書類は電子化することが認められていません。そこでこの記事では、書類の電子化に関連する法律の基本的な知識や、電子化できない書類の具体例を紹介します。

 

 

書類の電子化に関する法律の基礎知識

書類の電子化については、電子帳簿保存法のほかにも様々な法令が関係しており、それぞれ目的と内容が異なっています。

 

そこでまず、書類の電子化に関する法律にどのようなものがあるのかや、基本的な中身について確認していきましょう。

①電子帳簿保存法

電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)は、国税に関する書類(国税関係書類)の電子化について定められた法律です。

 

主に仕訳帳や貸借対照表、契約書といった国税計算に必要な書類が対象となっています。

 

電子化の方法には、電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引データの保存の3種類があり、それぞれ要件が異なるため注意が必要です。

 

2022年に施行された電子帳簿保存法の改正により、およそ全ての事業者は2023年12月31日までに電子取引(電子データとしてやり取りされた取引関係書類)を電子的に保存できる環境を整える必要があります。

 

電子帳簿保存法に違反すると、関係法令により①推計課税・追徴課税、②青色申告の取消し、③100万円以下の罰金などの罰が課されます。

 

電子帳簿保存法の対象となる書類や、2022年改正のポイントなどについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

 

▶関連記事:【総まとめ】電子帳簿保存法とは?対象と要件をわかりやすく解説!

②e-文書法

e-文書法は、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」とその関係法令の総称で、企業が保存義務を負う書類の電子化を認めるものです。

 

例えば、財務・税務関連の帳票や取締役会議事録など、商法・会社法や税法で保管が義務付けられている文書の電子化保存が認められています。

 

また、既に電子データとして存在する文書だけでなく、紙の文書をスキャンして画像ファイル化したものも、一定の要件を満たすことで正式な文書と認められます。

 

ただし、①緊急性の高い文書(船舶備え付けの手引書など)、②現物性の高い文書(免許証・許可証など)、③条約の制限のあるものは電子化できません。

③その他の法律

書類の電子化については、電子帳簿保存法とe-文書法の他にも、いくつかの関係法令があります。

 

  • IT書面一括法:50以上の法令により、電子的な書面交付に法的効力を認める
  • 電子署名法:要件を満たす電子署名に法的な効力を付与する
  • デジタル改革関連法:宅建業法の改正などを含む48の法改正

 

このように、文書の電子化に関しては様々な法律が関係しており、複雑に絡み合っているため、自社で電子化を行う場合には総合的な理解と判断が不可欠となります。

 

▶関連記事:電子署名法とは?電子署名法2条、3条について解説

電子化できない書類の例

ここまでは書類の電子化を認めている法律の概要について紹介しました。

 

これらの法律により多くの書類の電子化が認められていますが、まだ法整備は発達段階にあるため、残念ながら全ての書類を電子化することはできません。

 

もし誤って電子化すべきでない書類を電子化し、紙の書類を破棄した場合には罰則を受ける可能性もあるため、十分な注意が必要です。

 

そこで以下からは、本記事執筆時点(2023年6月)で電子化できない書類を紹介します。

①書面での作成が必要な書類

現時点において、電子化ができず、書面で締結しなければならない契約書は下記の3種類です。

 

書類名根拠条文
事業用借地権設定契約書借地借家法第23条第3項
農地の賃貸借契約書農地法第21条
任意後見契約任意後見法第3条

いずれの契約書も、「公正証書により」または「書面により」との規定が置かれているため、電子化できないこととなっています。これらの書類についても、今後公正証書のあり方が変更される等して、電子化できるようになる可能性は大いにあります。

今後もこのサイトでは電子化に関する情報を発信していくので、定期的にチェックしてみてください。

②スキャナ保存できない書類

電子帳簿保存法が認めている電子的保存の方法には①電子帳簿保存、②スキャナ保存、③電子取引、の3種類があります。

 

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを用いて、国税関係帳簿や決算関係書類を電子的に作成する場合には、そのまま電子帳簿保存することが可能です。この場合、紙に出力・保存する必要はありません。

 

国税関係帳簿

仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳など
決算関係書類貸借対照表・損益計算書・棚卸表など

しかしこれらの書類を一度紙に出力し、手書きで追加記入をしたような場合には、その書類をスキャナで読み取って電子的に保存することは認められていません。この場合には、紙を紙のまま保存する必要があります。

 

例えば帳簿や決算書類の一部を電子帳簿保存し、一部を紙で保存するとなれば、保存方法が併存することになり管理の手間が増え紛失のリスクも高まってしまいます。

 

そのため、帳簿や決算書類は最初から最後まで電子的に作成・管理することとし、電子的に一元管理することをおすすめします。

【参照:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 – 国税庁】

電子化できる書類の例

ここまで紹介したように、現在はさまざまな法律により文書の電子化が認められており、基本的には全ての書類が電子化できると考えていいでしょう。

 

日ごろの業務でよく取り扱われる書類でいうと、電子化できる書類には次のようなものがあります。

 

書類のタイプ

具体例

決算に関係する書類

貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案、損失処理案、附属明細書、監査報告書など

財務・税金に関する書類

会計帳簿、資産負債状況書類、財産目録、事業報告書、領収書・見積書・注文書・請求書・納品書の写しなど

会社経営に関する書類

定款、株主総会議事録、取締役会議事録、組合員名簿など

取引に関する書類

売買契約書、就業条件明示書、請負契約書、保証契約書など

 

このように、会社の根幹をなす重要な書類から取引ごとの書類まで、およそ全ての書類を電子化することが可能です。

 

ただし、電子化の条件として「相手方の承諾」を必要とする場合も多い(例として、労働条件通知書など)ため、一方的に電子的な書類を交付しないように注意が必要です。

 

そのため、「上述した書面での作成が必要な書類以外は基本的に全て電子化するが、電子化しても良いか契約相手方の承諾をとる」という運用にするといいでしょう。

 

▶関連記事:【電子帳簿保存法対応】納品書の電子化は義務?電子化のメリットや注意点

【2022年5月施行】不動産関係の書類も電子化可能に【宅建業法・借地借家法】

デジタル改革関連法案の成立により、従来は書面での交付が必要だった下記の不動産関係書類についても電子化が認められました。

 

また電子化した契約書では、宅建士の押印と収入印紙の貼付は不要となります。

 

書類名

根拠条文

不動産売買の媒介契約書

宅建業法34条2

不動産売買や賃貸借契約の重要事項説明書

宅建業法35条5項及び7項

不動産売買や賃貸借契約の契約書面

宅建業法37条

定期借地契約書

借地借家法22条

定期建物賃貸借契約書

借地借家法38条1項

定期建物賃貸借の説明書面

借地借家法38条2項

※賃貸借契約の更新にかかる書類については、以前より書面化義務が課されておらず、電子化可能

 

ただし、①重要事項説明書を電子交付する場合、②ITツールを利用してオンラインで重要事項説明を行う場合、③電子契約を締結する場合には契約相手方の承諾が必要です。

【2023年6月施行】クーリングオフ書面なども電子化可能に【特商法】

訪問販売や通信販売などに関する規定を置く「特定商取引に関する法律」(特商法)は、従来は契約書やクーリングオフ書面などを書面で交付することを義務付けていました。

 

2023年6月に施行された改正法では、契約相手方の承諾がある場合には書面のメールでの送信、ウェブサイト上での閲覧・ダウンロードが認められるようになりました。

 

特商法に関連する事業を営んでいる方で、今後書面の電子化を検討している方は、消費者庁のガイドラインを参考にしながら適法な電子化手続きを進めるようにしてください。

 

【参照:「契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」の公表について(特定商取引法の通達改正) – 消費者庁

書類を電子化する具体的な方法

以下からは、実際に書類を電子化する具体的な方法についてみていきましょう。

方法1.自社で電子化する

まずは、自社で書類を電子化する方法です。

 

紙で作成した書類をスキャンする場合には、以下の煩瑣な手順が必要となります。書類の種類によっては、タイムスタンプの付与も必要です。

 

  1. 要件の確認:電子化の要件は、根拠法令によって異なります。条文や省庁のガイドラインを確認して要件を確認しましょう。
  2. 書類の準備:書類が折りたたまれていたり、ステープラーで留められていたりする場合は、それを解除します。
  3. スキャナーの準備:スキャナーを使用する準備をします。
  4. 書類のスキャン:スキャナーを使って書類をデジタル化します。
  5. ファイル形式の選択:スキャンした書類を保存するファイル形式を選びます。PDF形式が最も一般的です。
  6. データの保存:スキャンしたデータを、パソコンのハードドライブかクラウドストレージ上に保存します。
  7. データの整理:ファイル名を適切につけて、後で検索しやすくします。
  8. 書類のバックアップ:データの損失を防ぐために、別のハードドライブやクラウドストレージ上にバックアップを取ります。
  9. 物理的な書類の保管または破棄:保管の必要がない書類は、個人情報が含まれていないか確認した上で、適切に破棄します。

 

特に、自社で書類を電子化する際にはデータの保全とプライバシーの保護が重要な課題となります。

これら電子化に付随する業務は、本来の業務を圧迫する可能性があるため、外部の電子化サービスを利用するのがおすすめです。

方法2.電子化サービスを利用する

専門業者の電子化サービスを利用すると、専門的なスキャンやデータ入力、高度な文字認識技術を用いて、効率的かつ安全に書類をデジタル化できます。

 

すなわち、自社での電子化に伴う負担を軽減し、重要な業務に専念することが可能です。

 

さらに、電子化サービスは法令対応やデータ保護を含むセキュリティ対策を提供し、書類の量が多くなった場合でも柔軟に対応が可能です。

 

これらの観点から、電子化サービスの利用は大きな優位性をもっているといえるでしょう。

まとめ

今回紹介したように、現在は各法令によりほとんど全ての書類を電子化でき、はじめから電子的に作成した書類については紙の原本を保存する必要もありません。

将来的にはさらに法令改正が進み、すべての書類を電子化できるようになるでしょう。

 

電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日からは電子取引によって送受信された書類は電子的に保存する必要があるため、早急な対策が必要です。

まだ電子化サービスを利用していない方は、契約管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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